幕引『雪消の水』
Bクラス第七席住川。
ただ一人、彼だけが生き残った。
目覚めてすぐ、氷夜と氷織が死んだことを斑鳩から伝えられた。
自分だけが生き残ったことを理解するのに多くの時間を要した。
胸に触れる喪失感が肌を震わすのが分かった。
心は氷を押し当てられたように冷たくなっていく。
自分一人だけが生き残ったことに罪悪感を覚える。
どうして自分なんだ。
自分の命の代わりに彼らが生きるべきだ。
残された者の悲しみは深く、重い。
自分がどうするべきか、住川は分からずにいた。
霧の濃い森でさ迷うように、心は定まらずにいた。
迷いの中でわずかに巧妙を見つける。
氷夜との最後の会話、そこで氷夜が信頼していた人物を思い出す。
「速水碧……、彼女なら……」
住川は治りかけの身体を無理矢理起こし、立ち上がった。
自分が何をすべきか、まだ分からない。
だが唯一の希望に手を伸ばす。
その先に何があるのか、分からないまま。
♤
鳳と王子。
ホテルの屋上で向かい合う。
「これにてクラスを一つ潰したわけですが、すぐに次の標的に策を仕掛けます」
「第Ⅳクラスが壊滅したことはどのクラスも察しているはずです。この状況では警戒は厳重になっています」
「いえ、おそらくこの状況を予知できていないクラスが一つだけあります。第Ⅴクラス、六クラスの中で最弱のクラスです」
「確かにあのクラスの筆頭、八神はそれほど強くはないです。簡単に落とせるでしょうね」
王子は反論はせず、むしろ鳳の意見に同調した。
「あのクラスは第Ⅵクラスへちょっかいを入れているようですし、丁度潰しましょうか」
鳳は第Ⅴクラスにキレていた。
彼女は自分の獲物を狩られるのが大の嫌いだった。
そのため第Ⅵクラスに何度も敵対してきた第Ⅴクラスは邪魔でしかない。
「当然第Ⅴクラスごときに落とせる第Ⅵではありませんが、どのみち潰すのですから今潰しましょう」
「今……ですか?」
「既に策は動き出しています」
「そういえば不和の姿をあまり見かけませんが……」
「始めますよ。次は第Ⅴクラスです」
鳳の陰謀は再び動き出す。
一般生徒が修学旅行を満喫する裏で、暗殺者は命を研ぐ。
第三章完結
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