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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第4部:存在そのものがエラーだと拒絶された女神、虚無の王と魂を重ねて全宇宙の因果を溺愛で上書きしました

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第45話:壊れた世界の欠片、ルチアが見た希望

次元航行艦『エターナル・エルシア』の医務室は、いまや帝国最高の魔導技術と、陛下の「執念」とも言える過保護な魔力によって、宇宙で最も安全な揺り籠と化していた。


「……セレス様。お加減はいかがですか?」


 ルチアは、絹のシーツの上で静かに眠る第一皇女――セレスティーナの傍らで、祈るように手を組んでいた。

 他世界の聖女として「管理者」に使い潰され、心を殺して生きてきた彼女にとって、この一家の侍女として仕える日々は、かつて救いたかったどの世界よりも輝かしい奇跡だった。


「ん……。ルチア、お姉様……」


 セレスが、ゆっくりと瞼を持ち上げる。

 その瞳はまだ僅かに熱を帯び、中心にはあの「紫の星」が静かに瞬いていた。


「あ、……セレス様! お目覚めになられたのですね。いま、陛下と皇后様をお呼びして――」


「ううん、いいの。お父様とお母様、私を心配して、ずっと難しいお話をしていたから。……ルチアお姉様。……泣かないで?」


 小さな手が、ルチアの頬に触れた。

 その瞬間、セレスの瞳から溢れ出した紫の光が、ルチアの意識を優しく包み込んだ。


「……っ!? これは……」


 ルチアの視界が、一瞬にして切り替わる。

 そこに見えたのは、彼女がかつて救えなかった、灰に埋もれた故郷の世界だった。

 空はひび割れ、大地は枯れ果て、管理者の「剪定」によって消えゆくのを待つだけの、救いのない終焉の光景。


 だが。

 その灰色の世界を、セレスティーナの紫の光が波紋のように駆け抜けていく。

 光が触れた場所から、枯れたはずの木々が芽吹き、灰の下から見たこともない極彩色の花々が咲き乱れる。


(ああ……。消去リブートではない。……これは……)


 ルチアは悟った。

 管理者が恐れた「再始動」とは、過去を消し去ることではない。

 **「壊れた欠片を集め、新しい命を吹き込み、より美しい未来を創る」**という、創造の極致。


「ルチアお姉様の世界……。とっても、綺麗。……私がいつか、本物にしてあげますわね」


 夢の中で微笑むセレスの姿。

 現実に戻ったルチアの瞳からは、長年枯れていたはずの涙が、大粒になって溢れ出していた。


「……ええ。ええ……。……ありがとうございます、セレス様。……我が、……我が小さき主様(女神様)……」


 ルチアが膝をつき、セレスの手を押し戴く。

 その背後で、自動ドアが静かに開いた。


「――ルチア。私の娘に何をさせている。……許可なく魔力を使わせるなと言ったはずだぞ」


 入ってきたのは、不機嫌そうな顔をしたギルバート様だった。

 その後ろでは、エルシア様が「陛下、またそんなに怖がらせては……」と困ったように微笑んでいる。


「も、申し訳ございません、陛下! セレス様が、私に……見せてくださったのです。失われた私の世界の『続き』を……」


「……フン、相変わらずお人好しだな、セレスは。……誰に似たんだか」


 ギルバート様は鼻を鳴らしながらも、セレスの元へ歩み寄り、その小さな頭を大きな手で乱暴なほど優しく撫でた。

 口では冷たいことを言いながら、彼の魔力はセレスを癒やすために、優しく部屋中を包み込んでいる。


「陛下。……セレスのこの光、やはり『希望』ですわ。……私たちは、これを守り抜かねばなりません」


 エルシア様が、ギルバート様の腕にそっと手を添える。

 皇帝は、愛する妻を見つめ、それから窓の外――次元の嵐の向こう側にそびえ立つ、巨大な『記録の図書館』を見据えた。


「ああ、分かっている。……エルシア、目的地が見えたぞ」


 全宇宙の記憶が眠る禁域、『アーカイブ・オブ・ゼロ』。

 エターナル・エルシアがその境界線イベント・ホライゾンを越えた瞬間、船内スピーカーから、ノイズ混じりの「声」が響いた。


『――不遜ナ。……泥ヲ啜ル聖女ヨ。……マタ、神ニ抗ウト言ウノカ』


「……っ!? この声は……!」


 エルシア様が、ハッとして窓の外を凝視した。

 それは、第1部で彼女を「無能」と切り捨て、アステリア王国に滅亡の神託を下した、あの不快極まりない「偽りの神」の声。


「……陛下、……あの時と同じですわ」


「……フン。案ずるな、エルシア」


 ギルバート様が、魔剣の柄に手をかけた。

 彼の瞳には、かつてないほどの愉悦と殺気が混ざり合っている。


「……ちょうどいい。……かつてお前を泣かせた『最初の原因』がそこにいるなら、……セレスの病を治すついでに、その喉笛を食い破ってやるとしよう」


 運命の輪が、第1部の原点へと繋がる。

 「無能」と呼ばれた少女の、真の意味での復讐劇。その最終章が、宇宙の記憶の底で幕を開けようとしていた。

第45話、お読みいただきありがとうございました!

侍女ルチア様の視点から描かれた、セレスティーナ様の「紫の光」の真実。

それは、管理者が恐れた「破壊」ではなく、滅びた世界さえも救う「極限の再生」でしたわ。

ルチア様が涙を流してセレス様に忠誠を誓うシーン、私も書いていて心が温まりましたわ。


そして、ギルバート様の相変わらずの「ツンデレパパ」っぷり!

誰に似たんだか、なんて仰っていますが、お父様の「愛する者を守る執念」を一番引き継いでいるのは間違いなくセレス様ですわね。


しかし、ラストで響いたあの懐かしくも不快な「神託の声」……。

ついに、エルシア様を捨てさせた「諸悪の根源」との対峙です。

第1部の因縁を、宇宙規模のスケールで「ざまぁ」する時がやってまいりました!


少しでも「ルチア様の救済に感動した!」「陛下の『喉笛を食い破る』宣言が楽しみ!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援という名の「再生の光」が、次話、偽りの神を完膚なきまでに叩き潰す陛下の魔力になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、因縁の再会となる次回をお楽しみに。

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