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聖女召喚した聖女がやる気がないので、俺が聖女になるしかない  作者: しののめ あき


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マルスが部屋を出て10分程で、マルスと一緒に兄上がやって来たのには焦ったが、それだけ兄上も気にしているのだろうと、俺の部屋にティーセットの準備をするように段取りをして、兄上の対面に腰をおろした。


「カイルは、忙しそうだったからこちらから誘うのは気が引けてね。声を掛けてくれて嬉しいよ。」


そう言えば、兄上と二人で茶を飲むのは久しぶりかもしれない。


「兄上の治世の為にと、毎日励んでおりますが兄上との時間が一番、私にとっては大事だと思いまして。」


「そうか。私の為か…表彰などを拒んでいるのも、私に遠慮してなのか?」


「兄上がいなければ、私も薬学などに手を出しておりません。兄上が表彰されるならば歓迎致しますが、私の表彰などどうでもいいのです。」


「しかし、私は民の為に何も出来ていないんだ。カイルと違ってね…」


目を伏せた兄上の表情に胸がツキンと痛んだが…


「兄上にご相談があるのです。」


「カイルが珍しいね?私に出来る事かな?」


「兄上しか出来ない事です。」


「聞かせてくれるかな?」


「はい。私が薬学を学んでいるにあたって、幻の薬草というものが存在する事が分かりました。万能薬の材料です。その薬草は非常に希少で、魔物が出る洞窟付近にしか生えていないそうなのです。」


「ふむ。どの魔物の洞窟でもいいのかな?」


「はい。何故、魔物の洞窟の付近に生えるのかは解明されていませんが、魔物が住む洞窟であれば間違いなく生えているそうです。」


「なるほど。で、その薬草を採ってこいと?」


「兄上の剣は騎士団長もお墨付きとか。そんな兄上が編成する薬草採取隊であれば、騎士団の士気も上がり手助けしてくれるでしょう。我が国は武勇を尊ぶ国。剣の扱いより薬師や文官のような仕事ばかり好む私では、騎士団の手助けは見込めませんし、私の薬ばかり注目されて、武勇を大事にして来た者達が納得していないのも存じております。」


そんな噂聞いた事はないけど、カイル殿下に剣の腕もあれば…と、嘆いてる騎士団長の姿は良く見るからな。


「カイルが思う程、納得していない者は居ないはずだよ?なんせ、武勇では治せない病を治してくれるのだから」


「では、兄上がその薬草を持ち帰り、更に難しい病も治し、魔物も屠って来たとなればどうでしょう?薬を作るのは私だとしても、私では採取出来ない薬草で、ギルドに頼めば通常の薬草採取と異なり、依頼料も高くなりますので、安価に出回る薬にはならないでしょう。しかし、兄上が民の事を思い採取した薬草を、私に調合させ尚且つ魔物の脅威も振り払えばどうでしょう?」


「…カイルの用意した舞台で私に踊れと?随分と私は不甲斐ない兄なようだ」


やべ。

間違えたか?

まぁ、弟にお膳立てされんのって腹が立つか。


「いえ、私には万能薬の薬草を採取する力が無いので、兄上に助けて頂きたいだけです」


兄上と見つめ合う事、数秒。


「私の為に感謝する。その舞台に上がらせて貰おう。優秀な弟がこれ以上自らを貶める前にな。」


「兄上!それではお願い出来るのでしょうか?」


「あぁ、今から騎士団へ向かい編成隊を組む。楽しみに待っていろ。茶の場を途中退席する無礼は許せ。」


「はい!ありがとうございます!」


気持ちが通じて良かったぁ!

マルスをチラリと見れば、彼もホッと息を吐き出していた。

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