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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第4部:存在そのものがエラーだと拒絶された女神、虚無の王と魂を重ねて全宇宙の因果を溺愛で上書きしました

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第44話:セレスティーナの秘密、小さな手に宿る宇宙

「――セレス! セレス、目を開けて!!」


 私の叫びが、静寂を取り戻したはずの庭園に木霊した。

 膝から崩れ落ちたセレスティーナを、ギルバート様が音もなく抱き止める。

 彼の表情からは、先ほど神々を蹂躙した時の冷徹な余裕が、一瞬にして消え去っていた。


「……セレス? おい、冗談はやめろ。パパが新しいお菓子を用意させると言っただろう」


 ギルバート様の声が、僅かに震えている。

 だが、彼の腕の中の小さな娘は、ただ熱に浮かされたように呼吸を乱し、その閉じた瞼の奥で「紫の光」を激しく明滅させていた。


 ドォォォォォォォンッ!!


 次の瞬間、ギルバート様の周囲から、アビス・コトスを粉砕した時よりも遥かに禍々しい「黒い霧」が噴出した。

 庭園の石柱が、彼の殺気だけで分子レベルで崩壊していく。


「――お前たち。……見ていただろう、今の光を」


 ギルバート様が、跪いたまま動けないプロトゴノスたちを振り返った。

 その瞳は、もはや「人間の皇帝」のものではない。

 最愛の宝物を傷つけられ、宇宙そのものを道連れに心中しかねない「狂える虚無の王」の眼光。


「……あ、ああ……。……あり得ぬ。……あのような『色』、原初の記録には存在しない……」


 プロトゴノスが、顔を青白くして後ずさる。

 ギルバート様は一瞬で彼の眼前に移動し、その胸ぐらを掴み上げた。


「『存在しない』だと? ……答えになっていないな。今すぐセレスを治せ。……できなければ、お前の魂を今ここで千分の一の断片に刻み、深淵の底で永劫の苦痛を味合わせてやる」


「ま、待て! イレギュラー……ギルバート! 我らにも分からんのだ! ……あの子の瞳に宿ったのは、銀河の女神の『創造』と、貴公の『虚無』が混ざり合った、この宇宙のルールの外側にある力だ!」


 プロトゴノスの叫びに、私はハッとしてセレスの小さな手に触れた。

 熱い。……まるで、その小さな掌の中に、生まれたての太陽を閉じ込めているかのような、凄まじいエネルギー。


「……陛下、落ち着いてください。……セレスは死にませんわ。……彼女の中で、新しい『宇宙』が生まれようとしているのです」


「……何だと、エルシア?」


 ギルバート様が、僅かに殺気を緩めた。

 私は自らの『銀河の瞳』を全開にし、セレスの体内に渦巻く魔力へと干渉した。


 見えたのは、無限の闇の中に、キラキラと輝く紫色の星々が形作られていく光景。

 それは、私の「白銀の創造」でも、陛下の「漆黒の破壊」でもない。

 すべてを包み込み、すべてを無効化する、究極の「中和」……あるいは「再始動リスタート」の力。


「セレス、……苦しいわね。でも、大丈夫。……お母様が、その力を宥めてあげますわ」


 私がセレスの額にそっと唇を寄せると、私の銀河の魔力が彼女の紫の光と混ざり合い、荒れ狂っていた波動が、穏やかな小川のように鎮まっていく。


「……ぅ、……ん……。お、お母様……?」


 セレスが、ゆっくりと目を開いた。

 その瞳は、元の愛らしい紅い瞳に戻っていたが、中心部には消えぬ紫の星が、一粒だけ美しく輝いていた。


「セレス!!」


 ギルバート様が、プロトゴノスをゴミのように放り出し、セレスを壊れ物を扱うように強く抱きしめた。

 娘の生存を確認した瞬間、庭園を覆っていた絶望的な魔圧が霧散し、平和な空気が戻ってくる。


「……パパ、痛いですわ……。……私、不思議な夢を見ていましたの。……おっきな紫色の蝶々さんと、ダンスを踊っていて……」


「……ああ、そうか。……もういい、話さなくていい。……お前が無事なら、それでいいんだ」


 ギルバート様が、安堵のあまりセレスの首筋に顔を埋める。

 だが、プロトゴノスが震える声で告げた言葉が、その平和を再び凍りつかせた。


「……喜ぶのはまだ早い。……その紫の光は、『原初』がこの宇宙を見捨て、新たな宇宙を創ろうとする時に現れる『終焉の予兆』だ。……あの子が成長すれば、この宇宙そのものが彼女の魔力に耐えきれず、自壊し始めるだろう」


「……何だと?」


 ギルバート様が、再び冷酷な視線をプロトゴノスに向けた。


「……救う方法はある。……深淵のさらに外側、……全宇宙の記憶が眠る『アーカイブ・オブ・ゼロ』。そこに、原初のエネルギーを安定させるための『星の楔』があるはずだ。……だが、そこはかつて銀河の女神ですら、足を踏み入れることができなかった絶対禁忌の地……」


「フン、禁忌など、私の前ではただの『立ち入り禁止の看板』に過ぎないな」


 ギルバート様はセレスを抱き上げたまま、不敵に口角を上げた。


「エルシア。……決まりだな。……セレスが望むまま、この宇宙で笑い続けられるよう、私はその『星の楔』とやらを奪いに行く。……邪魔をする者は、それが運命であろうと、全宇宙の意志であろうと、この手で握り潰す」


「ええ……。どこまでも、お供いたしますわ、陛下」


 私は、成長した娘の瞳を見つめ、決意を新たにした。

 かつて泥を啜っていた一人の少女が、今度は愛する娘のために、宇宙の終焉という運命そのものを「ざまぁ」と言わんばかりに書き換える戦い。


 第4部『原初の深淵編』は、今、宇宙の命運を懸けた「親バカたちの逆襲」へと変貌を遂げた。

「好評につき、続行することにした」本作も、ついに第44話!

皆様の応援が、エルシア様たちを宇宙の終焉さえも「お掃除」してしまう領域へと押し上げてくださいましたわ。


セレスティーナ様の瞳に宿った紫の光、その正体は「宇宙の再始動リブート」。

我が子の成長が宇宙の滅亡を招くなんて、普通の親なら絶望するところですが……。

我らがギルバート様は「立ち入り禁止の看板に過ぎない」と一蹴!

この、神々の言葉を鼻で笑う不遜な態度、これぞ陛下の真骨頂ですわね。


エルシア様も、娘の力を優しく包み込む「真の母性」を見せつけました。

「お母様が宥めてあげますわ」という台詞、包容力と神々しさが溢れていて、私も書いていてうっとりしてしまいました。


次はついに、宇宙の記憶が眠る禁域『アーカイブ・オブ・ゼロ』へ。

そこには、エルシア様を捨てさせた「最初の神託」の真相も眠っているはず……。


少しでも「陛下の親バカ無双に期待!」「セレス様の紫の瞳がカッコいい!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援という名の「星の楔」が、次話、宇宙の理を力技で書き換える陛下の魔力になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、禁域突入の次回をお楽しみに。

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