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「……あり…とう…セ…ティ…」
「兄…上…?」
生命維持装置の上にポタリ…ポタリと赤い雫が落ちて来る。
首だけを上げると…
「!!兄上!!」
兄は…口から大量の血を流し、魔法の構えのまま立っていた。
「くっ、兄上!!」
私は痛む体にむち打ち立ち上がると兄を支え、生命維持装置をつけようとしたが押しのけられた。
「ブハッ……いぃ…もう、いい…セティ」
血を吐きながら私の腕の中で兄は崩れ落ちる。
「兄上!!兄上しっかりしてください!!」
「…勝者セルケトとセティ!!」
父の勝者宣言で一斉に観衆から歓声が上がるが私の耳にはそれは届かない。
消えゆく兄の声を聴くため意識を集中する。
「勝ちましたよ兄上!!貴方が王です!!」
「ぜぇ…ぜぇ……ううん…セティが……王様になって…僕は、もう駄目だ…」
震える手で兄は王冠を外すと私の頭に載せる。
(挿絵:花見酒様)
「…!兄上!!」
「……王からの命令だよ……泣かないで…生きて、セティ……」
兄の体から力が抜け、ずしりと重みが両腕にかかる。
「兄上!!兄上ー!!」
「……あり…とう…セ…ティ…」
……兄は……死んだ。もう喋らなかった。動かなかった。
まだこんなにもあたたかいのに……
微笑みながら逝った兄をきつく抱き締め、私は涙を堪えるが駄目だった…兄の命令を聴けずに静かに両頬を涙が流れていく…。
(挿絵:花見酒様)




