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デジャブ?

 えっ……もしかして怖がらせてしまったのか?

そんな、つもりはなかったけれど……。


「……恐れ多い事でございます……」


 兄上や姉上と比べて俺の身分なんて、細やかなものだ今はまだ幼い妹のアスも他国との結び付きのために国の為に嫁ぐという役割がある。

 俺は……今までと同じように他国へと婿入りすらできずに、あと数年でまた死ぬだろう。

そのたびに、もう繰り返したくないと願っても戻ってきてしまう。


 同じ年頃の人と仲良くなりたいと思うのは傲慢な考えなのだろうか。


「……ただ、友人が欲しいだけなんだ。」


 無意識に口からこぼれ落ちた言葉に何故かノクスの口元が歪む。


「殿下の周りには優秀な方々が、おられるではありませんか。」


 確かに優秀な側近は少なくはない、けれど年の近い物はごく僅かだ。

その僅かな側近は気心は許してはいるとは言え、全てを許している訳では無い。


 いつの時かは忘れてしまったが、俺にも幼馴染という人物が居たような気がする。

時折、夢の中で青い小花が咲き乱れる丘、その人物は俺に何かを伝えているんだ。

 今では、顔にモヤがかかりその人物の顔を思い出すことは出来ない。

 その人物と居る時だけが本当の自分でいられた気がする。


「俺には友は居ない。」


 言葉にすると胸の中に黒いモヤがあふれる気がする。


「嘘だ!」


 ノクスの強い言葉に驚きながら目をむけると膝の上に置かれた拳がフルフルと震えていた。


「いや、本当だよ俺には友と呼べる人は居ない……正確には友が居たのかが分からない。」


 家族だけしか、知らない話を俺はノクスにしようとしている。

理由は分からない、けれどノクスに聞いて欲しいと切実に思ってしまう。


「この話は俺の家族だけしか知らない事なんだけれど……」


 そう口を開くと同時に、ノクスは椅子から立ち上がると、何故そんな大事な事を……王家の秘密を僕に話そうとするのですか!と聞いたことがない程の声量を俺にぶつけた。


 出会って数時間……それなのに今までとのギャップに思わず口元が緩むのが止められなかった。


「ーーーッ、あなたはどうして、そんなにも危機管理がないんだ人払いをしてるとはいえ、このような場所で王家の秘密をはなそうとして咎めた僕を笑うなんて、言語道断だ。」


 一気に言葉を放出したノクスはアッと言うと両手で口元を隠した。


 俺はタガが外れ、笑いが止まらなくなる。

それと同時にノクスからの親しみのある言葉使いが嬉しくて涙が留通りもなく流れる。

笑いのせいで流れたと誤魔化しながらも、遠い昔にも誰かと一緒に今みたいに大笑いをした記憶か、うっすらと脳裏に浮かぶ。


「申しわけありません……」


 先ほどまでの勢いは、どこにいったのか、初めてあった時のように一線を惹かれたような感じがした。

 そんな態度を取られても俺は、諦める気にはまったくならず、もう一度砕けたノクスの姿を見たいと思った。


「あやまらなくてもいいよ……それでノクス、俺の家族しか知らない事なんだけど俺は幼い頃の記憶がまったく無いんだ、だから友人が居るかなんて……」

 

 そこまで言ったと同時にノクトは俺の両手を握ると顔を近づける。


「わーーーそれは、このような場所で堂々と話すことではないですよね?何を考えているんですか?それよりも……記憶が無いって……どういう事なんで……すか?」


 俺の手を握るノクスの手が震えている。

ふわふわな前髪から見え隠れする目元には悲観を浮かべている。


 ……あれ?

俺この状況をどこかで見た事が有る気がするけど一体いつだ?

ノクスとは今日がはじめましてのはずだから、繰り返した過去でなのか?

 そもそも、俺の繰り返される過去の時間ではノクトには出会った記憶がない。


 それなのに、この既視感はなんなのだろう。

そして俺はノクスだけは他の人には感じることがない心地よさと安心感を、なぜだか感じる。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

楽しんでもらえると嬉しいです。

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