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ANgelic of the Dead  作者: 書庫
五章--閉ざされた国、ファルムス帝国--
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第百六夜:泉を後に



翌朝 ―― ルミナリエの泉を後にして


夜明けの薄光が泉の面に揺れ、昨夜の神々しい光の名残がまだ残っている。

神と大天使との邂逅はあまりに突然で、そして強烈だった。

だがその重さとは裏腹に、一行の目覚めはどこか軽かった。


ミルベーナもゆっくりと上体を起こす。

昨夜まであれほど苦しめられていた頭痛が、すっかり引いている。


「……体が、軽いな」


リージュが笑いながら駆け寄る。

「だよね!ミナ、顔色すっごく良いよ!」


フォスターは御者台の荷物をまとめながら振り向いた。

「ま、神様自ら治療に加わってくれたようなモンだしな。これで治ってなきゃ逆に驚くぜ」


ジークも頷きながら馬を撫でている。

「ユグドラシル様の光……あれはほんと、すごかった……」


――そして、馬車が動き出す頃合いを見計らって。


ロゼリアが胸を張りながら先導しつつ、ミルベーナへ問いかけた。

「さてミルベーナ殿!昨夜のこと、どこまで覚えている?」


「……ちゃんと覚えているよ。まさか、あの場に唯一神と大天使が来られるとは思わなかったが」


フォスターが鼻を鳴らす。


「驚いたのはオレらもだよ。よりにもよってサリエルだけならともかく、

“神様とご対面”とか聞いてねぇっての」


「あはは……でも、ちゃんと話してくれたでしょ?」

ジークが昨夜の説明をまとめるように座りなおす。


そして――

一行はミルベーナに、あらためて“正式な情報”を共有した。


● 天使に選ばれた者は、力の代償として記憶を喪失する。

● リージュは特異な存在であり、喪失範囲が大きい。

● 世界には“新たなことわり”が迫りつつある。

● ファルムスはその渦中に入りやすい土地で、調査と救済が必要。

● 女神ユグドラシルは、それを新たに“天使四名”に託した。


ミルベーナは静かに聞き終え、目を伏せる。


「……しかし、リージュの記憶が特に欠けていた理由が力の強さと相まっていたとは……」


リージュは少し不安げに手を握りしめた。

「……あたし、迷惑かけてばっか……」


ミルベーナはその手をそっと包む。


「気にするな。リージュは私たちに頼れば良い。

女神ユグドラシルも“思い出す必要は無い”と仰っていたのだろう?」


リージュは小さく頷いた。

ジークはほっとしたように胸をなでおろし、

フォスターは御者台で長く息をついた。


「つーわけで、今日からは“天使五人+フォルスティン”の六人体制。

ヴァルカンまで気合い入れて行くぞ」


「僕らも居るよー!!」

「きゅー!!」

プルワと朝の散歩をしていたフェリオがぶーたれる。


「あ、悪ぃ、悪ぃ」

昨日の出来事は天使以外は眠っていたので、少しプルワはご機嫌ナナメだ。


ロゼリアは槍を肩に担ぎ、いつもの調子で吠える。

「うむ!我ら、蒼穹の守護天使部隊!世界の理に挑むのだ!!」


「……そんな部隊名は付けていない」

ミルベーナの冷静なツッコミが入る。


ロゼリアは気にせず胸を張った。


馬車は再び道を進み、

火山帯と街の影――“ヴァルカン”が遠くに見え始めた。


静かで、しかし確かに力強い一歩だった。

更新日は毎週火、木曜日の11時更新となります。

元のペースに戻せそうになり次第、お知らせいたします。


【2025年3月31日、第一夜〜第三夜 改稿リライト】リライト

現在第一夜〜第三夜の文章と構成を全面的にリライトしました。

以前のバージョンを読んでくださった方も、改めて楽しんでいただけたら嬉しいです。


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https://x.com/r5mswm?s=21&t=YDHDT292BvtoU2Xhs0cHWQ

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