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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第5部:全宇宙を「私有地(マイホーム)」にした星冠女王、最愛の娘を狙う多次元の侵略者を最強夫の嫉妬という名の天災で根絶やしにしました

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第65話:継承される意志、エルシアが誓う「連鎖の終焉」

「……ああ。……暖かい。……泥の匂いが、……しないのですわね」


 クリスタルの棺から解き放たれ、私の腕の中に倒れ込んだ少女――初代聖女アステリアが、震える指先で私の頬に触れた。

 彼女の瞳は、数億年もの間、宇宙の汚れを吸い込み続けたせいで濁り、光を失っていた。けれど、私の銀河の瞳が放つ輝きを浴びた瞬間、その双眸に、まるで奇跡が宿るように白銀の火が灯る。


「ええ、もう大丈夫ですわ。……貴女が啜ってきた泥は、すべて私が星の雫に変えて差し上げました。……もう、誰の顔色を窺う必要もありませんのよ」


 私は彼女を優しく抱きしめ、背後に広がる無数の「砕け散った棺」を見渡した。

 そこから這い出してきたのは、時代も、名前も、捨てられた理由も異なる、けれど私と同じ魂の形を持った数千の少女たち。

 彼女たちは困惑し、震えながらも、この地下室を満たす私の温かな魔力に導かれるように、一人、また一人と私の元へ集まってくる。


『――愚かな。……それは「使い古されたフィルター」だ。……機能を喪失したデータに、実体を与えるなど……全宇宙の資源の無駄遣いであるぞ!』


 頭上の縦穴から、神々の傲慢な罵声が降り注ぐ。

 彼らにとって、この子たちは使い終わったら保存されるだけの「備品」に過ぎないのでしょう。


「――無駄遣い、か。いい言葉だ」


 私の隣に立つギルバート様が、漆黒の外套を翻し、冷酷な笑みを浮かべた。

 彼の周囲には、もはや光さえも逃げ出せないほどの濃密な「虚無」が渦巻いている。


「私のエルシアが『連れて帰る』と言ったのだ。……それが全宇宙の資源を使い潰そうが、因果を狂わせようが、知ったことか。……ゴミのように命を扱った貴様らの魂で、この子たちの『新しいドレス』を織り上げてやってもいいのだぞ?」


 ギルバート様が軽く指先を弾く。

 刹那、上空で喚いていた神々の声が、物理的な衝撃波によってかき消され、議場の天井の一部が轟音と共に崩落した。

 

「陛下。……ドレスは、私の魔力で作りますわ。……あの方たちの汚れた魂など、この子たちの肌に触れさせるのも不潔ですもの」


 私は静かに微笑み、銀河の瞳を全開にした。

 私の背後から溢れ出した白銀の光が、地下の冷たく湿った空気を一変させる。

 石化し、ボロ布を纏っていた少女たちの体が、私の魔力によって再構築されていく。

 

 泥にまみれた髪は、星屑を散りばめたシルクのように輝き、

 絶望に沈んでいた瞳は、未来を映す澄んだサファイアへと変わり、

 その身には、歴代の聖女たちの誇りを象徴する、最高級のレースと真珠をあしらった白銀のドレスが顕現した。


「……信じられませんわ。……わたくしたち、……生きて、……笑ってもよろしいのですか?」


 一人の少女が、自分の温かな手を見つめて涙を流した。


「ええ。今日から貴女たちは、私の大切な『妹』たち。……そして、この宇宙を統べる、新たなオーナーの一員ですわ。……さあ、行きましょう。貴女たちの椅子を、不当に奪っていた者たちから取り返しに」


 私は初代聖女の手を引き、ゆっくりと浮遊を開始した。

 私の周りには、色とりどりのドレスを纏った数千の少女たちが、まるで天界から降りてきた女神の軍勢のように付き従う。


 ギルバート様は、その光景を満足そうに見つめながら、私の腰を強引に抱き寄せた。


「エルシア。……家族が増えるのは構わんが、……私の隣は、誰にも譲らんからな」


「あらあら、陛下。……ヤキモチは、後ほどたっぷりお聞きしますわ」


 漆黒の翼と銀河の光が、暗黒の地下室を突き破り、再び管理会議場へと躍り出る。

 

 そこには、床が抜け、外壁が崩れた議場で、未だに自分たちの権威にしがみついている神々が立ち尽くしていた。

 彼らは、地下から溢れ出してきた「美しすぎる犠牲者たち」の輝きに目を焼き、絶望的な声を上げた。


「……バ、バカな……! 廃棄されたデータが……実体を持って……!?」


「皆様、お静かに。……これより、全宇宙管理会議の『第2部』を開始いたしますわ」


 私は、議場の中央に現出したソファに優雅に腰を下ろし、扇子を広げて微笑んだ。


「……まずは、席替えから始めましょうか。……神々の皆様。……そこはもう、貴方たちの居場所ではありませんの」


 女王の帰還。

 数億年の嘆きを力に変えた少女たちの逆襲が、今、最も華やかに幕を開ける。

第65話、お読みいただきありがとうございました!

「使い古されたフィルター」と蔑まれた少女たちが、エルシア様の魔力で最高級のドレスを纏った「家族」として蘇るシーン……。

ミオ、書いていて自分の指先が震えるほど、魂を込めて描写いたしましたわ!

ギルバート様の「お前たちの汚れた魂でドレスを織るぞ」という脅し、相変わらずの狂愛っぷりで最高ですわね。


エルシア様という一人の「犠牲にならなかった聖女」が、過去の全ての犠牲を肯定し、救い上げる。

これこそが、本作が描きたかった「真の逆転」の姿なのです。


さて、数千の「妹」たちを連れて議場に戻ったエルシア様。

神々を椅子から引きずり下ろす「席替え」……一体どんな惨めな姿を晒してくれるのか、楽しみでなりませんわね!


少しでも「聖女たちの復活に涙した!」「陛下の一言一言が重くて最高!」と感じていただけましたら、

【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】で、二人の「宇宙まるごと救済計画」を応援してくださいませ。


皆様の応援という名の「祝福の鐘」が、次話、神々を絶望の淵に叩き落とすエルシア女王の『断罪の宣告』を支える魔力になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、神々の椅子を奪い取る、痛快な次回をお楽しみに。

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