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永劫のセツナ  作者: ALOE
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隠し事

セツナはふわりと着地した。


「へ?」

ニキルは理解が追い付かなかった。

何せ、あの施設からこの場所まで

どこをどう通ったか全く記憶が無いのだ。

今の彼では一瞬でここに到達したという事は

恐らく理解はできないだろうが。


だがニキルはこの場所に見覚えがあった。


「ここは…」


ニキルは静かに佇むセツナを睨むように

ゆっくりと立ち上がった。


「なぜここに…?」

ニキルの声は震えていた。


それに仮面を被るセツナからは表情が読めなかった。

ニキルはガクリと両膝を落とした。


その時

「おやおや、出戻りかい?」


「!!…ダークエルフ」


「ハップって名前があるんだが」

ハップ婆は杖を上に振りかざした。


「ダークエルフ…

お前たちのせいで母さんは……」

ハップ婆を睨みつけるニキルの拳は震えていた。


「あたしもダークエルフって一括りにされるのは

癪だがね…」


そのやり取りをしり目に、いつの間にか

ジュリは蝶を追いかけている。


その蝶がふと止まった。


止まったのは小さな女の子の鼻先だった。

ジュリと同じか少し下か。

金色の髪の毛がそよ風になびいていた。


「蝶々が止まったよ!」

ジュリはその少女に向かって言った。


金色の髪をした少女はブルブルと首を振った。

蝶は一旦飛び立ったが、また同じ場所に止まった。


「じっとしてて、ジュリが捕まえる」

ジュリはそっと近づいて、蝶に手を伸ばす。

しかし寸前で飛び立った。

蝶はジュリを翻弄するように周りを飛び回っていた。


金髪の少女も一緒になって追いかける。

ケタケタと笑いながら。


あの子——

ニキルはその光景に思考が止まった。


「ああ…良かった…」

あの時ジリルに連れられていた少女の一人だと

はっきりわかった。





「あんたの事は聞いてるよ」

ハップ婆はセツナに言った。


「この二人を頼めるか?」


「どこへ行く気だい?」


「やらなければならない事がある。」


「……」


その時だった。

ヒュッという音がした。


矢じりはハップ婆の眼前で止まっていた。

矢はセツナの右手に握られていた。


「誰だ?」

セツナの声が低く響く。


その矢じりを見てニキルが目を丸くした。


「そこをどけ! 仮面の男!」

建物の影から、誰かが姿を現した。


長身のハイエルフだった。

弓を構えながら、ゆっくりと近づいてくる。


その時

「ハキル兄さん!!」

ニキルが叫んだ。


「!! お前はニキル!!」

ハキルは答えた。


ニキルがハキルの元に向おうとした時

「動くな!!」

とハキルの後方から女の声がした。


すると女のハイエルフが弓を構えながらゆっくりと

近づいてきた。


「カミル…姉さん…」

ニキルは呟いた。


「ニキル、どういうことか説明して」

カミルは鋭い目つきを崩さなかった。


「説明って言っても、まあ 色々あって…」

ニキルはごにょごにょと言って下を向いた。


「あたしが説明しようかの」

ハップ婆が言った。


「ダークエルフには聞いていない!」

カミルはぴしゃりと言った。


「姉さんたちこそ どうしてここに?」

ニキルは問うた。


「…ジリルよ。」


ニキルはハッとした。

「ジリルは死んだ」


ハキルは弓を降ろした。


「本当?」

カミルは少し訝しげな表情で聞き返した。。


ニキルは中立地帯の森で起きた事を

かいつまんで話をした。


「その時ジリルが連れていた子供だよ」

といって指を指したが、いるはずのジュリと共にその姿が消えていた。


「あれ? さっきまでそこに…」


ハキルとカミルは顔を見合わせた。





村のすぐ外では、激しい剣戟の音が響いていた。

姿は見えない。

時折、木々の間を影が走る。

遅れて大木が切断され、ズシンと倒れていく。


力は拮抗し、どちらも攻め手を欠いていた。


「貴様は広範囲破壊攻撃ができぬと見える。

出し惜しみせずとも撃ってくるがいい。」

ミキルは言った。


「それで揺さぶりをかけているつもりか?

腕が下がっているぞ」

そう言ってクロフォードが鋭い突きを返す。


「いいだろう、モタモタしてもいられぬ。」

ミキルはクロフォードの攻撃をいなし

後方に飛び、高い木の枝に着地した。


剣を額に当て、集中する。

すると体中に模様が現れ始めた。


ミキルはうっすらと光を纏っている。

そしてフッと消えたかと思うと

一瞬でクロフォードの眼前に現れた。


その瞬間クロフォードの目が赤く光り

犬歯が伸びた。


だがその時、クロフォードの視界に

フラフラと茂みの間から出て来る者がいた。


あいつ!!――


ミキルとクロフォードの剣が交錯した瞬間

辺りはスパークし、周りの木々は吹き飛んだ。


土煙が収まり、ミキルは佇んでいる。


そこには片膝を突き、剣を突き立てたクロフォードが居た。

肩から腹にかけて深く切り裂かれ、大量に出血していた。


ミキルはクロフォードの後ろにいる人影を見た。


「ク…クロフォード…様」

バエトはそう言うのがやっとであった。


ミキルが切っ先をクロフォードの喉元に向ける。

だが、しばらく考えた後、剣を鞘に納めた。


「バ…馬鹿野郎が…」

クロフォードの声はかすれていた。


「あ…うあ…」

バエトはうまく言葉が出ない。


「お前…混種か?」

ミキルは静かに問うた。


バエトは震えながら頷いた。


「クロフォード殿が居なければ、お前は死んでいた。」

ミキルの目は冷たかった。


「み…見事」

クロフォードは息を切らせてそう言った。


「この坊主が出てこなければ、お互い無事では済まなかった。」


「あんたが咄嗟に力を逃がさなければ

俺も、こいつも真っ二つになっていた…」


「フッ‥子供に弱いと見える。」

無表情なミキルの顔にほんの少し、笑みが浮かんだ。


「だが…」

掠れた声でクロフォードは言った。


「この程度で勝った気でいられると思うな

ハイエルフよ!」

クロフォードは立ち上がった。


再びクロフォードの目は赤く光り

獣のように犬歯が伸びた。

露出した傷はみるみる塞がった。


「よかろう、本気で参ろう。」

ミキルは不敵な笑みを浮かべ、体がボヤっと光り始めた。


その時、バエトがミキルの前に出て

両手を広げた。


「どけ!ガキ!」

クロフォードはバエトに構わず踏み込んだ

ミキルも同時だった。


バエトは両手を抱えてうずくまった。


(死ぬ…)


だが、聞こえるはずの剣戟が無かった。


「?」

バエトは恐る恐る顔を上げた。


逆光でシルエットでしか分からないが間違いない。

「先生…!」


セツナはクロフォードとミキルの間に割って入り

それぞれの斬撃を受けていた。


「バエト、早く村へ戻れ」

セツナは落ち着いた声で言った。


「な…素手で…」

ミキルの剣の切っ先は、セツナの指先でピタリと止まっていた。


「バエト!何してる 早くいけ」

呆気に取られているバエトを叱咤した。


「はいっ…」

バエトは転がるように駆けて行った。


「貴様…余計な所にしゃしゃり出てきやがって」

クロフォードも同じように剣を止められている。


「剣を納められよ」

セツナは静かに言った。


「チッ…」

クロフォードは仕方なく剣を鞘に納めた。


「……」

何も言わず、ミキルも剣を収めた。


「あなたはニキルの父上か?」

セツナはミキルに視線を向けた。


「何?」


「この村にいる」


「……バカ息子め!」

ミキルは呟いた。









「これを見過ごせと!?」


ミキルはハップ婆に詰め寄っていた。


「攫われたハイエルフ、虚空を見つめる混種たち。

それに…人が大量に捨てられていた施設。

そもそもここは中立地帯だぞ?

見過ごすことはできぬ。」


「あんたの中では全てつながっとるようじゃが…」

ハップ婆は言いにくそうだった。


「もう用が無いなら早々にお引き取り願おうか」

クロフォードは強めの口調で言った。


「父さま」

ニキルの姉のカミルは父にチラリと目くばせする。


その時、奥の森から木の折れる音がした。

それと同時に大きな塊が転がってきて

ニキルたちの前で止まった。


「これ…」

それは一つ目巨人の頭部だった。


その瞬間、同じ方角から叫び声がした。

「キャー!」


無数の鳥たちが一斉に飛び立った。


セツナは一瞬で消える。

そしてセツナが到達した場所には

巨大な異形が立っていた。


無数の花が全身に咲く異形の手には

あのハイエルフの少女が握られていた。


遅れて、クロフォードとミキル達が到着した。


「これは!」

ミキルは思わず声に出した。


一瞬、辺りは静寂に包まれた。



そして、地面に魔法陣が現れた。

それは徐々に数を増やし、そこから異形が湧き上がって来た。


「狙いは俺だろう。」

そう言ってセツナは一瞬で異形たちをバラバラにした。


それでも魔法陣は次々に出現する。


「元を絶たねばならない」

そう言うとセツナはフッと消えた。


「この原因を作ったのはあんたの息子だ

ハイエルフ殿」

クロフォードはニキルを指さした。


「本当か ニキル」


ニキル父親から目を逸らした。

「ハ…ハイエルフがいたんだ、ダークエルフの施設に。

だから俺はついカッとなって…」


「こいつらを始末するのに手を貸すか?

アカヌの族長よ。」


「クッ…! 今だけだ。」

ミキルは応じるしかなかった。


ハップ婆は巨大な大木の影から様子を伺っていた。

その瞳は氷のように冷たかった。


ようやく更新できました。


連休明けから出張が続くので


次は10日くらい先です…


仕事したくない。( ノД`)シクシク…

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