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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第4部:存在そのものがエラーだと拒絶された女神、虚無の王と魂を重ねて全宇宙の因果を溺愛で上書きしました

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第41話:拒絶される『光』、深淵の兄弟たち

「――下らん。下らなすぎるぞ、アストライオス。貴様、これほどまでの『冒涜』を許していたのか」


 長兄プロトゴノスの怒鳴り声が、虚空を揺らした。

 彼が指先で卓を叩くと、銀河の波紋が広がり、庭園全体が「拒絶」の波動に包まれる。


 だが、その嵐のようなプレッシャーも、ギルバート様が私の肩に回した腕の内側には、一筋の風さえ届かない。


「冒涜、ですか。……兄上。私はただ、私自身の意志でここに立っているだけですわ」


 私は、自分に用意された(正確には陛下が柱を折って作ってくださった)豪華な椅子に座ったまま、静かに紅茶を口にした。……美味しい。帝国で一番の茶師が淹れたものと遜色ない味わいだ。


「意志だと? 笑わせるな、エルシア。貴女のその力は、元を辿れば我ら『原初の種』の共有資産。それを人間などという泥の獣に分け与え、あまつさえその庇護に甘んじるとは……。貴女の存在そのものが、宇宙の汚点だ」


 プロトゴノスの横に座る三女、テミスが冷たく言い放つ。

 彼女が掲げた天秤の法具から、白銀の鎖が蛇のように伸び、私を絡め取ろうと空中を這う。


「汚れを浄化してあげましょう。……その忌々しい『愛』という名のバグを、根源から引き剥がしてね」


「――動くなと言ったはずだ」


 ギルバート様の声が響いた瞬間、空気が質量を持った。

 這い寄っていた白銀の鎖が、まるで見えない巨大なあぎとに噛み砕かれたかのように、火花を散らして千切れる。


「ひっ……!? 私の『天秤の鎖』を、魔力だけで……!?」


「茶が冷める。……エルシアがこの温度を気に入っているんだ。その不快なガラクタをこれ以上振り回すなら、その首から上の『重さ』を私の剣で調整してやろう」


 ギルバート様はカップを卓に置くと、紅い瞳を細め、神々を順番に射抜くように睨みつけた。

 その眼光は、もはや警告ではない。……処刑の宣告だ。


「……面白い。ならば試させてもらおう。……イレギュラーの王よ。貴様がどれほど『虚無』を抱えていようと、神々の合議による『原初の試練』を凌駕できるかな」


 プロトゴノスが立ち上がった。

 同時に、四人の神々が同時に印を組む。


 刹那、庭園の景色が歪んだ。

 足元の銀河の花々が真っ黒な深淵に飲み込まれ、私たちの周囲に巨大な四つの「門」が出現する。


「これは……『忘却の迷宮』!? 兄上、本気なのですか!」


 隅で震えていたアストライオスが悲鳴を上げる。


「エルシア。貴女が本当に『女神』としてここに留まる資格があるのなら、この深淵が求める『真実の姿』を見せなさい。……その醜い『人間の愛』という幻覚を維持したまま、最果てまで辿り着けるか……試してやる」


 プロトゴノスの言葉が終わるより早く、私を強烈な重力が襲った。

 ギルバート様が私の手を強く握り締める。


「離すなよ、エルシア。……どこへ行こうと、お前は私の隣にいろ」


「ええ……陛下。……離しませんわ、絶対に!」


 だが、神々の術式は狡猾だった。

 私たちを直接攻撃するのではなく、私たちの「足元の空間そのもの」を別の次元へと切り離したのだ。


「あ、……ギル様!」


「エルシア!!」


 繋いでいた指先が、わずかに離れる。

 視界が白銀の光に染まり、次の瞬間、私は一人きりで、音のない真っ白な空間に立っていた。


 ――そこには、陛下も、セレスも、ロザリアもいない。

 聞こえるのは、どこからか響く、かつての私自身の――孤独に震えていた頃の、私の声。


『……どうせ、誰も助けてくれない。……愛なんて、一瞬の夢よ。……ほら、また独りになったじゃない』


 空間の奥から、私と同じ顔をした影が、冷笑を浮かべて歩み寄ってくる。

 神々が仕掛けた、精神を摩耗させる最悪の試練。


 けれど、私は絶望しなかった。

 なぜなら、私の指先にはまだ、陛下が握りしめていたあの「熱」が、焼き付くように残っていたから。


「……ふふ。……つまらない術を」


 私は銀河の瞳を輝かせ、虚空に向かって手を伸ばした。


「陛下を、私の愛(呪い)を侮らないでください。……こんな幻覚、すぐに引き裂いて差し上げますわ」


 女神エルシアの真の覚醒と、次元を超えて妻を迎えに来る「執着の王」の暴走が、今、深淵の秩序を内側から破壊しようとしていた。

第41話、お読みいただきありがとうございました!

茶会をぶち壊し、力技でエルシア様を連れ去ろうとする神々の姑息な手……!

ギルバート様の「お茶が冷める」という理不尽すぎるキレ方に、皆様も痺れていただけましたでしょうか?


しかし、空間ごと切り離すという神々の策によって、ついに二人が離れ離れに……。

でも、ご安心ください。エルシア様はもう、昔のような弱々しい少女ではありません。

そしてギルバート様が、自分の宝物を奪われたままで黙っているはずがありませんわね。


次は、**第42話:無垢なる銀河、エルシアの覚醒と慈悲**。

独りになったエルシア様が、自身の内なる『神の力』を完全にコントロールし、迷宮そのものを破壊する爽快な回をお届けします。

そして、その時ギルバート様は……?(たぶん次元の壁を素手で殴っています)


少しでも「神々の姑息さにムカついた!」「エルシア様の強い言葉に感動した!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援という名の「愛の熱」が、次話、エルシア様が迷宮を消し去るための最強の魔力になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、次回の更新もお楽しみに。

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