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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第5部:全宇宙を「私有地(マイホーム)」にした星冠女王、最愛の娘を狙う多次元の侵略者を最強夫の嫉妬という名の天災で根絶やしにしました

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第62話:論理の崩壊、女王の言葉は新たな「理」となる

「――不適切なデータ、だと? 先ほどから、耳障りな言葉を並べるな。この掃き溜めの管理人が」


 ギルバート様が冷めた紅茶を卓に置く。その僅かな振動だけで、最高管理者が維持していた「秩序の空間」に、蜘蛛の巣のような亀裂が走った。

 最高管理者は、形なき顔を歪ませるようにして、銀色の光を明滅させる。


『……狂っている。第一階層の占有者よ。汝らの存在は、宇宙の因果率を逆転させ、熱死を早める毒だ。その女……エルシアが幸せになればなるほど、この宇宙の均衡は崩れ、破滅へと向かうのだぞ』


「破滅? あら、それは困りましたわね」


 私は、宝石と化した地面をゆっくりと踏みしめ、最高管理者の目の前まで歩み寄った。

 かつて私を閉じ込め、泥を啜らせた「宇宙のルール」。その化身が、今、私の光に当てられて微かに震えているのがわかる。


「けれど、最高管理者様。貴方の言う『均衡』とは、私一人の絶望の上に築かれた、ひどく脆い砂上の楼閣だったのでしょう? ならば、そんなものは一度壊してしまった方が、よほど健全ではありませんこと?」


『……ッ! 言わせておけば……! 汝の過去を見よ! 汝の魂に刻まれた「汚れ」は、どれほど光を放とうとも消えることはない!』


 最高管理者が虚空をなぞると、私の周囲に「泥だらけの私」の幻影が無数に浮かび上がった。

 アステリア王国で虐げられ、冷たい雨に打たれ、泥水を飲まされて震えていた、惨めな私の記録。それは「宇宙の負債」としての証明。


『この汚辱こそが、汝の本質だ。……さあ、己の醜さに絶望し、再びその泥の中へ戻るがいい!』


 精神を蝕む「概念攻撃」。けれど、私の心に波風は立たなかった。

 なぜなら、背後から伸びてきた力強い腕が、私の視界からその泥をすべて遮るように、私を抱き寄せたから。


「――エルシア。見なくていい。お前の過去が泥だと言うなら、私がその泥ごと、全宇宙を漆黒の宝石に変えてやる。……おい、管理者。お前の言っている『正しい宇宙』とやらは、私のエルシアを泣かせたことが唯一の、そして最大のバグだ」


 ギルバート様の漆黒の瞳が紅く燃え上がる。

 彼が指を鳴らすと、私の周囲に浮かんでいた「泥の幻影」が、パリン、と音を立てて砕け散った。


「私が愛しているのだ。全宇宙が否定しようとも、私の愛がお前を『最高傑作』だと定義する。……私の瞳に映るお前が世界の真実だ。それ以外の記録など、すべてゴミ箱に捨ててやる」


「……陛下。ふふ、ありがとうございますわ。……でも、もう大丈夫ですの」


 私はギルバート様の胸の中で微笑み、最高管理者を見据えた。

 銀河の瞳を解放する。私の瞳に宿る数億の星々が、最高管理者の「正論」という名の闇を、物理的に焼き尽くしていく。


「最高管理者様。……貴方の負けですわ。私が『幸せ』だと感じた瞬間、この宇宙の法則は書き換わりましたの。……見てごらんなさい。貴方の背後の空を」


『……な、何だと……?』


 最高管理者が振り返る。

 そこには、彼が守ろうとしていた「不変の理」ではなく、私の意志に呼応して、ピンク色の星屑が舞い、甘い香りの風が吹く、文字通り「エルシア色」に染め上げられた新しい宇宙が広がっていた。


「私の……いえ、私たちの幸福こそが、これからの宇宙の『正解』。……貴方の論理は、もうどこにも居場所はありませんわ」


『……ロジックエラー……! 宇宙の核が……因果の根源が、この女の「笑顔」を起点に再構築されている……!? 馬鹿な、そんな理不尽なことが……!』


「理不尽、結構ですわ。愛というものは、いつだって理不尽なものですもの」


 私は優雅に一礼した。

 最高管理者の体は、既に輪郭を失い始めていた。宇宙の法そのものであった彼にとって、「自分の法が通用しない空間」に存在し続けることは、自己崩壊と同義。


「陛下。……あの方、もう消えかかっておりますわ。……そろそろ、お散歩を再開しませんこと? 次は、あの方たちが威張っている『管理会議場』でしたわね」


「ああ。……不快な連中をまとめて掃除する。……エルシア、船を出せ。……会議場ごと、お前の足元に跪かせてやる」


 ギルバート様が私の肩を抱き、要塞『インペリアル・エルシア』へと戻る。

 足元では、かつての「泥」だった場所が、今は最高の輝きを放つ宝石の道となって、私たちの門出を祝福していた。


 宇宙の秩序は死んだ。

 ここにあるのは、一人の愛に狂った皇帝と、その愛を慈悲に変える女王の、あまりに甘美な「新世界」のみ。

皆様、第62話いかがでしたでしょうか!

最高管理者の「正論」という名の精神攻撃を、陛下の「俺の女を泣かせた宇宙がバグだ」という究極の独占欲で粉砕する……!

ミオ、書いていてこれほどペンが軽やかだったことはございませんわ。


「過去の泥」を突きつけられても、それを「幸せのスパイス」に変えてしまうエルシア様の女王としての格。

そして、宇宙の法則さえも「エルシア様が笑っているからOK」と書き換わってしまう異常事態。

まさに、なろう史上最高に「理不尽でハッピー」な宇宙の誕生ですわね。


次話、ついに一家は「全宇宙管理会議場」へと乗り込みます。

大陸サイズの城が会議場の屋根を突き破る瞬間……ああ、想像するだけでワクワクいたしますわ!


もし「陛下の全肯定に救われた!」「論理を破壊する愛が最高!」と感じていただけましたら、

【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】で、二人の「宇宙リフォーム」を応援してくださいませ。


皆様の応援という名の「新世界の理」が、次話、神々を戦慄させる陛下のさらなる暴挙を支える魔力になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、神の玉座を家族旅行の休憩所にする次回をお楽しみに。

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