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なぜだか君と話がしたいんだ

更新が遅くなってしまい、すみません。



 王族用のテラスへと向かう途中、会話らしい会話はなく……ノクスはうつむいたまま後ろをついてくる。

確かに王族に呼ばれたら断ることは出来ないだろうし、警戒もするよな。


 ただ無言で一緒に歩いているだけなのに不思議と心地よさを感じるのは何故なんだろう……。


 テラスに有るテーブルには軽食とお茶が用意してある、俺の好きな香りと菓子を見ると姉上が指示をだしてくれたのが理解できた。


「ねぇ、早くこっちに来て座りなよ」


 俺は入口でソワソワしているノクスに声をかけた。

緊張しながら、テーブルへと向かってくる姿が愛玩動物のようで思わず笑いが漏れる。


「そんなに警戒しなくても嫌がることはしないよ。」


「ーーそんな事は思ってない……です。」


 そう言うと椅子へと腰を下ろした。

ふわふわと揺れる髪から覗く瞳は、気を抜くと吸い込まれそうな深さを持っている。


 魔術師は、暗くて陰険な奴ばっかりだ。


 騎士の中では、そんな事を言う者も少なくない、同じ人間なのだから、全ての魔術師がそうだとは思わないけれど、控えめな人が多いの確かだ。

騎士と魔術師とが持つ特性の違いなのだろう。


 騎士は体を使い、魔術師は頭を使っている。

それだけの違いなのだから、仲良くすれば良いのに……無理強いはできないけれど。


 今、俺の眼の前に座っているノクスは警戒感が分かりやすく見て取れるのに同時に、俺に興味を持っているのも分かる。


「殿下、発言をお許しください。」


 そんな、かしこまらなくても大丈夫だよと言っても伝わらないだろうな。


「どうぞ。」


 ノクスの喉が音を立てた後に口を開いた。


「何故、僕をこの場所へと呼んだの……ですか?」


 何故?何故と言われた理由は思いつかない……何故……か……。


「君と話がしたかった。」


 ノクスが小さく、エッ?と声を漏らした気がした。

と同時に顔を伏せてしまったから表情が見えない。


「何故だか分からないけれど、ノクスを見た時に話がしたいと思ったんだ。」


「……てるの?」


 ノクスがなんて言ったか聞き取れなかった、それに気づいたノクスは慌てたように話をいたしましょう殿下、と僕に言うとぎこちない笑顔を見せる。


 なんでだろう……このぎこちがない笑顔を俺は見たことがある気がする。

笑顔だけではない、ふわふわの髪もそこから見え隠れする瞳も初めて見る感じがしない。


「ノクス、君は魔力が高いのだろ?」


 何気なく問いかけると、それしか誇れるモノは有りません殿下と言葉を発する。

 俺の眼の前に居る、この少年は驚くほどに自己肯定力が低いのは何故だろうか?

その理由が知りたいと俺の心が騒がしく反応するのを感じる。

 

「ノクス、俺はきみと仲良くなりたい。」


 声にならない声をあげたノクスは髪から覗く目が大きく見開かれている。

 瞳がかがく……いやきらめくと言う方が正しいかもしれない。

夜空に星が流れるようにキラキラと……。


「殿下は、どうして僕と仲良くなりたいと思って下さるのですか?僕の身分は平民です……次期魔塔主候補とは言え、魔術師としてもまだまだ未熟な状態です。」


 平民から膨大な魔力があるというだけで、次期魔塔主候補と名が上がるわけがない。

ノクスは、俺が考えが及ばない程の努力をしているからに違いない。


 その事を誇ってもいいはずなのに……。


「身分は関係ない……とは言えないけれど、俺は国王の第3子で第2王子だから兄上や姉上とは立場は違うから気を使わずに気楽に接して欲しい……と言ったら迷惑か?」


 迷惑だと言われても引き下がってはダメだ……俺の頭中の誰かがノクスの事を逃すなと警笛をならす。


「だめか?」


 俺がノクトを真っ直ぐに見つめると、ノクスが喉を鳴らすのが分かった。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

楽しんでもらえると嬉しいです。

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