父の狂気
確かに父には双子の弟がいた。僕が小さい頃は王は2人だった…でも、ある日事故で亡くなった。
馬から落馬し、頭を蹴られて死んだと記録には残っている。
「俺の初めての子、セルケト。お前なら分かるだろう?弟への劣等感、自分が弟だったら手に入れられた名声…狂うくらいの嫉妬心が!分かるだろう?」
「……」
僕には父の気持ちが分かる…僕もセティが羨ましいから…。
「だから事故に見せかけて殺してやった。
馬に興奮剤を飲ませ、馬具に細工をした」
「父上…貴方はなんてことを!」
「その罰か。弟が死んだ途端お前に欠陥が見つかった。生まれつきだとは医者は言ったが弟の呪いだろう。大事な第一子がこのざま。そしてセティの後に生まれたガキもどいつもこいつもセティ以下の出来損ないばかり」
父上は飲んでいたワインを瓶ごと飲み、空き瓶を僕に突きつける。
「いいだろう。くれてやろう、王冠を。王位を!だが、条件がある。セティを盾にし、出来損ない共を始末しろ」
SKIMAで花見酒様に描いていただきました
「…父上!」
「セルケト、お前はセティを王にしようとしているんだろう?だが、一瞬でもお前が王になれ。それが父の望みだ」
…なんと言う事だろうか。知らされた事実、そして父の心の闇…。
「さぁ、受け取るがいい。いばらの王冠だ」
父は空間から薔薇のつるを模して作られた金の王冠を取り出し僕の頭に被せる。
「それを王位継承戦の勝利の時まで死守せよ。そうすればお前とセティは王だ」
「っ…はい…」
「王位継承戦は明朝。今夜はゆっくりと休め」
「…はい」
僕は父の部屋から出るとセティの部屋に向かう。




