セルケトの決意と願い
「では王都のはずれの名もなき教会で式を挙げます。呼ぶのは兄上とメイホウ殿、もっちだけで」
「うん。それがいいんじゃないかな。いやぁ、楽しみだなぁ」
…運命は残酷だ。リースのお腹を見ると愛しそうに撫でていた。
…悔しい。そのお腹にいるのが僕の子供だったら…どんなによかっただろうか…。
「それでは式の手配をしてきます」
「うん。なるべく早めにね。じゃないと僕は死んでしまうかもしれないから」
「冗談はやめて下さい。
では、今から行ってきます」
「行ってらっしゃい」
手を繋いで部屋から出て行く二人を見送り、暫くして僕は涙を零した。
(あぁ…愛しいのに憎い…大好きなのに憎いよ……セティ。羨ましい…)
元気だったらしたい事、沢山あった。
本当に結婚だってしたかった。
美しいリースと、沢山の子供達に囲まれて立派な王様になりたかった。
何故、僕はこんな体なんだ…何度セティが僕だったらと思っただろう……思ってはいけないのだけど、願わずにはいられなかった…
僕は…セティになりたかった。生まれたかった…。
例え弟達にいじめを受けてもいい。リースと結婚したかった…。
「あぁ…」
息が苦しい。泣いたせいか…酸素を吸い込み、胸を押さえる。
「決めた…」
リースのお腹が大きくなったら僕は父上に王位継承権を求める。
リースのお腹の子を未来の王にするんだ。
貴族落ちなんてしない。一瞬でもいい、僕が王になって…法律を作る。子供同士のいじめ、戦いは禁止。皆で仲良く暮らすんだ。
皆子供同士で遊んで、勉強して、ご飯も楽しく食べて……普通の家庭のような、素敵な家族になれるように……




