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うざいくらい慎重すぎる暗殺者  作者: 総督琉
第四章『悪魔が目覚める日』
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第五十五話『三つの事件』

 修学旅行最終日。

 午後一時。

 鳳によって氷夜と氷織が死んだ裏で、冬待の街ではある事件が起こっていた。


 昨晩、修学旅行二日目の夜のこと。

 帰還した速水の部屋には一通の書簡が届けられていた。

 そこには宮園を拐ったと書かれており、首謀者は不明。

 速水は手口を第Ⅴクラスの犯行だと確信していた。


 指定時刻にある場所に行けと書かれてあり、破れば宮園の命はないと脅される。

 速水は仕方なく従い、その場所へ向かった。

 冬待の街の外れにある廃れた工場。そこの地下に宮園が監禁されているらしいが、そこへ向かうまでに幾つもの障壁が用意されていた。


 まずは爆発トラップ。

 縦横六ずつタイルが敷かれた部屋。

 その内爆発するタイルは十二枚。踏めば即死級の爆発が襲う。

 タイルを越えなければ次の部屋へ行けない。


「良かった。想像通りだ」


 速水は拳銃を取り出すと、全てのタイルに銃弾をぶちこむ。

 衝撃でトラップは発動し、タイルのあちこちが爆発する。

 速水は防弾盾を構え、爆風を弾き返す。


「さて、これで第一の部屋は突破かな。あとどれくらいトラップがあるのか楽しみだね」


 速水は余裕の笑みで次の部屋へ進む。



 ♤



 修学旅行二日目の夜。

 鳳は斑鳩と交渉をしていた。

 鳳は『見えざる手』の諜報員を最も多く殺した報酬として、斑鳩にどんな願いでも叶えてもらう権利を得た。

 鳳は有栖川が残した遺産、暗殺学園転覆の情報が入った万年筆を要求した。斑鳩はそれに応え、万年筆を渡した。


 鳳が立ち去った後、斑鳩は鴻巣、白草、古木とともに会議を開く予定だった。だが時間になっても古木は来ない。

 異変に思っていると、斑鳩の携帯に電話が入る。


「眼帯か。何かあったか」

「森火事が起きた場所に向かったのですが、そこで古木新の死体を見つけました。身体の数ヵ所に弾丸を撃ち込まれており、黒焦げになっています」

「犯人は分かるか?」

「アリバイや実力を鑑みて、速水か鳳、もしくはその両方でしょう」

「分かった。遺体に関しては灰も残さず処分しろ」

「了解」


 斑鳩は電話を切り、集まっていた教師陣へ振り向く。


「古木は死んだ。よって“黄昏の土曜日”を始める」



 ♤



『見えざる手』所属の諜報員マスカレードは海洋都市に滞在し、冬待の街に潜伏している諜報員と連絡をとっていた。

 ある時ポツリと応答がなくなり、異変に気付く。

 その上六死刑の一人グレイシアとも連絡がつかず、最悪の想定をする。

 不安に駆られる中、冬待の街で起こった事件がニュースで報道されているのを見た。


 冬待の街郊外にある森で火事が起こったというニュースだ。

 マスカレードはすぐに冬待の街で諜報員とグレイシアが返り討ちにあったことを察知し、対応に迫られていた。

 むやみやたらな策は失敗に終わることは明白だ。


 なぜ返り討ちを受けたのか、その原因が誰からも伝わっていない以上、諜報員は全滅したと考えていた。

 しかしその場合、敵が暗殺者かどうかが定かではない。たとえ暗殺者以外に襲撃されたとして、東国は治安が不安定であり、民間の犯罪組織に襲われた可能性も否めない。

 このままいけば、今回の作戦が全て水の泡になる。


 マスカレードは苦悩する。


 西国国王クイーンはマスカレードを召集する。


「マスカレード、冬待の街に潜入させておいた『見えざる手』はどうなった」

「全員死亡しました」

「次の策は講じてあるのか」

「協力者に託します」

「その協力者とやらはこの窮境を覆す才は持ち合わせているのか」

「はい。なぜなら彼は──暗殺学園にいましたから」

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