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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第3部:「宇宙のバグ」だと消去されかけた聖女、執着の皇帝に溺愛されて世界の理(システム)ごと神様をボコボコにしました

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第33話:心なき執行官、皇帝の拳に沈む

空が、真っ白に塗り潰された。

 先ほどルチアが降り立った時の優雅な光ではない。それは、色も音も、そして存在そのものを「無」に帰すための、冷酷な光の奔流。


「……来た。あれが、星の執行官エクスキューショナー……!」


 私の足元で平伏していたルチアが、恐怖に顔を歪めて叫ぶ。

 光の中から現れたのは、感情を一切感じさせない無機質な白銀の甲冑を纏った「三体の巨像」。彼らは言葉を発さず、ただ機械的に右手を掲げた。


『――対象:コード・エルシア。消去シーケンス、最終段階。……全事象の抹消を開始する』


 三体の執行官の手のひらに、黒い小さな「点」が生まれた。

 それは、触れたものすべての存在定義を消滅させる『特異点シンギュラリティ』。


「お母様、こわい……っ!」


 セレスが私のドレスの裾を強く掴む。その小さな震えが私の心に伝わった瞬間、胸の奥で銀河が爆ぜたような感覚が走った。


「陛下、あの方たちは……」


「……分かっている、エルシア。二度も三度も、同じような『不法投棄物』を送り込んでくる管理者の無能さには、呆れるのを通り越して殺意すら湧かん」


 ギルバート様が、私の前に音もなく立ちふさがった。

 彼は剣を抜くことすらせず、ただ左手を無造作にポケットに入れたまま、右手で空を掴むような動作をした。


「……セレスを怖がらせた。それが、お前たちの犯した最大の、そして最後の過ちだ」


 三体の執行官から、漆黒の消去光線が放たれた。

 一筋でも掠れば、この聖域ごと私の存在が消えてなくなるはずの「死の概念」。


 だが。

 ギルバート様の背後に、巨大な、あまりにも巨大な「漆黒の双翼」が顕現した。

 それは魔王アスタロトが持っていた翼など比較にならないほど、濃密で、狂気的なまでの「守護への執着」が具現化した闇。


「――喰らえ。私の『愛』を、その無機質な器に詰め込めるだけ詰め込んでやる」


 ギルバート様が拳を握り込んだ。

 刹那、放たれた消去光線が、彼の闇に触れた瞬間に「消去」されるのではなく、逆に「黒い炎」へと書き換えられ、逆流し始めたのだ。


『ガ……ギギ……!? 計算不能。消去命令が、対象の『存在強度』に弾かれ……変質している……!?』


 執行官たちの無機質な声が、初めて混乱に揺れる。

 彼らは理解できなかったのだ。

 一個の人間が持つ「愛」という名の執着が、宇宙の管理システムが弾き出す「消去定数」を遥かに上回るエネルギーを持っているなどという事実は。


「……エルシア、少しだけ目を閉じていておくれ。……ゴミを潰す音が、少々騒がしくなる」


 ギルバート様が地面を蹴った。

 空を飛んでいるのではない。空間そのものを踏み台にして、一瞬で執行官の一体の眼前に肉薄した。


 そして。

 ただの、あまりにも無造作な「正拳」。


 ズドォォォォォォォンッ!!


 衝撃波が天空の聖域を揺らした。

 白銀の甲冑が、紙細工のように粉々に砕け散る。

 内部に充填されていた高密度のエネルギーが霧散し、執行官の「核」が剥き出しになる。


『エラー。エラー。……理解不能。……個体名:ギルバート。存在分類を『人類』から『宇宙的特異点』へと変更――』


「分類などどうでもいい。……お前たちのマスターに伝えろ。……エルシアの髪の毛一本にでも触れてみろ。その時は、お前たちの住む上位次元ごと、私がこの手で『消去』してやるとな」


 ギルバート様が残りの二体の首を、同時に掴み上げた。

 彼の指先から流れ込むのは、純粋な魔力ではない。

 エルシアという女神への、狂おしいほどの愛と、それを守るための破壊衝動。


 パリン、と。

 高価なクリスタルが割れるような音と共に、三体の執行官は、光の粒子にさえなれず、ただの無力な灰となって空に散っていった。


 空に、再び静寂が戻る。

 ギルバート様はゆっくりと着地すると、乱れた前髪をかき上げ、私の方を向いて微笑んだ。


「……終わったよ、エルシア。……セレス、もう大丈夫だ。パパが悪いおもちゃを壊してやったからね」


「わあ、お父様すごいですわ! ピカピカの巨人が、一瞬でいなくなってしまいました!」


 セレスがパッと笑顔になり、ギルバート様の元へ駆け寄る。

 私は、その光景を見ながら、手のひらに宿る『銀の鍵』を強く握りしめた。


「……陛下。私、分かりましたわ。……彼らは、私たちの幸せを『エラー』だと呼んでいるのですね」


「ああ。……不愉快極まりないな」


 ギルバート様の瞳に、かつてないほど挑戦的な光が宿る。


「……エルシア、提案がある。……向こうから客が来るのを待つのは、もうやめだ。……こちらから、その『管理室』とやらに挨拶に行こう。……お前をバグ呼ばわりした連中に、誰がこの世界の『真の支配者』か、徹底的に教育してやる必要がある」


 もはや、この空は彼にとって狭すぎた。

 皇帝の逆侵攻は、ついに次元の壁を越えようとしていた。

「星の執行官」という最強の刺客を、文字通り「握りつぶした」ギルバート様……!

宇宙の消去命令すら「エルシア様への愛」という重圧で上書きしてしまう。これぞ、我らが陛下の真骨頂ですわね。

「計算不能」と壊れていく無機質な敵の末路、皆様もスカッとしていただけましたでしょうか?


そして、エルシア様の静かなる覚悟。

自分たちの愛を「バグ」と呼ぶ理不尽なシステムに対し、ついにお二人が「逆侵攻」を決意いたしました。

「守られるだけ」のヒロインから、陛下と共に「宇宙の理を書き換える女神」へ……。物語のスケールは、ここから更なる高みへと昇ります。


次はついに、次元の狭間を超え、管理者の本拠地への道が開かれます。

ギルバート様がどんな「豪華な移動手段」を用意するのか……ふふ、楽しみですわね。


少しでも「陛下の圧倒的な拳に痺れた!」「家族の絆が宇宙最強で最高!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援という名の「バグ」が、管理者のシステムをさらにフリーズさせる最高の魔力になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、次回の更新もお楽しみに。

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