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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第4部:存在そのものがエラーだと拒絶された女神、虚無の王と魂を重ねて全宇宙の因果を溺愛で上書きしました

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第49話:迫り来る『虚無』、星を呑む影の予兆

黄金の光が、一本の針となってセレスティーナの胸元へと肉薄する。

 『因果の逆転』。それは「生まれた」という原因そのものを否定し、存在の痕跡すべてを無へと還す、神が振るう最悪の消しゴム。


「……セレス!!」


 私の叫びが真空のアーカイブを震わせた。

 間に合わない。そう思った刹那――。


 私の視界から、すべての「光」が奪われた。


「――図に乗るなと言ったはずだ、薄汚い木偶でくが」


 ギルバート様が、そこにいた。

 移動したのではない。セレスの前に「影」として染み出したかのように、彼は娘をその大きな身体で覆い隠していた。

 そして、彼はあろうことか、宇宙を消去するはずの黄金の矢を、その左手で無造作に「掴んだ」のだ。


 ギギ、ギギギッ……!!


 黄金の光と、ギルバート様の漆黒の魔力が衝突し、周囲の次元がガラスのように砕け散る。

 因果を逆転させようとする神の力。だが、それを上回る密度で、ギルバート様の「独占欲」という名の執着が、矢の動きを物理的に停止させていた。


『バ……馬鹿ナ……ッ! 因果サエモ逆転サセル我ガ「死」ノ宣告ヲ、……ただの「意志」で防ぐだと!?』


「意志ではない。……これは『教育』だ」


 ギルバート様が、パキリ、と指先に力を込める。

 絶叫のような音を立てて、黄金の矢が彼の掌の中で粉々に砕け散った。

 砕かれた光は、消滅することさえ許されず、ギルバート様の漆黒に染め上げられ、ドロドロとした汚濁の塊へと変質していく。


「お前はセレスの『原因』を消そうとしたな。……ならば、お前という『現象』そのものを、私の胃袋へ放り込んでやろう。……お前の記憶も、権能も、すべては我が娘を育てるための『肥料』になれ」


 ギルバート様が右手の魔剣を振るう。

 漆黒の斬撃がデミウルゴスの巨躯を縦横無尽に切り裂き、その傷口から黄金の情報を強引に吸い出していく。

 

「……陛下、私もお助けいたしますわ」


 私は、ギルバート様の背中に手を添え、自らの『銀河の瞳』を全開にした。

 彼が吸い出した死にゆく神のエネルギー。それを、私の「創造」の力で、セレスティーナを包む温かな光へと変換していく。


 漆黒の破壊と、白銀の再生。

 二人の力が交わった中心で、セレスティーナがゆっくりと浮かび上がった。

 彼女の瞳に宿る紫の光が、デミウルゴスの遺産を飲み込み、より一層深く、美しく輝き始める。


「……ふわぁ。……お父様、お母様。……なんだか、とってもお腹がいっぱいですわ」


 セレスが眠たげに目を擦り、微笑む。

 その瞬間、デミウルゴスの存在定義は宇宙から完全に消滅した。

 「ざまぁ」などという言葉では生温い。神は文字通り、一人の子供の「成長の糧」として消費し尽くされたのだ。


 だが。

 支配者が消えた後のアーカイブに、静寂は訪れなかった。


「……陛下。……様子が変ですわ」


 私は、周囲の空間が「震えている」ことに気づいた。

 デミウルゴスという、この宇宙を繋ぎ止めていた巨大な重しが消えたことで、宇宙の天蓋に、見たこともない「真実の亀裂」が走り始めたのだ。


 亀裂の向こう側から漏れ出してきたのは、光でも闇でもない。

 それは、すべてを無関心に呑み込む『真なる虚無ヴォイド』。


『――観測、完了。……第一階層(庭園)の管理ユニット、消滅を確認』


 アーカイブの空から、デミウルゴスよりも遥かに冷徹で、感情の一切を排した声が降り注ぐ。


『これより、……不具合の発生したこの宇宙そのものを、……「無」の深淵へと投棄する。……作業開始まで、あと一刻』


「……不愉快だな。……ゴミを片付けたら、今度はゴミ箱ごと捨てに来るというわけか」


 ギルバート様が不敵に口角を上げたが、その瞳にはかつてない警戒の色が宿っていた。

 宇宙の壁の向こうに、巨大な「影」が蠢いている。

 それは星を喰らい、次元を啜る、宇宙の外側に棲む捕食者。


「陛下。……私たちの新しい帝国を、捨てさせるわけにはいきませんわね」


「当然だ、エルシア。……セレスが気に入ったこの場所を、誰にも渡さん」


 私たちは、再構築されたばかりのクリスタルの床を強く踏み締め、天を睨みつけた。

 管理者を倒したことで、私たちは本当の意味で「宇宙の敵」となった。

 だが、恐れはない。

 私の瞳には、彼という名の太陽が。

 彼の瞳には、私という名の銀河が、今も変わらず燃えているのだから。


 しかし。

 セレスの小さな手が私の服を掴んだ時、彼女の瞳に映った「未来」を見て、私は背筋に凍りつくような戦慄を覚えた。


「……お母様。……あっちから、……パパにそっくりな、……真っ黒な誰かが……泣きながら歩いてきますわ」


 セレスの指差す先、虚無の向こう側から現れたのは。

 ギルバート様と同じ顔をし、けれどその瞳に「絶望」だけを湛えた、もう一人の漆黒の影だった。

第49話 あとがき


宇宙の管理者を「肥料」として娘に食べさせてしまうという、究極のざまぁ決着……!

皆様、ギルバート様の「これは教育だ」という台詞に、痺れていただけましたでしょうか?

愛娘を狙った呪いの矢を素手で握り潰し、そのエネルギーを離乳食(魔力的には)に変えてしまう。

これこそが、本作が誇る世界一過保護なパパの姿ですわ。


エルシア様も、夫の破壊を「再生」へと繋げる完璧な内助の功。

神を倒してハッピーエンド……かと思いきや、宇宙の外側から「ゴミ回収」の宣告が!

管理者がいなくなった宇宙は、もはや「不燃ゴミ」扱いという無慈悲な理不尽。


そして、セレス様が見た「パパにそっくりな、泣いている誰か」。

ギルバート様の正体である『漆黒の虚無』の、さらに深いルーツが暴かれようとしています。

次回、第4部グランドフィナーレ。


少しでも「陛下の無双っぷりに大興奮!」「もう一人の陛下の正体が気になる!」と感じていただけましたら、

【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】をお願いしますわ!


皆様の応援という名の「存在証明」が、次話、宇宙の消去さえも跳ね返す一家の『真の伝説』を刻む力になりますの。


これからも、貴方の日常に「宇宙規模の溺愛」を。

それでは、第4部最終回でお会いしましょう。

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