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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第2部:偽聖女に嘲笑われた隣国の皇妃、最強皇帝の重すぎる愛に包まれて全大陸を跪かせました

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第22話:世界一安全な庭園と、皇帝の底なしの溺愛

聖教国との絶縁宣言から、わずか数日。

 大陸中の諸国が「神を敵に回した帝国」の動向に戦々恐々とする中、帝国の王城・黒竜宮の奥庭では、耳を疑うような音が響いていた。


 ガガガガ、ドォォォォン……!


「……あの、陛下。一体、何を作っていらっしゃるのですか?」


 私がバルコニーから庭を見下ろすと、そこには軍事転用されるはずの最新型魔導重機が数台投入され、庭園の周囲に巨大な「クリスタルのドーム」が建設されている光景があった。

 ギルバート様は、軍服の腕を捲り、現場で直接指揮を執っている。


「エルシアか。……見た通りだ。お前とセレスが散歩をする庭を、物理・魔法・精神干渉のすべてを遮断する『竜神の揺り籠』へと改築している」


 彼は私の元へ歩み寄ると、当然のことのように私の腰を引き寄せた。


「先日のような不快な羽虫を二度と近づけないための最低限の処置だ。ドームの素材には、お前の魔力を吸収して硬化する特注の感応石を使っている。お前がここにいる限り、神の雷ですら傷一つつけられん」


「最低限、にしては……少し規模が大きすぎませんか? これでは、まるで……」


「……遊園地みたい!」


 私の言葉を継いだのは、ギルバート様の足元に抱きついたセレスティーナだった。

 彼女が指差す先には、魔力で浮遊する木馬や、虹色の水が流れる滑り台、そして何百種類もの「お菓子が実る木」が植えられようとしていた。


「そうだ、セレス。お前とお母様を不安にさせた報いだ。これから始まる戦いなど、お前たちは知る必要もない。この庭で、お菓子を食べて笑っていればいい」


 ギルバート様はセレスを軽々と抱き上げ、その額に優しく接吻した。

 冷酷な死神皇帝の顔はどこへやら。今、そこにいるのは、家族の平穏を守るためなら世界を焼き尽くすことも厭わない、究極に過保護な父親の顔だった。


「……でも、陛下。聖教国は、大陸中の国々に帝国への宣戦布告を促していると聞き及んでおりますわ。そんな中、このようなことに資材を使っていては……」


「エルシア。勘違いするな」


 ギルバート様は、私を射抜くような情熱的な眼差しで見つめた。


「他国がどう動こうと、私の軍靴がそれを踏み潰すだけだ。だが、お前の心に一点の曇りがあることだけは、私には耐え難い。……私の戦う理由は、正義でも野心でもない。ただ、お前たちがこの庭で笑い続けていること、それだけなのだ」


 彼は私の手をとり、手の甲に深く、熱い誓いを刻むように接吻した。


「聖教国が何を繰り出そうと、私の愛(呪い)がそれを阻む。……お前はただ、私の皇后として、この世界の美しさだけを見ていろ」


 その時。

 建設中のドームの天頂に、エルシアの無意識の魔力が反応した。

 彼女の「神の瞳」が、ドーム全体を銀河のような輝きで包み込み、帝都全体に柔らかな安らぎの波動を広げていく。


 要塞を築こうとした皇帝の愛と。

 それを聖域へと変えた皇后の光。


 その圧倒的な絆の前に、忍び寄る聖教国の陰謀など、あまりにも無力で儚いものに見えた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


「戦いよりも、まずは庭の改築(遊園地化)」。

ギルバート様の優先順位が相変わらずエルシア様とセレス様一点張りで、作者としても書いていて頬が緩みますわ。

最新の軍事技術を娘の滑り台に使う皇帝……これぞ、最強のパパですわね。


そして、不穏な情勢を物ともしない二人の絆。

聖教国側は必死に包囲網を作っていますが、この「物理的に最強な愛のドーム」をどう突破するつもりなのかしら?(無理ですわね)


少しでも「過保護な陛下に萌えた!」「セレス様が楽しそうで良かった!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


皆様の応援が、次回、ついに動き出す聖教国の「聖騎士団」をギルバート様がどう返り討ちにするか……その「ざまぁ」のエネルギーになりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、次回の更新もお楽しみに。

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