父メルエン ~セルケトside~
~セルケトside~
日に日にリースのお腹は大きくなっていった。誰がどう見てもリースの妊娠は明らかで、貴族落ちするのだろうという噂は広まっていた。
でも、セティにもリースにも行き場はある。
今急成長している世界新聞局の局長メイホウが義父となったセティは王子を辞めても簡単に生きていけるだろう。
「……セティ…僕は…」
僕には…セティがこの宮殿からいなくなったら生きていく場所がない。
父も母も口では心配してくれるけど世話はセティと世話係がしてくれるのみ。
「……」
そろそろ、か。
僕は起き上がると父の部屋へ向かう。
「父上、セルケトです」
ノックして父の部屋に入る。
「おぉ、セルケトか。どうした?」
(挿絵:花見酒様)
「……父上、僕は…王位継承を望みます」
そう言うと父は暫く固まった。
「もう一度言います。父上、僕は王位継承を望みます。王位継承戦を開催してください」
「なっ…セルケト、何を言い出すんだ?」
「僕はもう長くありません。春になる前には生きていないでしょう…一瞬でもいい。僕は王になりたい」
「……分かった」
てっきり反対されるかと思っていたがあっさりと了承された。
「だが、自分で戦うのは許さん。セティを使え。アイツの屍を超えて王になるのだ」
「……父上は、何故そんなにセティを嫌うのですか?」
不思議だった。父はセティに対して冷たい。見た目も誰よりも父に似ていると言うのに。
「アレは、俺の双子の弟の子だ。母親を共有はしたが鑑定した結果弟の子だった。優秀だった弟のな…」
「……」




