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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第3部:「宇宙のバグ」だと消去されかけた聖女、執着の皇帝に溺愛されて世界の理(システム)ごと神様をボコボコにしました

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第36話:愛の終止符、理(システム)を穿つ漆黒の剣

『星の回廊』が、音を立てて崩壊し始めていた。


 剥き出しになった次元の深淵から現れたのは、もはや人の形すらしていない、巨大な幾何学模様の集合体。

 数千の魔法陣が複雑に噛み合い、中心部には冷たく脈動する「心臓」――マスター・プログラムが、この世界のすべてを停止させるための波動を放っていた。


『――事象確定。コード・エルシア、及びイレギュラー・ギルバートの完全抹消を承認。……これより、宇宙の再起動リブートを開始する』


 その声が響いた瞬間、私の視界から「色」が失われ始めた。

 地面が、壁が、そして私の手足さえもが、ただの砂のような灰色の粒子へと分解されていく。宇宙そのものが、私たちを「なかったこと」にしようとしているのだ。


「……お母様! お手てが……消えちゃいますわ!」


 セレスが泣き叫び、私の消えゆく指を必死に握る。

 だが、その絶望を切り裂いたのは、漆黒の魔力が咆哮を上げる凄まじい衝撃波だった。


「――勝手に終わらせるな。……私の許しも得ず、誰の所有物に触れている」


 ギルバート様が、一歩、灰色の世界を踏み締めた。

 彼の周囲だけは、分解の波動を拒絶するように、禍々しいほどの漆黒の魔力が渦巻いている。

 彼は右手に握った魔剣を、無造作にマスター・プログラムへと向けた。


『不可解。……人類という個体に、事象の分解を阻害する権限は付与されていない。……エラー。エラー。なぜ、消滅しない』


「権限だと? 下らないな。……お前たちの言う『権限』とやらが、この私の『愛』より重いとでも思っていたのか?」


 ギルバート様の瞳が、紅く燃え上がる。

 彼はゆっくりと、重力さえも無視して宙へと歩みを進めた。

 一歩ごとに、灰色の世界に「色」が、強引なまでに再構築されていく。それはもはや魔法ではない。彼の「独占欲」という名の意志が、宇宙の法則を上書きしているのだ。


「エルシア。……お前が女神だろうと、バグだろうと関係ない。お前は私の妻だ。……妻が笑える場所を用意するのは、夫の義務だろう?」


 ギルバート様が私を振り返り、不敵に笑った。

 私は、その背中に向かって、自分の『銀河の瞳』の全出力を解き放った。


「ええ……陛下。……私も、貴方様のいない世界など、一秒たりとも望みませんわ!」


 私の銀河の光が、ギルバート様の漆黒の魔剣に吸い込まれていく。

 陰と陽。破壊と創造。

 矛盾するはずの二つの力が、私たちの「愛」というたった一つの媒介によって、全宇宙を貫く究極の「一撃」へと昇華した。


「――これで終わりだ。ゴミ箱の神様よ」


 ギルバート様が魔剣を振り下ろした。

 放たれたのは、一筋の黒い雷。

 それはマスター・プログラムが展開した「絶対防御」の数千の魔法陣を、薄紙のように次々と貫通し、その心臓部へと突き刺さった。


『ガ……ギギ……ッ!! 計算……不能……。愛という変数が……宇宙の総魔力量を凌駕……。システム、全停止。……そんな……馬鹿な……。ただの……執着に……理が……っ』


 マスター・プログラムが、断末魔の叫びと共に白い光へと弾け飛んだ。

 爆風が回廊を駆け抜け、同時に灰色の世界に色が、音が、そして確かな「生命の鼓動」が戻ってくる。


 崩れ落ちる幾何学模様の破片の中、ギルバート様はふわりと私の元に着地した。

 彼は息一つ乱さず、いつものように私の腰を引き寄せ、耳元で低く囁く。


「……少し騒がしくなったが、ようやく静かになったな、エルシア」


「陛下……。本当にお疲れ様でした。……凄まじい威力でしたわね」


「これでも抑えた方だ。……お前を驚かせたくなかったからな」


 彼はそう言うと、私の唇に深く、熱い接吻を落とした。

 背後で宇宙の管理システムが完全に消滅し、新しい「理」が生まれようとしている中で、私たちはただ、互いの体温を確かめ合っていた。


「……パパ、ママ! お空が……とっても綺麗ですわ!」


 セレスが指差した先には、崩壊した回廊の向こう側に、再構成されたばかりの処女雪のような銀河が広がっていた。

 管理者が消えたことで、この世界は本当の意味で「自由」になったのだ。


 だが、ギルバート様の視線は、その美しい銀河には向いていなかった。


「……ああ、綺麗だな、セレス。……だが、私の隣にいる女神の方が、百万倍は輝いている」


「もう、陛下ったら……」


 私は呆れながらも、彼の手を強く握り返した。

 管理者のいなくなったこの宇宙で、私たちはこれから、どんな物語を綴っていくのだろうか。


 その時。

 砕け散ったマスター・プログラムの欠片の一つが、私の手のひらで小さな「招待状」のような形に変わった。


「……あら? これは……」


 そこに記されていたのは、さらに上位の次元――『原初の深淵』からの、新たな呼び声だった。

第3部クライマックス!ついに宇宙の管理者を「物理」と「愛」でねじ伏せましたわ!

ギルバート様の「愛という変数が宇宙の総魔力量を凌駕する」という展開……これぞ、溺愛ファンタジーの到達点ですわね。

計算高いマスター・プログラムが「ただの執着に負けるなんて!」と絶望して消える姿、皆様も溜飲が下がったのではないでしょうか?


システムが消滅し、新しい自由な宇宙が始まった瞬間。

二人の接吻を祝福するように輝く銀河の描写、私も書きながらうっとりしてしまいましたわ。


しかし、物語はここで終わりではありません。

手のひらに現れた『原初の深淵』からの招待状……。

管理者を倒したことで、ついに宇宙の「本当の底」に住む者たちが、エルシア様に興味を持ち始めてしまったようです。


少しでも「陛下の理不尽なまでの強さに痺れた!」「二人の絆が宇宙を救って最高!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援という名の「バグ」が、第4部、さらなる深淵での「溺愛無双」を加速させる最強の魔力になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、新章突入の次回をお楽しみに。

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