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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第4部:存在そのものがエラーだと拒絶された女神、虚無の王と魂を重ねて全宇宙の因果を溺愛で上書きしました

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第43話:蹂躙の宴、陛下を怒らせた神の末路

砕け散った次元の破片が、粉雪のように降り注いでいた。

 その光の塵の中で、ギルバート様は私の腰を強引に引き寄せ、壊れ物を確かめるようにその大きな手で私の頬を包み込んだ。


「……傷はないな。髪一筋、失われていないだろうな、エルシア」


「はい、陛下。……むしろ、陛下が空間ごとブチ抜いてくださったおかげで、とても清々しい気分ですわ」


 私が微笑むと、ギルバート様の瞳に宿る絶対零度の殺気が、わずかに――本当にわずかにだけ和らいだ。

 だが、彼が視線を正面へ……震えながら立ち尽くすプロトゴノスたちへと向けた瞬間、再び世界が「死」の色に染まった。


「――さて。……お前たちには、どのような絶望が相応しいか、じっくりと考える時間をやると言ったな」


「貴、貴様……! 原初の迷宮を、外側から力技で破壊するなど……! あり得ぬ、人間にそのようなルールの無視は許されておらんはずだ!」


 プロトゴノスが発狂したように叫ぶ。

 その背後で、三女テミスが震える手で最後の禁忌を起動させた。


「お兄様、もう理屈などどうでもいいわ! この不届き者たちを、深淵の獣に喰らわせましょう! 目覚めなさい、アビス・コトス!!」


 轟音。

 庭園の底が抜け、そこから這い出してきたのは、数百の腕と数千の瞳を持つ、深淵の最終防衛システム――「概念」を喰らうおぞましい怪物だった。

 それはかつて、反旗を翻した無数の神々を「無」へと還してきた、深淵そのものの怒り。


「お父様、あのおっきいお化けさん、お口がいっぱいですわ! お行儀が悪いです!」


 ギルバート様の足元で、セレスが無邪気に、けれど真っ当な「批評」を口にする。


「ああ、そうだな、セレス。……あのような醜悪なものがお前の視界に入るだけで、パパは不快だ」


 ギルバート様は、迫り来るアビス・コトスの巨体を、まるで見えていないかのように無視して歩き出した。

 怪物が、その巨大な数多のあぎとを開き、ギルバート様を飲み込もうとした、その刹那。


「――ひれ伏せ。私の前だぞ」


 ドォォォォォォォンッ!!


 ギルバート様が放ったのは、ただの「威圧」だった。

 漆黒の魔力がドーム状に広がり、アビス・コトスの巨体を上から叩き潰したのだ。

 数千の瞳が恐怖に血走り、数百の腕が自分自身の重みに耐えきれず、大理石の床にめり込んでいく。


「な……!? アビス・コトスが、……跪いている……!? 声一つで、概念の獣を制圧したというのか!?」


「制圧? 買い被りだな。……ただ、ゴミ掃除の準備を整えただけだ」


 ギルバート様が、無造作に右手を虚空に差し込む。

 そこから引き抜かれたのは、魔剣ですらない。……それは、彼の「執着」を具現化した、光さえも吸い込む『虚無の刃』。


 一閃。


 音も、光もなかった。

 ただ、世界が横一文字に「断絶」された感覚だけがあった。


 次の瞬間、深淵最強の守護獣アビス・コトスは、何が起きたのかも理解できぬまま、数千の断片となって霧散した。

 再生すら許されない。存在そのものが、ギルバート様の「不快」という意志によって、宇宙の記録から抹消されたのだ。


「……ひ、ひぃぃっ!!」


 テミスが天秤の法具を落とし、腰を抜かして後ずさる。

 プロトゴノスは、あまりの力の差に、もはや神としての威厳を維持することさえできず、ただカタカタと歯の根を鳴らす。


「陛下。……もう、十分ではありませんか?」


 私は、絶望のどん底に沈んだ「兄弟」たちの前へ歩み出た。

 私の『銀河の瞳』が、今や深淵の全魔力を掌握し、庭園を柔らかな銀色の輝きで満たしていく。


「貴方たちの言う『神の格』など、陛下の愛の前では羽毛よりも軽いのです。……これ以上、私の家族を傷つけようとするなら、次は私が、皆様を『慈悲のない忘却』へとお連れしますわ」


 エルシアの背後に、巨大な銀河の翼が顕現する。

 その神々しさは、プロトゴノスたちが数千年かけて積み上げてきた権威を、一瞬で「偽物」に塗り替えた。


「……あ、ああ……。……我らが、間違っていた……。……このイレギュラーこそが、……この漆黒の虚無こそが、……真の理だったのだ……」


 プロトゴノスが力なく頭を垂れ、その場に平伏した。

 他の神々も、もはや抵抗する意志を失い、一人の人間(皇帝)と、一人の元・無能な聖女を、宇宙の頂点として認めるしかなかった。


 蹂躙の宴の、終焉。

 深淵の主たちは入れ替わり、新たな「帝国の聖域」がここに確定したのだ。


「……フン、ようやく静かになったか。……エルシア、セレス。茶が冷め切ってしまったな。……ロザリア、船に戻って新しい茶の準備をしろ。最高級のやつだ」


「はっ、……承知いたしました!!」


 ロザリアが感激と戦慄の混ざった顔で敬礼し、船へと駆け戻る。

 だが、安堵の溜息を漏らそうとした私の横で、セレスが不思議そうに声を上げた。


「……あれ? お母様。……お空に、変な色が見えますわ」


「セレス? ……!? セレス、お目々が……!」


 セレスティーナの瞳が、一瞬だけ、黄金でも銀河でもない「未知の紫色の光」に染まり、彼女はその場にフラリと倒れ込んだ。


「セレス!!」


 ギルバート様が、かつてない速さで娘を抱き止める。

 深淵の神々を倒した直後に訪れた、新たなる「変異」。

 物語は、神話の終焉から、血脈の謎へと加速していく。

第43話、お読みいただきありがとうございました!

深淵の最終兵器「アビス・コトス」を、掃除機で吸い取るかのように片付けてしまったギルバート様……!

「ひれ伏せ、私の前だぞ」という台詞、書いている私も鳥肌が立ちましたわ。

神々が自分たちの負けを認めて平伏するシーンは、まさに第4部最大級の「ざまぁ」カタルシスでしたわね。


エルシア様も「慈悲のない忘却へお連れしますわ」と、皇后としての威厳たっぷりに宣言。

かつての弱々しさはどこへやら、陛下に愛され、磨かれた彼女は、もはや全宇宙が跪くべき真の支配者です。


しかし、安堵したのも束の間。愛娘セレスティーナ様に謎の異変が……!

深淵の底で目覚めてしまったのは、果たして神の血か、それとも陛下の虚無の血か?


少しでも「陛下の無双っぷりに痺れた!」「セレス様が心配すぎる……!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援という名の「慈愛の光」が、次話、セレス様を救うための陛下のさらなる暴走(?)を引き起こす最強の鍵になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、次回の更新もお楽しみに。

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