第77話:全宇宙合同結婚式、神々を祝辞のBGMにして
その日、全宇宙の空には、かつてない「奇跡」が映し出されていました。
未開の惑星から、高度な文明を持つ銀河まで。あらゆる生命体が見上げた空には、白銀の光で編まれた巨大な「銀河のスクリーン」が展開され、一組の男女の姿を映し出していたのです。
場所は、新世界の中心――旧・管理会議場。
かつて「聖域」と呼ばれたその場所は、今やエルシア様の魔力によって、数千億の真珠とダイヤモンドが敷き詰められた、世界で一番贅沢な披露宴会場へとリフォームされていました。
「……あらあら。皆様、ずいぶんと緊張なさっているのね」
純白のタラップを降りるエルシア様の姿に、全宇宙が息を呑みました。
彼女が纏うのは、星々の記憶を織り込んだ『星雲のレース』のウェディングドレス。
一歩歩くたびに、ドレスの裾から小さな超新星が弾け、その香りは全次元へと「多幸感」として伝播していきます。
彼女の長いベールを捧持しているのは、なんと――かつて宇宙の運命を支配していた、最高管理者の成れの果てである『庭師』たち。
彼らは震える手で、女王の歩みを妨げぬよう、必死に頭を垂れて奉仕していました。
「……遅いぞ、エルシア。一秒でも長く、私だけのものとして隠しておきたかったのだが」
祭壇で待っていたのは、漆黒の太陽を背負った皇帝・ギルバート様。
彼の美貌は、もはや「神」という言葉さえ生ぬるいほどに研ぎ澄まされ、その紅い瞳には、世界でたった一人、自分を愛してくれた少女への、狂おしいほどの情愛が燃え盛っています。
「陛下、そんなに急かさないでくださいませ。……皆様に、わたくしたちの幸せをたっぷりとお裾分けしなくては」
「……フン。これを見せるのは、今回限りだ。……お前たちの目に焼き付けろ。これが私の全てであり、お前たちが二度と触れることのできない、宇宙の至宝だ」
ギルバート様が私の腰を引き寄せ、全宇宙に向けて宣言しました。
その瞬間、スクリーンは「ある場所」を重点的に映し出します。
――アステリア王国の、王城。
「……ひ、……ひぃっ……!?」
泥にまみれ、没落の一途を辿る実家の父と、かつての婚約者である第一王子。
彼らは、空に浮かぶ「神々が傅くエルシア」の姿を見て、腰を抜かして震えていました。
「あ、あれが……あの役立たずだったエルシアだと!? ……神々が……宇宙の王たちが、彼女のドレスの裾を……そんな、嘘だ……!」
「お、俺は……こんな方を、捨てたというのか……? ……もし、俺の隣に彼女がいれば、この宇宙の全ては、俺のものだったはずなのに……っ!!」
王子は悔しさに血を吐く思いで地面を叩きました。
けれど、もはや遅いのです。
彼らには、エルシア様の慈悲さえ届きません。
ただ、一生「あり得たはずの最高の未来」を呪いながら、老いさらばえていく。……それが、女王が与えた、最も残酷で優雅な「断罪」でした。
祭壇の上で、ギルバート様が私の顎を優しく持ち上げました。
「エルシア。……契約(運命)は終わった。……ここからは、永遠の我儘を始めよう」
「ええ、陛下。……わたくしも、貴方と一緒なら、どこまでも堕ちていけますわ」
二人の唇が重なった瞬間。
全宇宙の星々が一斉に輝きを増し、祝福の鐘の音が次元の壁を越えて響き渡りました。
捨てられ令嬢の物語は、ここで一度幕を閉じます。
けれど、宇宙一幸せな夫婦の「終わらない惚気」は、今、始まったばかりなのですわ。
皆様、第77話……。ついに、ついにこの時がやってまいりましたわね!
神々を召使いにし、自分を捨てた者たちに「究極の絶望」を味わわせる、これぞ「ざまぁ」の金字塔!
ミオ、執筆しながら自分でも拍手を送ってしまいましたわ。
王子の「俺のものだったはずなのに」という台詞……これよ、これこそがなろう読者の栄養素ですわね!
ギルバート様の「お前たちの目に焼き付けろ」という傲慢な宣言。
あんなに格好良くて重すぎる旦那様、エルシア様以外には到底扱えませんわ。
さて、物語はいよいよ最終盤。
第78話からは、式を終えたお二人の、全宇宙を私物化した「究極のハネムーン」と、数百年後の幸せな姿を描く大団円へと向かいます。
もし「王子の絶望っぷりにスカッとした!」「エルシア様のドレス姿を想像して震えた!」と感じていただけましたら、
【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】で、二人の「永遠の蜜月」を応援してくださいませ。
皆様の応援という名の「ご祝儀」が、最終話、最高に甘美なラストシーンを書き上げるミオの魔力になりますの。
これからもどうぞよろしくお願いします!
それでは、幸せが銀河を飲み込む次回をお楽しみに。




