お兄様の部屋
セティ様の体を起こし、少しずつ料理を膝の上に置いて私がスプーンでそれを掬って食べさせると少しずつ食べてくれた。
「よかった。食べてくれて。このまま死んじゃうかと思いましたよ」
「すまないイヴ…心配をかけた」
時間はかかったけど全部食べてくれてほっとした。
「大丈夫ですか?立てますか?」
食事が終わるとセティ様は立ち上がろうとするので支えて差し上げる。
「大丈夫だ……兄の部屋に行きたい」
「分かりました。お供します」
ゆっくりと歩くセティ様を支え、私とセティ様はセルケトお兄様の部屋に向かった。
お兄様の部屋はいつも変わった香りがしている。
「この香りはなんなのですか?」
主がいなくなった部屋は少しだけその香りが消えてきているが、私の鋭い嗅覚にはまだまだ感じる事が出来た。
「あぁ、香水だ。兄上はご病気でお風呂に入れなかったり吐いてしまう事が多かった。それを気にして部屋中に香水を撒いていた」
「そうなのですか」
甘い…バニラとすがすがしいミントの合わさった匂い。
お兄様らしいと言えばお兄様らしい匂いだった。
「……」
無言でお兄様のベッドに座るセティ様。
「することが山積みだ…」
「そうですね…まずはお兄様やお父上様、ご兄弟の葬儀ですわね」
「あぁ…」
今は葬儀屋がご遺体を冷却し、お城の地下で預かってくれている。
お兄様との思い出に浸っているのか、天井を見上げたまま動かなくなってしまったセティ様。




