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姉上!兄上!妹!そして父上!母上!

 忘れていただけで、俺はどうやら家族に愛されていたようだ。

すぐに命が尽きては同じ時間を繰り返していたからか自分の事を大切にしてくれていた人達の事が完全に頭から抜けていたようだ。


 俺の誕生日との事で、動きにくいが見栄えの良い服へと着替えさせてもらうと、背筋が伸びる。


 ドドドドド……

 

 地響きの様な音が聞こえると同時に俺の部屋の扉が激しく開かれた。



「わたくしの可愛いシリウス!」


 俺の部屋へとノックもせずに入ってきたのは夕陽ゆうひの様な赤髪と王族の色、黄金の瞳を持つ第1王女シャウラ姉様。

国王である父上の第一子であり烈火れっかの姫との通り名を持ち自らの騎士団をも率いている。


 俺がシャウラ姉様と呼ぶよりも早く姉様は俺に抱きついてくる。


「キャー素敵だわ、わたくしのシリウスは何を着ても似合ってしまうわね、やはり罪づくりな美貌だわ。」


 姉様の腕に捕らえられ、抜け出そうともがけばもがくほど深みにはまっていくと言うか何と言うか……

 俺の今の年齢は16才かもしれない、けれど20才からの人生を何百回も繰り返してきた俺は姉とは言え妙齢の女性に抱きつかれるのは、さすがに気まずい……。


「姉様……おむねが……」


一瞬、姉様の力が抜けた気がした。


 のがれられる……

けれどそれが勘違いだと言う事に俺は気付かされる。


「何を今さら恥ずかしがっているの?わたくし、お母様に内緒で幼いシリウスのお世話を何度も何度も手伝っていたのよ、あの頃のシリウスは、わたくしが抱っこしてあげるとスヤスヤと眠って可愛らしかったわ。」


 そう言うと姉様は、自信満々な笑みを浮かべていた。


 姉様から逃れる事は出来ないのか、そう思った時先ほどと同様に俺の部屋の扉は大きな音をたてて丿ックもなしに開かれた。


「お姉しゃま!何をなさっておられるのです?シスお兄しゃまが嫌がっておられるじゃありませんか!」


 淡いピンク色の、ふわふわとした髪に黄金色の瞳を持つ国王の第四子である第2王女アエラス5才。

俺の妹だ。


 これでもかと頬を膨らませながら姉様から俺を引き離そうとしている姿は、正統な王族の血を引く王女とは思えない。


「ぷっ……アス……わたくしに力で勝とうなんて……1000年早いわ。」


 力で勝てないと悟ったアエラスは猫のような大きな目に涙を浮かべながら姉様を見上げた。


「しょんなこと、わかってますわ!」


 そして、思い切り姉様の足を踏みつけた……。


 俺の頭の上で声にならない声が聞こえると同時に姉様の腕の力が緩み俺の体は、重力に導かれるように、その場へと崩れ落ちる。


「シス兄様だいじょうぶですの?」


 心配そうに眉を下げているアエラスを見ると自然に笑みが浮かぶ。


「アスありがとう、大丈夫だよ。」


 そう言いながら頭を撫でると、アエラスも笑顔を浮べた。


 その時、扉を叩く音が聞こえ扉が開くと父上と兄上、恐ろしい気迫をまとった母上が入ってきた。


 アエラスは何かを察したのか俺の腹に顔を埋めて小さく震えている。

姉様を盗み見ると、明後日の方を見ながら変な汗をかいている。


 世間からは、威厳があり冷徹な国王だと思われているが実際は母上が全ての権力を握っている事を俺は知っている。


「ハァ〜、姿が見えないと思っていたら、シャウラもアエラスも何をなさっているの?」


 見た目の柔らかさからは想像しかねない母上の温かさを微塵も感じない冷たい言い方にアエラスの小さな手は俺のは服を握りしめた。


「……わたくし……わるくないわ……」


 アエラスの言葉を聞いた姉様も、さも当然のように口を開く。


「わたくしも、悪くないわ。」


 その時、空気がピリリと凍り付く気配をかんじた。



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