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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第4部:存在そのものがエラーだと拒絶された女神、虚無の王と魂を重ねて全宇宙の因果を溺愛で上書きしました

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第39話:漆黒の王の記憶、ギルバートの『執着』の根源

門番たちの慟哭が、遠い雷鳴のように背後へ消えていく。

 『エターナル・エルシア』を降りた私たちが進むのは、星々の記憶が結晶化したような、銀色に輝く回廊。


 その突き当たりに、それはあった。

 巨大な水晶の天蓋に覆われた、玉座の間。

 そこに座っていたのは、私と同じ銀糸の髪を持ちながら、その瞳に冷酷な黄金の光を湛えた一人の青年だった。


「――来たか。我ら原初の種の中で、最も脆弱で、最も汚れ、あまつさえ『人間』などという下等な生命体に身を窶した……なり損ないの妹よ」


 青年――深淵の第二位、アストライオスが口を開いた。

 彼の言葉一つ一つが、次元の重圧となって押し寄せる。ロザリアやルチアが膝をつき、呼吸を奪われるほどのプレッシャー。


 だが、私には届かない。

 私の前には、広大な夜を背負ったかのような背中が、揺るぎなく存在しているから。


「なり損ない、か。……随分と威勢のいい鏡だな。お前も、あの壊れた門番たちのように粉々になりたいのか?」


 ギルバート様の声は、絶対零度の冷徹さを帯びていた。

 彼はゆっくりと歩みを進める。その足音が響くたび、アストライオスが展開していた「神の領域」が、黒い亀裂に飲み込まれて消えていく。


「……何だ、その力は。管理者が言っていたイレギュラーとは貴様のことか。人間風情が、原初の神である私の前に立っていられるはずが――」


「神だと? ……笑わせるな」


 ギルバート様の瞳が、紅く、そして昏く沈んだ。

 その瞬間、私は見た。

 陛下の背後に、門番たちが恐れたあの「影」が、より鮮明に、より禍々しく顕現するのを。


 それは、光を、星を、そして神々さえも飲み込む、原初の夜。

 『漆黒の虚無』。


「……ッ!? ま、待て、その魂の波動……まさか、あり得ぬ……! 数千年前、銀河の女神が自らの孤独を埋めるために切り離し、深淵へと放逐した……『夜の王』の残滓だと!? なぜそれが今、人の器に宿っている!」


 アストライオスが玉座から転げ落ちるように立ち上がった。

 その黄金の瞳に宿るのは、傲慢さではなく、根源的な恐怖。


「記憶にないな。……私が知っているのは、泥の中にいたエルシアを見つけ、彼女のすべてを私のものにした。……それだけだ」


 ギルバート様が右手を伸ばした。

 彼の指先から溢れ出す漆黒の魔力が、アストライオスの喉元を透明な鎖のように締め上げる。


「貴様が誰であろうと構わん。だが、私の妻を『なり損ない』と呼んだその舌は、抜いておく必要があるようだな」


「ギ……ガァ……ッ! や、やめろ……! 理が……私の存在が、飲み込まれる……っ!」


「陛下、お待ちください!」


 私は、震えるアストライオスの前で、ギルバート様の腕をそっと掴んだ。

 彼の殺気が、私の肌に心地よい熱となって伝わってくる。


「……エルシア、止めるな。こいつは、お前を侮辱した。……消去すべきゴミだ」


「分かっておりますわ。でも、こいつにはまだ聞かねばならないことがございます。……私の、そして、陛下の記憶の断片を」


 私が微笑むと、ギルバート様の鋭い殺気が、春の雪解けのように一瞬で和らいだ。

 彼は不機嫌そうに舌打ちをしたが、アストライオスを拘束していた鎖を緩めた。


「……命拾いしたな、石像。……エルシアの温情に感謝しろ。二度目はない」


「ハァ……ハァ……ッ……。……恐ろしい。これが、……愛だと? ……かつて宇宙を飲み込もうとした破壊の衝動を、『執着』という名の鎖に変えて、一人の女の隣に繋ぎ止めているのか……」


 アストライオスは、壊れた玩具のように床に這いつくばったまま、私たちを――いえ、ギルバート様を震える目で見つめていた。


「……認めよう。……貴女のその瞳に宿る銀河が、なぜあのような『怪物』を飼い慣らせているのか。……それを知る権利が、貴女方にはあるようだ」


 彼は震える指先で、虚空に新たな招待状を浮かび上がらせた。

 それは、深淵の最奥にある『原初の茶会オリジン・ティーパーティ』への鍵。


「……来い。……残りの『兄弟』たちが待っている。……貴女が真に神として再臨するか、それとも……その漆黒の王に食い尽くされるか。……神々の審判を受けよ」


「……茶会、ですか。……いいでしょう。陛下、ちょうど喉も渇いておりましたし」


 私はギルバート様の手を、自ら絡めるように繋いだ。

 陛下の正体が何であろうと、私にとっては、泥の中から救い上げてくれた唯一の愛。


「フン。……神々の茶会か。……エルシア、茶菓子が気に入らなければ、その会場ごと私が噛み砕いてやるから安心しろ」


「ええ、頼りにしておりますわ、陛下」


 私たちは、深淵の闇を切り裂き、さらなる奥底へと歩み出す。

 そこには、私の過去と、陛下の正体を巡る、最後の真実が待ち構えていた。

陛下が……「宇宙を飲み込もうとした破壊の王」の残滓!?

ギルバート様の圧倒的な強さの理由が、少しずつ、けれど最も衝撃的な形で明かされ始めましたわね。

神を名乗る兄弟が、陛下の「一瞥」だけで震え上がる姿……これぞ、最高の「ざまぁ」の序章です。


「怪物」と呼ばれるほどの愛の重さ。それを「心地よい熱」と受け止めるエルシア様。

お二人の絆は、もはや神話の枠さえも超えてしまったようですわね。

アストライオス様も、最初の大口が嘘のように小物感が出てしまって……ふふ、お気の毒に。


次はいよいよ『原初の茶会』。

エルシア様の兄弟たちが勢揃いする中、ギルバート様の「宇宙規模の過保護」が爆発する予感です。

神々の集まりが、陛下の「妻自慢」の会場に変わってしまうのでしょうか?


少しでも「陛下の正体に鳥肌が立った!」「神様を這いつくばらせる陛下、最高!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援という名の「深淵の光」が、次話、神々を戦慄させる陛下の「お惚気無双」を引き起こす最強の鍵になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、次回の更新もお楽しみに。

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