あーんしてください
「はい、あーんしてください」
「は?え?…そんな子供みたいなこと…」
フォークに刺さった鶏肉を口元に差し出され、訳が分からなくて混乱してしまう。
「世の中の恋人や夫婦は皆こうしてるんですよ?あの舞台俳優カンパニュラだってしています」
「そ、そうなのか…」
恐る恐るぱくり、とイヴが差し出す鶏肉を食べてみる。
「…うまい」
こんなにも料理には味があったのか?!今まで食べた料理よりもうまい…
「よかった。此処のお食事はみんな美味しいですよね。私、食べ過ぎて太ってしまいそう。太ったらセティ様に嫌われてしまいそうで怖いです」
「そんなことはない。イヴが太ろうが痩せようが君を愛しているのは変わらない」
イヴの内面に惚れたのだ。勿論一目惚れもあるが。例えイヴの体重が2倍になろうとも毎日抱く自信はある。
今も抱きたいくらいだ。
「フォークもナイフも1つずつしかありませんから交代に食べましょうね?」
「あぁ。次からは2つ用意するように言っておく」
「有難うございます。でもこうやって2人で食べるのも素敵ですわ」
またあーんとイヴがしてくれたので遠慮なく食べる。
全部二人で食べきると私はもっちを呼び出す。
「おや、今日は全部召し上がったのですね」
「あぁ、二人で食べたんだ。もっち、悪いが明日からはフォークとナイフ、スプーンを二人分用意するように厨房に伝えてくれるか?」
「かしこまりました。それではお下げしますね」




