第37話:深淵からの招待状、そして新たなる旅立ち
マスター・プログラムが砕け散り、管理という名の「凍りついた秩序」が消えた次元の狭間。
そこには今、私の魔力とギルバート様の執着が混ざり合い、処女雪のような銀河が幾重にも重なって輝いていた。
「……陛下。見てください。世界が、息を吹き返したようですわ」
次元航行艦『エターナル・エルシア』の展望デッキ。
私は、手のひらの上で淡く発光する『原初の深淵』からの招待状を見つめながら、隣に立つギルバート様に微笑みかけた。
「ああ。……だが、どれほど銀河が美しかろうと、私の瞳にはお前しか映らん。エルシア、お前こそが私の唯一の事象であり、確定した未来だ」
ギルバート様は私の腰を引き寄せ、当然のように私の肩に顎を乗せた。
背後では、ルチアが「……ああ、なんと神々しい……。これこそが真の愛の極致……」とノートに何かを必死に書き留めており、セレスは「パパとママ、またくっついていますわ!」と笑いながら光の粒子を追いかけている。
「……ギル様。この招待状、どう思われますか? 『管理』の向こう側、宇宙の底から私を呼んでいる気がするのです」
私が差し出した光の欠片を、ギルバート様は無造作に手に取った。
通常なら、触れた瞬間に精神が崩壊するほどの高密度な情報量が詰まった代物。だが、彼はそれを「ふん」と鼻で笑い、おもちゃのように弄ぶ。
「ただの招待状にしては、少々湿っぽい魔力だな。……エルシア、お前はここへ行きたいのか?」
「……ええ。私の『銀河の瞳』が、そこへ行けば『本当の私』に会えると言っている気がするのですわ。……もちろん、陛下とセレスが一緒でなければ、どこへも行きませんけれど」
「当たり前だ。お前が地獄へ行くなら、私がその地獄を塗り替えて楽園にする。お前が深淵へ行くなら、私はその深淵を帝国の別荘に変えてやるだけだ」
ギルバート様の指先に漆黒の魔力が宿り、招待状の光を「帝国の色」へと強引に書き換えていく。
すると、光の欠片は一枚の『次元航路図』へと姿を変え、エターナル・エルシアのナビゲーションに自動的に同期された。
「……ギル様。もしかして、もう準備はできていたのですか?」
「お前が興味を持った瞬間に、私の全魔導工廠に命令を下した。次元の最下層であろうと、お前が寒さを感じず、最高級の紅茶を楽しめる環境を維持できるよう、船の装甲をさらに強化させてある」
……流石は私の陛下ですわ。
宇宙の管理者と死闘を演じた直後に、もう次の「バカンス」……いえ、「新天地」での快適さを追求していらっしゃるなんて。
「報告します! 次元座標、固定。……これより、全次元の根源――『原初の深淵』への降下を開始します!」
ブリッジにロザリアの凛とした声が響く。
船全体が銀色の輝きに包まれ、星々の流れが加速していく。
通常の宇宙の理が通用しない、光さえ届かぬ深淵。
そこは、世界を創った者たちが眠り、あるいは目覚めるのを待つ場所。
「エルシア。……どんなものが待ち受けていようと、案ずるな。お前の手は、私が決して離さない」
「はい、陛下。……どこまでもお供いたしますわ」
私たちは、再構成されたばかりの銀河を背に、未知なる暗闇へと突き進む。
泥を啜れと捨てられた日から、私たちはここまで来た。
そしてこれからも。
愛という名の「最強のバグ」を抱えたまま、私たちは全宇宙の深淵さえも、自分たちの色に染め上げていくのだ。
エターナル・エルシアが次元の海を潜り抜けた、その先。
そこには、星の一つもない漆黒の世界――だが、エルシアの瞳に呼応して、億千の『銀河の花』が咲き乱れる、見たこともない絶景が広がっていた。
第4部、ついに開幕ですわ!
「管理者の消去命令」すら思い出に変わるほどのスピード感。ギルバート様が神の招待状を「別荘の候補地」程度に扱う不遜さ……これぞ、我らが陛下の揺るぎない魅力ですわね。
「お前が寒さを感じないように船を強化した」なんて、宇宙規模の過保護もここまで来ると芸術的ですらあります。
そして、辿り着いた『原初の深淵』。
真っ暗なはずの場所に、エルシア様の瞳に呼応して花が咲き乱れる描写……。
かつての孤独だったエルシア様が、今は愛する家族と共に「自分のルーツ」を祝福されているようで、私も書いていて胸が熱くなりましたわ。
深淵で待ち受けるのは、エルシア様と同じ瞳を持つ「一族」なのか、それとも……?
第4部も、圧倒的な「逆転」と「溺愛」の波状攻撃をお約束いたします!
少しでも「新章の幕開けにワクワクした!」「陛下の相変わらずの甘々っぷりが最高!」と感じていただけましたら、
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皆様の応援という名の「銀河の種」が、深淵にさらなる奇跡の花を咲かせる最強のエネルギーになりますの。
これからもどうぞよろしくお願いします!
それでは、次回の更新もお楽しみに。




