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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第2部:偽聖女に嘲笑われた隣国の皇妃、最強皇帝の重すぎる愛に包まれて全大陸を跪かせました

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第19話:授かった奇跡、帝国の未来を担う小さな命

王国が地図から消えて、最初の春が訪れた。


 帝都ガレンベルクは、かつてないほどの花々に覆われていた。エルシアがもたらした「黄金の雨」は、大地だけでなく人々の心までも潤し、今や帝国は大陸で最も豊かで平和な楽園となっていた。


 そんなある朝。

 私は、窓から差し込む柔らかな陽光の中で、言いようのない倦怠感と、胸の奥から込み上げる小さなくすぐったさに目を覚ました。


「……う……」


 ふわりと香る白檀の香りに、いつもなら安らぎを覚えるはずなのに、今朝はどうしてか、わずかな目眩を覚える。

 私がベッドの上で小さく身じろぎをすると、すぐに逞しい腕が私を横から抱き寄せた。


「エルシア? 顔色が悪いな。……どこか痛むのか」


 寝起きの掠れた、けれど深い愛情に満ちたギルバート様の声。

 彼は私の額に手を当て、その紅い瞳に隠しきれない焦燥を浮かべる。


「いいえ……。ただ、少しだけ体が重くて。……陛下、そんなに心配そうなお顔をなさらないでくださいませ」


「心配するなと言う方が無理だ。君は私の命そのものなのだから」


 ギルバート様は即座に帝国最高の医師を呼び寄せた。

 カーテンの引かれた静かな寝室で、医師が私の脈をとり、驚きに目を見開く。

 そして、彼は深々と、これまでで最も丁重な礼を捧げた。


「――陛下。おめでとうございます。エルシア様のお体には、新しい命が宿っております」


 一瞬、部屋の中の時間が止まった。

 私は、自分の下腹部にそっと手を当てた。

 ここに、ギルバート様と私の、愛の証が。


「……命、だと? 私と、エルシアの……」


 あの冷酷無比な「死神皇帝」が、まるで初めて世界を見た子供のように呆然と立ち尽くしている。

 彼はゆっくりと私の傍らに跪くと、震える手で、私のまだ平らな腹部を包み込むように触れた。


「ああ……。信じられない。君を愛でることだけで精一杯だった私の人生に、これ以上の奇跡が訪れるとは」


 ギルバート様は、私の手に幾度も、幾度も熱い接吻を落とした。

 彼の瞳には、喜びで滲んだ熱い雫が浮かんでいる。


「エルシア。誓おう。この子が生まれてくる世界を、私はどこまでも美しく、残酷なものなど何一つない楽園にしてみせる。……お前とこの子を傷つけるものは、たとえ運命であろうとも私が斬り伏せよう」


「陛下……。嬉しいですわ。私、この子と一緒に、貴方様をずっと支えていきたい……」


 私は、彼の広い背中に腕を回し、その胸に顔を埋めた。

 かつて泥の中で一人、死を待っていた私。

 そんな私に、これほどまでの「重い愛」と「輝かしい未来」をくれた人。


 窓の外では、新しい命の誕生を祝うように、銀の小鳥たちがさえずっている。

 アステリア王国の滅亡という「過去」は、もう、この温かな陽光の中に溶けて消えていた。

 私たちが紡ぐのは、これから始まる、終わりのない幸福の物語。


 ギルバート様は私を抱き上げたまま、慈しみ深く、そしてやはり独占欲を隠しきれない瞳で微笑んだ。


「愛している、エルシア。……さあ、今日からお前は一歩も歩かなくていい。私が、お前の足となる」


「ふふ、それは少し、過保護すぎますわ、陛下」


 幸せな笑い声が、春の風に乗って、黄金色に輝く帝国へと広がっていった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


ついに……エルシア様が、新しい命を授かりましたわ!

「無能」と捨てられた少女が、帝国の母となる。これ以上の逆転劇、そしてハッピーエンドがあるでしょうか?


ギルバート様の動揺と、その後の「一歩も歩かせない」という過保護な宣言。

ふふ、陛下はこれから、親バカと妻バカを極めた、世界で一番甘いお父様になられることでしょうね。


王国の崩壊という「毒」を乗り越え、物語はいよいよ純度100%の「幸福」へと向かっています。


少しでも「二人の子供が楽しみ!」「陛下のデレっぷりが最高!」と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価(★★★★★) をお願いします。


いよいよ第20話で第一部の完結となります。

続きを楽しみにしていてください。


今日からは一日一話の投稿となります。

ご了承ください。

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