一緒に食べましょう
父が兄にそう優しく言った後、私に視線を向け、あごでしゃくって兄に食事をさせるように指示する。
…いつもこうだ。豪華な料理が並んでいるのに冷めきった食卓。
(あぁ、何故こうなのに皆で食事をするのだろう。意味があるのか?)
これなら兄と、イヴとだけで食事をしたいと本当に思う。
「食べられますか?兄上」
「…今日はもういい。ご馳走様」
兄が席を立つと私も席を立つ。自分の食べる分は残っているが戻って来たところでどうせ捨てられてしまっている。
いつも腹は空くが兄が最優先だ。
兄を部屋まで送ると私は自室に戻った。
部屋の鍵を開けるとテーブルの上に料理が載ったままイヴが待っていた。
「おかえりなさいまし、セティ様」
「ただいま、イヴ。食べなかったのか?」
すっかり冷めてしまっている料理からは湯気が上がっていない。
「あの、私、食いしん坊ですけどさすがにこんなには食べられません」
「多いか?」
「多いです。セティ様に知ってもらいたくて待っていました」
手つかずの料理は私がその気になれば食べきれる量だ。
「なら、一緒に食べないか?実は私も毎日夕食が少なくて困っていた」
兄の世話をしながら食べていると自分の食べる分は少なくなる。それは仕方のない事だがここ最近は兄の体調がすぐれなくて吐くことも多く、ほとんど食べられない日もあった。
そんな時は兄を寝かしつけた後、必ず食堂に戻って食べるようにと兄から言われるが…既に片付けられているのだ。
「本当ですか?なら一緒に食べましょう!」
尻尾をパタパタと振るイヴは本当に愛らしい。




