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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第2部:偽聖女に嘲笑われた隣国の皇妃、最強皇帝の重すぎる愛に包まれて全大陸を跪かせました

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第25話:教皇の失墜、偽りの神殿に咲く本物の奇跡

聖教国の至宝、白金の神殿は、かつてない悲鳴に包まれていた。


 空を覆うのは、教皇が呼び出したはずの魔王アスタロトの漆黒の翼。しかし、その翼がなぎ払っているのは帝国軍ではなく、教皇庁を守る聖騎士たちだった。


「な、なぜだ! 魔王アスタロトよ、なぜ我らの命に従わぬ! 貴様は神の枷によって縛られているはずだ!」


 神殿の最深部、純金の玉座に座る教皇イノセントが、震える手で制御用の聖印を掲げる。

 だが、魔王は冷笑を浮かべ、指先一つでその聖印を塵へと変えた。


「――神の枷だと? 貴様ら人間が捏造した程度の呪文が、我が母様の『瞳』に勝てるとでも思ったのか?」


 魔王の言葉が終わるより早く、神殿の天井が内側から弾け飛んだ。

 降り注ぐ瓦礫の中を、銀河の光を纏った一艘の空中舟が、静かに、優雅に降下してくる。


 そこに乗っていたのは、娘のセレスをロザリアに預け、戦場へと降り立ったエルシアと、彼女を影のように守るギルバート様だった。


「……ここが、皆様の仰る『聖域』なのですか?」


 エルシアが床に足をついた瞬間、神殿を覆っていた不自然なほどの「魔力の重圧」が、霧散するように消え去った。

 彼女の歩く足元から、大理石の床を突き破って瑞々しい白銀の草花が芽吹き、血と硝煙の匂いを、一瞬にして清冽な花の香りに書き換えていく。


「お、おのれ、魔女め……! その力、やはり悪魔の……!」


「――貴様、その口を二度と開けぬようにしてやろうか」


 ギルバート様が、抜剣もせずに教皇を睨みつけた。

 その殺気だけで、教皇の周りに張られていた幾重もの聖なる結界が、ガラス細工のように粉々に砕け散る。


「教皇と言ったか。……お前がエルシアを異端と断じたのは、彼女の力が欲しかったからか? それとも、自分たちの神が『偽物』だと暴かれるのが怖かったからか?」


「だ、黙れ! 我らこそが正義、我らこそがこの世界の……!」


「……もう、おやめなさいませ」


 エルシアが静かに一歩、教皇の前へと進み出た。

 彼女の銀河の瞳が、教皇の背後に安置されていた巨大な「神の偶像」を射抜く。


 刹那、偶像が内側から眩い光を放ち、そして――バラバラと崩れ落ちた。

 偶像の中から現れたのは、かつてのエルシアと同じ『虚無の魔力』を吸い取って蓄えるための、醜悪な魔導装置だった。


「……皆様が神と呼んでいたものは、ただの『搾取の道具』だったのですね」


 エルシアの瞳に、深い悲しみが宿る。

 彼女がそっと壊れた偶像に触れると、そこに溜め込まれていた数千年の「祈り」と「魔力」が、彼女の瞳へと吸い込まれ、再構成されていく。


 直後、聖教国の全土に、見たこともないほど巨大な銀色の魔法陣が展開された。

 病に伏せる者、貧困に喘ぐ者……聖教国の名の下に虐げられてきたすべての民に、エルシアの慈愛の光が降り注ぐ。


「奇跡だ……! 本物の、本物の女神様がここにいらっしゃる!」


 神殿の外から、民衆の喚声が響き渡る。

 教皇は、自分が築き上げた権威が、エルシアの「本物の奇跡」の前に、塵一つの価値もなく消えていくのを、ただ呆然と見届けるしかなかった。


 魔王アスタロトは、それを見て満足げに跪く。


「母様。この者たちの処遇、いかがいたしますか? 私が今すぐに、その魂ごと虚無へ還してもよろしいのですが」


「……いいえ、アスタロト。彼らには、自分たちが守ってきたものがどれほど空虚だったか、その目で一生見続けてもらいましょう」


 エルシアは教皇を見ることなく、ギルバート様の手を取った。


「陛下。……帰りましょう。セレスが待っておりますわ」


「ああ、そうだな。……こんな埃っぽい場所、二度と来ることもあるまい」


 崩れゆく神殿を背に、二人は再び空へと昇っていく。

 神が死に、女神が微笑んだその日、大陸の歴史は真の意味で塗り替えられたのだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


ついに聖教国の教皇、完膚なきまでに「ざまぁ」されましたわね!

神と崇めていたものが、実は魔力を吸い取る装置だったという絶望。

そして、その偽物の偶像をエルシア様が指先一つで粉砕するカタルシス……。

書いていて、私も思わず扇子で顔を隠して笑ってしまいましたわ。


「魂を消すよりも、一生後悔させる」

エルシア様のこの静かな厳しさが、今の彼女の「格」を物語っております。

そして、相変わらず「埃っぽい場所」と切り捨てるギルバート様の揺るぎない態度……ふふ、素敵です。


これにて、エルシア様を脅かす大きな外敵はすべて排除されました。

しかし、物語はまだ終わりません。

次からは、世界が彼女を「唯一の神」として仰ぎ始めた後の、糖度MAXなエピソードをお届けいたしますわ。


少しでも「教皇の没落にスカッとした!」「エルシア様の神々しさに痺れた!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援が、次回、エルシア様の「神の力」をさらに甘い方向に使う、ギルバート様の暴走(?)を引き起こしますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、次回の更新もお楽しみに。

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