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今までとは違う気がする

 シリウスは第1王妃の唯一の子どもですが、第2王妃を筆頭に兄のパウロス、姉シャウラ、妹アエラスに溺愛と言うには足りないほどに愛されています。

よくある兄弟間のわだかまりも無いです。

姉妹はシリウスに令嬢が近づくのを良く思ってなく特にアエラスは自他ともに認めるブラコンです。

 部屋の温度が下がり肌がピリピリと反応する。


「母上!姉上もアスも俺の支度が終わっているか心配で来てくれただけです。」


 その怖い気迫を抑えて欲しい……

父上も兄上も、なぜ何も言わないんだ。 


「2人は俺の事を思って来てくれたのです。」


 俺の言葉で母上の顔が歪む。


 グスン……


「わたくしが……わたくしが一番にシリウスにお祝いを伝えたかったのに……。」


 俺はどうしたら良いか分からすに父上へと視線を向けると、何故かニコニコと笑みを称えていた。


 えっ?なぜ、そんなにも余裕があるのかわからなかった。


「しょうですわ!昨日、みんなで一緒にシスお兄様に、おめでとうと言う約束だったのに、お姉様がうらぎったのよ!」


 アスの言葉に母上が、わなわなと震えだし俺にはもう、何もできない……そう思った時。


部屋の入口から春の太陽の光のような薄桃色の髪と海のような青い瞳を持つ第1王妃が兄上のエスコートで入ってくる。


「あらぁ〜賑やかで楽しそうね。」


 あっ……そうか……そうなんだ……


 春の木漏れ日のような、温かな微笑みを浮かべているその人を見ていると、意図せずに涙が溢れる。


 まだ生きて……


「シスお兄様だいじょうぶでしゅの?」


 溢れ落ちる涙を心配したアスが俺を見上げた。

大丈夫だと答えたいのに声を出すことができない。


「まぁ〜シリウスなぜ、そんなに泣いているの?」


 薄れた記憶の中でしか存在していなかった。

こんな奇跡があって良いのか……

神よ……俺は希望を持っても良いのか……


 もともと体が強くなかった、お母様は俺を生んだ後にベットから出ることが、ほぼできなくなってしまった。

 

 俺の17才の誕生日の前日に、お母様は儚くなられた。

 うっすらとだけれど、ソレは間違いがなく現実だった。

 第2王妃である母上と兄上に手を握られながら、俺はお母様に最後のお別れをしたんだ。

姉上が俺を抱きしめながら、わたくしがシリウスを守るからと言ってくれたのも覚えている。


 お母様……。


「シリウス、いつまでも座り込んでいては王子としては……少し良くないのではなくて?」


まるで幼子に言い聞かせるような、笑顔のお母様の言葉がなぜだか胸をくすぐる。


「まぁ!シスお兄様も、お母様にしかられてしまうと、なにも言えなくなっていまうの?アスといっちょね。」

 

 無垢な笑顔を見せるアスに、そうだなと伝えるとシスお兄様とアスは、いっちょねと俺に抱きつく。


「シリウス、そろそろ祝賀会場へと向かわないか?おまえに会いたい参列者が今か今かと待っているようだ。」


 ーーー兄上。


「その前に、涙でボロボロのその顔を直してもらわないとな。」


 そう言うと、豪快に笑って見せた。


「兄上……いつの間にお母様を呼びにいったのですか?」


兄上は一瞬、動きを止めた後ふにゃりとした父上と同じような目が消える笑みを浮かべると。  


「我が家の女性陣は大なり大なり、尋常ではない程にシリウスが大好きじゃないか、シャラとアスの姿が見えない時点で手を打っておいたんだ。母上も暴走しかねないのでセリーニ様に助けを求めたんだ。」 


 なるほど……それで父上は、まったく焦った素振りを見せなかったのか。


「シリウス殿下すこし、髪を整えさせて頂きますね。」


 お母様の侍女のメアリーが俺を誘導してくれる。

お母様が亡くなった後には、メアリーは第2の母のように見守ってくれていた。

だからだろうか、何度目かの死の時に、あの声とは別にメアリーの悲しむ声が、聞こえた気がする。


「シリウス、早くメアリーに支度をして貰いなさい時間は待ってはくれないのよ。」



 ーーー時間は待ってはくれない……か。


 ここに居る誰もが、俺が気が遠くなるほど長い時間同じ時を繰り返しているなんて知らないだろう。


 話したところで信じても、もらえないだろう。

けれど、今回は今までと違う。

王族の色を1つしか受け継がなかった俺が、貴族達の前に出るのは正直勇気がいる。


それでも、一歩を踏み出さなければ。



最後まで読んでいだきありがとうございます。

次回も読んで頂けると嬉しいです。

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