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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第4部:存在そのものがエラーだと拒絶された女神、虚無の王と魂を重ねて全宇宙の因果を溺愛で上書きしました

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第42話:無垢なる銀河、エルシアの覚醒と慈悲

指先から、熱が消えた。

 視界を埋め尽くしたのは、目に刺さるような白銀の虚無。

 神々が展開した『忘却の迷宮』の中では、距離も時間も、そして自分という存在の輪郭さえもが、砂のように崩れていく。


『……また、独りね。エルシア』


 背後から、凍てつくような声がした。

 振り返れば、そこに立っていたのは「私」だった。

 アステリア王国の地下牢で、泥にまみれ、光を失った瞳で天を仰いでいた……かつての、無能と呼ばれた私。


『思い出して。貴女を愛していると言ったあの男も、ただの気まぐれ。……神である貴女が、あんな矮小な人間に縋るなんて滑稽だわ。……ほら、離してしまえば、残るのはこの冷たい静寂だけ』


 偽物の私が、私の頬を撫でようと手を伸ばす。

 その指先からは、耐え難いほどの「孤独」と「絶望」が溢れ出していた。

 神々が仕掛けた精神の毒。これに触れれば、心は折れ、私は二度と陛下の元へは帰れない。


 けれど。


「……ふふ。……貴女は、本当に私の過去なのですか?」


 私は、逃げなかった。

 むしろ、愛おしそうに目を細め、その震える偽物の手を、自ら優しく握り締めた。


『……っ!? 何を……なぜ、正気でいられるの? これは貴女が最も恐れていた、あの暗闇なのよ!?』


「ええ。確かに、昔の私なら泣いて叫んでいたでしょうね。……でも、今の私は知っているのです。……この静寂よりも深く、この暗闇よりも重いものが、この世には存在することを」


 脳裏に浮かぶのは、あの不遜な、けれど誰よりも情熱的な紅い瞳。

 私を泥の中から引きずり出し、「私のものだ」と傲慢に言い放ったあの男の、狂おしいほどの熱量。


「……私の陛下は、神様が用意したこんな安っぽい孤独なんて、一瞬で焼き尽くすほど『重い』のですわ。……その重さを知ってしまった私に、この虚無が届くとでも?」


 私の瞳――『銀河の瞳』が、内側から激しく明滅した。

 それは外部からの魔力供給ではなく、私の「意志」が、魂に刻まれた「愛」という名の特異点を爆発させた輝き。


「……消えなさい、過去の私。……貴女の孤独は、もう私が飲み込んであげました。……これからは、陛下の愛だけが私のルールです」


 私がカッと目を見開いた瞬間。

 白銀の世界に、幾千もの銀河が、激流となって溢れ出した。

 それは『忘却の迷宮』そのものを、内側から食い破り、再構成していく圧倒的な肯定の光。


『ガ……ギギ……ッ!! 理解……不能……。迷宮の『否定』が、彼女の『執着』に塗り替えられていく……っ!』


 遠くで神々の驚愕する声が聞こえる。

 だが、今の私にはそんな声はどうでもよかった。


 バキ、バキバキッ……!!


 空間に亀裂が走る。

 私が放った銀河の光が、迷宮の壁を粉々に打ち砕いていく。

 かつて「無能」と蔑まれた少女は、今、自らの手で神々の試練という名の檻を、紙細工のように引き裂いた。


「……さあ、陛下。……お待たせいたしましたわ」


 光が収束し、再び深淵の庭園が姿を現そうとした、その時。


 ――ドォォォォォォォンッ!!


 私の破壊とは明らかに質の違う、暴力的なまでの「破壊」が、迷宮の残骸を外側から吹き飛ばした。


「――エルシア。……遅いぞ。三秒も待たせるとは何事だ」


 砕け散る次元の破片をマントで払い、そこに立っていたのは……。

 全身から、世界を滅ぼさんばかりの漆黒の殺気を立ち昇らせた、我が夫、ギルバート様だった。


 彼の足元には、迷宮を維持していたはずの神々の術式が、真っ黒な墨をぶちまけたように無残に汚され、消滅していた。

 彼は迷宮の出口を探したのではない。

 エルシアという標的に向かって、最短距離の「空間」そのものを、その拳でブチ抜いて現れたのだ。


「……陛下。……本当にお早いお着きですこと」


 私は、呆れと、そして最高の幸福を込めて、彼に微笑みかけた。

 神々の試練など、私たちの「再会への執着」の前では、ただの薄い壁に過ぎなかったのだ。

「過去の自分」を優しく抱きしめ、迷宮ごと粉砕するエルシア様!

皆様、この高潔な覚悟に痺れていただけましたでしょうか?

かつて孤独に怯えていた少女が、「陛下の愛の方が重い」と言い放つシーン。私も書いていて、その成長ぶりに涙が出そうになりましたわ。


そして、外側から力技で空間をブチ抜いてきたギルバート様……!

「三秒待たせた」と不機嫌そうに笑うその姿は、もはや神でも悪魔でもなく、ただの「愛に狂った皇帝」そのもの。

神々が用意した迷宮を「ただの壁」として破壊してしまう、理不尽なまでの無双っぷりは、これぞ本作の真骨頂ですわね。


さて、迷宮を内と外から同時に破壊され、神々のプライドはもうボロボロです。

次はいよいよ、逆ギレした長兄プロトゴノスが、深淵に隠された「禁忌の兵器」を動かします。


少しでも「エルシア様の強さに惚れた!」「陛下の空間破壊にスカッとした!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援という名の「銀河の煌めき」が、次話、神々を絶望のどん底に叩き落とす陛下の『蹂躙』の糧になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、次回の更新もお楽しみに。

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