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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第3部:「宇宙のバグ」だと消去されかけた聖女、執着の皇帝に溺愛されて世界の理(システム)ごと神様をボコボコにしました

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第32話:他世界の聖女、本物の『光』に平伏す

空に空いた「亀裂」が修復されてから数時間後。

 天空の聖域『シルバー・パレス』のテラスでは、何事もなかったかのように優雅なティータイムが再開されていた。


「お母様、このクッキー、星の形をしていて可愛いですわ!」


「ええ、セレス。ギル様がわざわざ、隣の銀河で見つけたという『輝く小麦』を職人に届けさせたそうですから」


 私が微笑みながら紅茶を注ぐと、背後に立つギルバート様が、当然のような顔で私の髪を愛おしそうに撫でる。

 先ほど、宇宙の使者を塵に変えた男とは思えない、あまりにも甘やかな手つき。


「……当然だ。お前たちの口に入るものが、この世界の平庸な素材であっていいはずがない」


 そんな平和な光景を、一筋の「異質な光」が切り裂いた。

 庭園の中央に、突如として降り立ったのは、純白の法衣を纏った一人の美しい少女だった。


「――見つけたわ。この世界の『バグ』、そして、すべてを狂わせる偽りの女神」


 彼女の背中には、六枚の黄金の翼。手には、数多の世界を救ってきたと言われる伝説の聖杖が握られている。

 彼女の名はルチア。滅びゆく他世界から管理者に救われ、数々の「異常な世界」を間引いてきた、最強の『調停聖女』である。


「ルチア、と名乗ったか。……お前も、私の家族の時間を邪魔しに来たのか?」


 ギルバート様の瞳が、瞬時に氷点下まで凍りつく。

 彼はゆっくりと一歩前へ出たが、私はその袖を優しく引いた。


「陛下、お待ちください。……彼女、とても悲しい目をしていますわ」


「……エルシア、甘いぞ。そいつは、お前を消去するために送られた刺客だ」


「分かっておりますわ。でも、まずは一杯の紅茶を。……お疲れのようですから」


 私は微笑み、ルチアのために予備のカップに紅茶を注いだ。

 ルチアは屈辱に震え、聖杖を私へと突きつける。


「ふざけないで! 私は管理者の命を受け、この歪んだ世界を正すために来たのよ! 貴女のそのまやかしの光、私の『絶対浄化』で消し去って……!」


 ルチアが全魔力を解放した。

 他世界の理を込めた、概念さえも消去する黄金の波動が、私を目掛けて押し寄せる。


 だが。

 その波動が私の周囲に触れた瞬間――。

 恐ろしい破壊の力は、見る影もなく霧散した。


 それだけではない。

 ルチアが放った「負の意志」を伴う魔力が、私の『銀河の瞳』に触れたことで強制的に再構成リビルドされ、無数の輝く蝶へと姿を変えて庭園を舞い始めたのだ。


「……え? 私の、浄化の力が……お花を咲かせている……?」


 ルチアは呆然と立ち尽くした。

 彼女が命を削って放った一撃は、私の存在そのものが持つ「圧倒的な肯定の力」によって、ただの『庭の飾り』に変えられてしまったのだ。


「……ルチア様。貴女の光は、とても純粋です。けれど、少し寂しすぎますわ。……誰かのために戦うのではなく、自分のために、この香りを味わってみてくださいな」


 私は席を立ち、彼女の元へ歩み寄った。

 ギルバート様が「近寄らせるな」と舌打ちをするが、今の彼女に戦う力など残っていないことは、彼も理解していた。


 私が彼女の手を取り、温かいカップを握らせる。

 その瞬間、ルチアの目から、堰を切ったように涙が溢れ出した。


「ああ……。何、これ……。温かい……。私が今まで守ってきた世界には、こんなに……透き通った愛なんて、なかった……」


 彼女の背中の黄金の翼が、エルシアの魔力に同調し、より清らかな銀色の輝きへと変質していく。

 管理者に「武器」として育てられた彼女は、今、生まれて初めて「個」としての尊厳を、エルシアの無自覚な慈愛によって与えられたのだ。


「……私の負けよ。管理者の言う『バグ』が、これほどまでに美しいものだなんて。……私は、貴女を消すことなんてできない」


 ルチアはその場に崩れ落ち、私に向けて、かつての王国の民のように、いや、それ以上に敬虔な態度で平伏した。


「……ルチア、とやら。お前がエルシアに危害を加えないと誓うなら、命だけは助けてやろう」


 ギルバート様が冷たく言い放つ。彼は彼女がエルシアを「母」のように仰ぎ始めたのを見て、新たな「独占の邪魔者」が増えたことに不機嫌を隠さない。


「誓います……。私は、この『真の女神』に、すべてを捧げる……!」


 その時、天空の遥か彼方から、再び無機質な声が響いた。


『――聖女ルチアの反逆を確認。……プランBへ移行する。……これより、物理的な消去を目的とした『星の執行官エクスキューショナー』を派遣する』


 ルチアの顔が、恐怖に青ざめた。


「……いけない。執行官は、聖女とは違う……。彼らは、愛も心も持たない、ただの『消去命令』そのもの。……逃げてください、エルシア様!」


「逃げる? ……面白いことを言うな」


 ギルバート様は、空を睨みつけ、不敵に口角を上げた。


「私の前で、誰に『逃げろ』と言っている。……ゴミが増えるなら、まとめて捨てに行くだけだ」


 皇帝の戦意は、全宇宙の管理者さえも、ただの「不法投棄物」として扱うほどに高まっていた。

第31話で現れた『管理者』の刺客が、まさかのエルシア様のティータイムに強制参加!

他世界の最強聖女さえも、一口の紅茶とエルシア様の微笑みで「陥落」させてしまう……。これこそが、本物の女神の力(と無自覚な人たらし)ですわね。


ルチア様の翼が銀色に染まるシーン、私も書いていてゾクゾクいたしました。

「管理」という名の鎖に縛られていた彼女にとって、エルシア様の圧倒的な自由と愛は、何よりも救いだったのでしょう。


しかし、管理者は止まりません。

次は「心」を持たない無機質な消去者、『執行官』が送り込まれます。

ギルバート様が「ゴミのまとめ出し」を宣言した以上、次話はかつてないド派手な「宇宙規模のお掃除」が展開される予感ですわ!


少しでも「ルチア様のデレっぷりが最高!」「陛下の不機嫌そうな過保護がたまらない!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援が、次回、ギルバート様が宇宙の法則を物理で殴るための、最強の魔力になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、次回の更新もお楽しみに。

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