第四話
レオリアは友利に改めて挨拶する。
彼女は未だ状況は飲み込めていないが、ひとまずこの人を信頼しても良さそうだと考えている。
「そ、そのレオリアさん……はここの領主? みたいな人なんですか?」
「そう固くならなくても平気だぞ。領主……といえば確かにそうとも取れるな。でも私はただ、先代を継いでこの屋敷にいるだけだ。──本命はこれさ」
そう言って彼が取り出したのは、標本のようなカプセルに詰められた、縦長の青い宝石だ。
深海のような暗くも美しい輝きを放つ石に、彼女は目が釘付けとなってしまう。
ふと友利はその手を宝石に伸ばそうとする。
だが、レオリアがそれを止めた。
「これに軽々しく触らない方がいい。何が起こるか分からないからね」
「な、何が起こるか分からない……?」
意味深なことを言うレオリアに尋ねると、レオリアは真剣に答える。
「この宝石の名は……"ビースタル"」
「ビー……スタル?」
「あくまでも仮称だが、私達の間ではそう呼んでいる。数年前から研究が始まった、太古から存在する謎の宝石……これはその欠片の一つだ」
「へ、へぇ……え? レオリアさん研究者なんですか!?」
友利が驚くと、コジョが続けて同調する。
「その気持ち分かるぅ。レオリアさん知的に見えませんもんね!」
「……コジョ……お前までそれを言うな」
レオリアは苦笑いし、咳払いをする。
「この"ビースタル"は、一見ただの綺麗な石だが、その詳細は全て謎なんだ。そして最大の謎は……"ビースタル"の持つ"異能"の全容だ」
「い、異能?」
「あぁ。実際に見てもらった方が早い。ちょっと触るぞ」
レオリアが友利に近づくと、手のひらに巻かれた包帯をゆっくりと巻き取り始めた。
彼女は困惑しつつもそれを見つめる。
包帯が解かれると、そこには大きな刺し傷があった。
見ているだけでとても痛々しい。
レオリアはそれを見ながら、カプセルからピンセットで"ビースタル"を取り出し、彼女の傷跡に近づける。
すると宝石が突然光り始めた。
「うわっ!?」
友利は思わず目を瞑る。
レオリアがそれを見て優しく言う。
「目を開けてごらん?」
「へ?」
友利が目を開ける。
すると、彼女の手のひらの刺し傷の跡が消えていた。
痛みもほとんど感じない。
「う、そ……?」
自分の目が信じられなかった。
「これでも"ビースタル"の数ある異能の一端に過ぎない。"ビースタル"にはまだまだ謎が隠されている。私はそれを調べている」
「いやぁ。いつ聞いても知的なキャラっすよねぇ、レオリアさん」
コジョが笑いながら言う。
友利も少し意外そうな反応をする。
獅子は勇猛で荒くれた性格な予想をしていたが、知的で肉球がくすぐったいことに照れるのは本当に予想外だ。
だからか、ちょっと微笑んでしまう友利だった。
続く




