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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第5部:全宇宙を「私有地(マイホーム)」にした星冠女王、最愛の娘を狙う多次元の侵略者を最強夫の嫉妬という名の天災で根絶やしにしました

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第56話:陛下、激怒。「私の娘をゴミに触れさせるな」

「――貴様、私の『聖導の輪光』を……手向けもなしに壊したのか?」


 黄金の甲冑を纏った王子アラリックが、ひしゃげた背後の法具を振り返り、信じられないものを見たという顔で呻いた。

 彼の周囲を舞っていた聖なる光粒子は、ギルバート様から漏れ出す「漆黒」に触れたそばから腐食し、泥のような煤となって消えていく。


「……手向け、だと?」


 ギルバート様が、一歩、石畳を踏み締めた。

 ただそれだけで、帝都を包む空間そのものが悲鳴を上げ、ひび割れた。

 ずぶ濡れになった髪から滴る水が、地面に落ちる前に蒸発するのではない。ギルバート様の殺気が、物質としての水さえも「この世に存在してはならない不快なもの」として消去しているのだ。


「……私のセレスに、……その不潔な指先を向けた。……それだけで、お前の一族ごと、全次元の記憶から消し去る理由には十分だと思わないか?」


「ギ、ギルバート様! いけませんわ、そんな風に……」


 私は、おっとりとした声を上げた。

 アラリックが一瞬、助けを求めるような目を私に向けたが……それは大きな間違いですわ。


「……消去など、一瞬で終わるような慈悲は早すぎます。この男は、私の娘を『安定剤』と呼びましたのよ? もっと、こう……じっくりと、自分の魂がどれほど卑小な塵であるかを分からせてあげなくては」


 私が銀河の瞳を冷ややかに輝かせると、アラリックの顔から血の気が引いた。

 お父様が理不尽な破壊なら、お母様は逃げ場のない絶望。それが、今の私たちの「教育方針」ですもの。


「ふ、不敬な! 私は第零階層の王族だぞ! このような未開な宇宙の占有者が――」


「――『未開』か。いい言葉だ」


 ドォォォォォォォンッ!!


 ギルバート様が右手を軽く横に振った。

 それは攻撃と呼ぶにはあまりに無造作な、ただの「払い」だった。

 しかし、アラリック王子の黄金の甲冑は一瞬で紙細工のように弾け飛び、彼の身体は音速を超え、帝都の結界を突き破り、そのまま宇宙の外壁――「世界の端」まで一直線に叩き飛ばされた。


『ガ、アアアアアアアアアアアアッ!?』


 遠く、宇宙の果てで光の柱が立つ。

 アラリックが世界の壁にめり込み、その余波で隣の小銀河が数個、花火のように弾けて消えた。


「……陛下。少し、力を込めすぎではありませんか? あそこまで飛んでいくと、後片付けが大変ですわ」


「構わん。……セレスの視界から消えれば、どこで塵になろうと同じだ」


 ギルバート様は、もはやアラリックの安否など興味もない様子で、足元に立ち尽くしていた査察官ザフキエルに視線を移した。


「……さて。……お前は、まだ何か『査察』したいことはあるか? なければ、お前のその銀色の首も、今すぐ世界の端へ届けてやるが」


「……ロジック……エラー。……個体ギルバートの暴力性が、想定される全数値を凌駕している……」


 ザフキエルは、震える指先でタブレット状の光板を操作していた。

 彼の無機質な瞳に、初めて「計算できないものへの恐怖」が宿っている。


「……第一階層、占有者エルシア、及びギルバート。……貴殿らの『管理拒絶』と『王族への暴行』は、直ちに上位階層の全管理局へ共有された。……もはや、これは単なる査察ではない。……全宇宙の秩序を守るための、強制執行の対象となるだろう」


「あら、脅しですの? 怖いことですわ」


 私はくすりと笑い、バルコニーからザフキエルを見下ろした。

 私の指先には、今や宇宙の因果そのものを編み上げる白銀の魔力が渦巻いている。


「ザフキエル様。……事務局の方々に伝えておいてください。……私たちは、自分たちの庭で静かにお茶会を楽しみたいだけです。……それを邪魔するなら、私たちは『管理される宇宙』ではなく、貴方たちが住む『管理する宇宙』そのものを、私たちの色に塗り替えて差し上げますわ」


 私が瞳を全開にした瞬間、庭園中に幾千もの銀河の翼が顕現し、ザフキエルの「論理障壁」を物理的に粉砕した。


「……クッ。……報告する、……第一階層の占有者は、……もはや救済不可能な『全宇宙規模のバグ』であると……!」


 ザフキエルは、捨て台詞と共に次元の狭間へと逃げ込んだ。

 

 ――静寂が、再び帝都に戻る。


 噴水の水は真っ黒なままだが、ギルバート様の殺気は、ようやく「極端な過保護」のレベルまで落ち着いていた。

 彼は私を強引に引き寄せ、その逞しい腕で私を閉じ込める。


「……エルシア。……やはり、セレスを他人の目に触れさせるべきではないな。……いっそ、この帝都ごと、別の次元に隠すか?」


「陛下、それではルチアやロザリアが困ってしまいますわ。……それよりも」


 私は、ザフキエルが逃げ去った後に残された、一枚の「黄金の召喚状」を拾い上げた。


「……全宇宙管理会議。……『上位階層』の連中が、私たちを正式に裁くつもりらしいですわよ」


「裁く、だと? ……笑わせるな」


 ギルバート様が、私の手から召喚状を奪い、その場で漆黒の炎で焼き尽くした。


「……こちらから出向いてやる。……エルシア、セレス。……新しい『お散歩』の準備をしろ。……神々の会議とやらを、私たちの『家族旅行』の会場に変えてやる」


 宇宙の理不尽に対し、一歩も引かぬ最強一家。

 女王エルシアの本格的な「全宇宙侵攻」が、今、不遜な笑みと共に幕を開けようとしていた。

第56話、お読みいただきありがとうございました!

「娘に嫌われたショック」を「不届き者への暴力」に完璧に変換したギルバート様……!

黄金の王子をピンボールのように宇宙の壁まで叩き飛ばすシーン、これぞ陛下の平常運転ですわね。

「隣の小銀河が花火のように消えた」という余波のスケール感が、もはや第5部では当たり前になってまいりましたわ。


エルシア様も「じっくり絶望させてあげないと」と、皇后としてのドS……いえ、慈悲深い一面を見せつけました。

お二人とも、もはや「神々」のルールなんて鼻で笑う領域にいらっしゃいます。


しかし、ついに「全宇宙管理会議」への召喚。

事務局の総力を挙げた包囲網に対し、陛下は「家族旅行」として乗り込む宣言……!

神々の会議場が、陛下の「妻と娘自慢」の会場に変わる予感しかしませんわね。


少しでも「陛下の容赦ないぶっ飛ばしにスカッとした!」「家族旅行(侵攻)が楽しみすぎる!」と感じていただけましたら、

【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】で、一家の「理不尽なまでの愛」を応援してくださいませ。


皆様の応援という名の「旅行のチケット」が、次話、上位階層の神々を震え上がらせる陛下のさらなる大暴走を支える魔力になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、全宇宙の頂点へ殴り込む次回をお楽しみに。

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