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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第5部:全宇宙を「私有地(マイホーム)」にした星冠女王、最愛の娘を狙う多次元の侵略者を最強夫の嫉妬という名の天災で根絶やしにしました

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第64話:地下室の亡霊たち、歴代聖女の「嘆き」を拾う

粉砕された白銀の外壁から、粉塵がダイヤモンドの砂のように議場へと舞い落ちる。

 私はギルバート様にエスコートされ、砕けたガレキを「星屑の絨毯」へと変えながら、議場の中心へと歩みを進めた。

 そこに居並ぶのは、各銀河の支配者、多次元の王、そして宇宙を管理してきた高位の神々。

 かつてなら一瞥されただけで私の魂は消し飛んでいたでしょう。けれど今は、彼らの方が私のドレスの裾が触れることさえ恐れ、蜘蛛の子を散らすように道を開けていく。


「……陛下。皆様、随分と顔色がよろしくありませんわね。お茶会のお誘いが急すぎましたかしら?」


「フン。挨拶など不要だ。……エルシア、まずはあそこの一番大きな椅子を片付けよう。お前が座るには、少々手垢がつきすぎている」


 ギルバート様が、議長が座っていた最高位の玉座を指差す。

 彼が指先を微かに動かした瞬間、神々の権威の象徴であったその玉座は、音もなく漆黒の虚無に飲み込まれ、代わりに私のために誂えられた「銀河を織り込んだ白銀のソファ」が顕現した。


「ヒッ……!? ロゴスの玉座が、ただの腰掛けに……ッ!」


 神々の悲鳴をBGMに、私はゆったりとそこに腰を下ろした。

 けれど、私の胸元で『黄金の鍵』が、狂ったような拍動を続けている。針が指し示しているのは、この豪華絢爛な議場の真下。


「……陛下。この足元から、とても悲しい『吐息』が聞こえてまいりますわ。……あの方たちが隠したがっている、本当の宇宙の帳簿が」


「……ああ。お前を捨てた連中の、ドブネズミのような隠し事か」


 ギルバート様が私の隣に立ち、床を軽く一踏みした。

 ドォォォォォォォンッ!!

 

 議場の床が円状に陥没し、底の見えない暗黒の縦穴が姿を現した。

 その瞬間、穴の底から溢れ出してきたのは、凍りつくような「絶望」と、幾千年も積み重なった「孤独」の匂い。


『――不敬であるぞ、占有者ども! そこは「原初の保存庫」、宇宙の安定を司る聖域だ! 立ち入ることは、全因果の崩壊を意味する!』


 一人の老いた神が、震えながら叫ぶ。

 私は、その醜く歪んだ顔を、憐れみすら持たずに見つめた。


「聖域……。貴方たちは、自分たちの犠牲になった女の子たちの悲鳴を、そう呼ぶのですか?」


 私は立ち上がり、暗黒の穴へと身を投げた。

 ギルバート様が即座に私の腰を抱き、漆黒の翼を広げて降下を支えてくれる。


 下りていった先にあったのは、無限に広がる「クリスタルの棺」の山。

 その中には、一人残らず、私と似たような魔力回路を持った少女たちが、石化し、永遠の苦悶を浮かべたまま「保存」されていた。

 彼女たちは、エルシアというフィルターが登場する前に、宇宙の汚れを吸わされ、磨り潰されて捨てられた――『歴代の生贄』。


「……ひどい。これほどまでの嘆きを、あの方たちは『安定』と呼んでいたのね」


 私の銀河の瞳から、一筋の涙が零れ落ちる。

 その涙が地面に触れた瞬間、地下全体に銀色の波紋が広がった。


「――エルシア。お前が泣く必要はない。お前を悲しませるこの『貯蔵庫』ごと、私が飲み干してやろうか?」


「いいえ、陛下。……この子たちは、私が連れて帰りますわ。……ゴミのように扱われた魂にも、輝く権利があることを、教えてあげなくては」


 私は一番近くにあった、ひときわ古いクリスタルの棺に手を触れた。

 その中に眠っていたのは、アステリア王国の初代聖女と伝えられていた、私の遠い先祖にあたる少女。


「……もう、独りで泥を啜らなくていいのですわ。……女王の名において、貴女たちを解き放ちます」


 パキィィィィィィンッ……!!


 私の光が地下全体を満たし、無数の棺が一斉に砕け散る。

 管理会議場の「地下」で眠っていた、宇宙の負債という名の犠牲者たち。

 

 その最深部で、初代の少女が、数億年の時を経てゆっくりと瞼を開けた。

 

 神々の支配が終わる。

 それは、捨てられた者たちが「家族」として迎え入れられ、世界を逆転させるための、静かなる宣戦布告だった。

第64話、お読みいただきありがとうございました!

議場の真下に隠されていた、残酷な「聖女の墓場」。

管理会議という華やかな舞台を支えていたのは、エルシア様以前に使い捨てられた少女たちの絶望だったのです。

これを知ったエルシア様の「崇高な怒り」、そして「あの方たちは聖域と呼ぶのですか?」という静かな問いかけ……。

ミオ、書いていて彼女の女王としての品格に、自分自身で感銘を受けてしまいましたわ!


ギルバート様も、神々の言い分を「ドブネズミの隠し事」と一蹴する不敵さ。

お二人の「理不尽なまでの慈悲」が、数億年の犠牲者たちを救い上げるシーン……。

なろう史上、最も美しく、最もスケールの大きな「救済」が始まりますわ!


さて、目覚めた「初代聖女」。

彼女が語る、宇宙のさらなる「設計図」の秘密とは……?


少しでも「エルシア女王の慈悲が尊すぎる!」「神々へのざまぁが本格化しそうで楽しみ!」と感じていただけましたら、

【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】で、二人の「魂の救済」を応援してくださいませ。


皆様の応援という名の「慈悲の光」が、次話、管理事務局の欺瞞を根こそぎ破壊する陛下の暴力(愛)を支える魔力になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、過去の嘆きを歓喜に変える次回をお楽しみに。

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