兄上を担ぎ上げる俺。
兄上の行動は早く、直ぐに採取討伐隊を編成してみせた。
流石第一王子。
カリスマ性が違うぜ。
万能薬になる薬草の書物から特徴と形態を書き出して兄上に渡すと、各隊の隊長に申し送りをして出発準備を行っていくのを横目に見ている俺。
何故か出発前に呼び出されたのだ。
居心地が悪い中、ただ立ち尽くしていた俺の隣で兄上が声を上げた。
「我が弟が薬師となり活躍しているのは、皆も周知の事実であろう。今回、弟の願いを叶える為、我ら採取討伐隊は魔物の洞窟へ向かう。」
違う、違う!そうじゃない!
俺の願いじゃない!
兄上の発案にしないと!
「先程、弟が用意した資料を見たであろう。万能薬として使われる薬草だそうだ。魔物の洞窟付近にあるという事で、希少とされているものだ。薬草を採取した者、魔物を討伐した者、それぞれ報酬も追加で出す。直ちに向かい任務を完了するぞ!」
兄上の声に、騎士団員が答える
やっぱり、国を担うのは兄上で間違いないな。
俺にはカリスマ性皆無だもん。
兄上と騎士団の目が俺に向いたので、なんか言えって事だよな。
「兄上が常々、国を民を思っているのは皆も感じているだろう。そんな兄上を支えたいと私も日々精進しているつもりだが、武を苦手とする私は、どうしても兄上に頼りっきりになってしまう。私が出来ない分、騎士団の皆で支えて欲しい。万能薬の薬草が入手出来れば、更に民の健康を守る事が出来ると、兄上はこの採取討伐を組む事になされた。どうか、兄上の期待に応えてくれ。傷薬などは、後続の部隊に渡してある。数も沢山用意してあるので我慢せず使用してくれ。私からは以上だ。」
騎士団員から、色々と声が上がるが手を挙げて応えておく。
「では、参るぞ!」
兄上を先頭に、五十頭程の馬に乗った団員が駆けて行き、その後ろを傷薬と薬師二人を乗せた馬車がついていった。
ちなみに、兄上にはこっそりSランク傷薬をいくつか渡しておいた。
兄上になんかあったら本末転倒だしな。
隊が組まれてから、出立まで1週間程度。
第一王子がこんなに直ぐ、出立できるのは、魔物の討伐が組み込まれているからだ。
流石、武を一番に考える国。
第一王子でも現場に直ぐ行かせるのは凄い。
さてさて、兄上が帰って来るまでに俺は俺で準備しておこう。
マルスに頼んで、王都の酒場などに噂を流して貰う。
立派な第一王子は、民の為に危険な魔物の洞窟へと、薬草の採取と魔物の討伐をしに出立されたと。
そうすれば、民が感謝をして街道に並び帰宅した兄上を迎えるだろう。




