92話 「ふーん」
採石場に残ることになり、トレーラーを持って来てしまったので現状咲夜ができる作業が無くなってしまった。
「なにも、することが無いんだが」
「私もない」
「なら、戻っても良かったんじゃないか」
「効率が悪い」
「確かに」
効率が悪いことは咲夜も重々承知していたのだが、プロペラの検査ができた際にどれほどの時間が掛かるか分からないので検査ができるのであれば出来るだけ早く検査をしたかった。
「渡してないけど別のタンクがあるけど、それでも作る?」
「何でそっちは、選ばれなかったんだ」
「なんとなく」
「そうかい、それでどんな形状なんだ」
「断面が楕円だったのが長方形に近しい形になる」
「そっちの方が楽じゃないか」
咲夜がタンクの設計を引いているのを見た人がいたのであればそこまで難しそうに見えないのだが咲夜は、暗記も線を引くのも手間だと思いながらもプロペラよりもマシだと考えながら書いていただけだったのだが。
「楽だとは思う」
「1時間もないけど書けると思うか?」
「断面ならいけると思う」
「断面か、軽く書いてくれないか」
「紙」
「はい」
「軽くだから」
「そこからは、何とかする」
咲夜は、紙とペンを知佳に渡した。知佳は、迷うことなく線を引いて行った。知佳も設計図を咲夜に渡す際に目は通しているのでサイズに関しては曖昧なのだが形状に関してはある程度覚えていた。そして、軽く書いたのにしては綺麗に書かれていた。
「綺麗に書かれてるじゃん」
「流石に綺麗な書かないと」
「そうなんだが、サイズは覚えてないか」
「うん」
「了解、ギリギリのサイズだろ」
「確か」
「機構に関してはあれと同じだろ」
「うん」
「なら、問題なく引けると思う」
「分かった」
それだけ聞くと知佳は、どこかに歩いて行った。
ーーー
製作機は、作動しているときは独特の音を立てながら稼働しているのだがその音が止まった。その作製機の近くで作業をしてた咲夜は、顔を上げた。集中すると周囲の音が聞こえなくなる咲夜だが、流石この独特の音が急に無くなるのは違和感だったためだったのだが。
「できたか」
それだけ言うと、咲夜はまた作業に戻って行った。咲夜の手元の設計図には、断面図が数値まで入った状態で書かれていたのだが、その横にもう一枚の紙が置かれており、現状のトレーラーに乗せる際に必要になるであろう設計について書かれている紙がありそこに追加でいくつか書き込んだ。
「できた?」
「できたみたいだぞ」
「乗せる」
「材料乗ってるやつ先に製作機に入れた方が良いか」
「どっちでも」
「なら、今の奴先に入れる」
知佳は、未だに開いてなかった製作機の扉を開けるためにパネルに行き、咲夜はタンクの土台となるトレーラーを動かす準備をはじめた。知佳がパネルを操作するのも慣れたもので咲夜の準備が終わる前に扉を開ける操作は終わり開き始めた扉の隙間から中に入っていった。
咲夜は、扉が開き切ったことを確認するとバックで製作機の中に入れて行った。
「できてる」
「良い感じか」
「うん、スポンジもついてる」
「それは、良かった」
流石にプロペラ本体を幾ら形状に合う形で、作製してるとはいえ輸送の時を考えると流石にと思いスポンジを土台に作ったレールにはめ込む形の出取り付けれるようにしていた。ただ、今まで作ってきた中で問題ないとは考えてはいたのだが心配な点ではあったので問題なく繋がっていることは、安心だった。
「外そうか」
「いや、外すよ。それより問題なく出来てるか、確認をお願い」
「知らないんだけど」
「そこは、なんとなくわかるだろ」
「やってみる」
「おう」
咲夜は、トレーラーを外し先ほどと同じようにバックで駐車したのだが今回は、知佳の近くに停車させた。
「どうだ」
「問題ないと思う」
「先に金属を降ろすわ」
「ケース積む」
「了解、そっちを任せる」
「うん」
金属もケースもそれなりに重量があるだがケースには底面に車輪がついているので動かすのに苦労はあるが、そこまで重さを感じることなく動かせるので知佳に積み込む作業を任せることにした。
金属を降ろし終わった咲夜は、既に作業を終えた知佳が暇そうに助手席で待っていた。時間を確認すると後、10分ほど前に本拠点で作っているプロペラの作製が終わっていた。それを確認した咲夜は、すぐ車を製作機の中から出した。
「プロペラはできたな」
「うん」
画面を咲夜に見せて来た。そこには、製作完了と表示されていた。
「急ぐか」
「まだ時間が掛かる」
今から作成するのは、タンクで初めて作成するもので設計図を読み込ませる必要があるのでさらに10分かかるのか確定していた。
「ここからは、操作できないしな」
「出来たら、便利」
「そうだな」
咲夜は、作製機から完全に出すために、入り口のギリギリまで前進させた。
「設計図の読み込みを任せてもいいか」
「私のにならない」
「なるな」
「なら、咲夜がやって」
「トレーラーの確認しないといけない」
「時間はある」
「分かった、設計図はやるからトレーラーの手伝いを頼む」
「分かった」
その後は、持って来ていた設計図を読み込ませている間に、トレーラーの確認を行っていた。確認と言っても、ケースが完全に固定されてはいないのでラッシングベルトで固定するなど作業を進めている間に設計図の読みかませるのが終わった。材料に関しては、過剰に入れているのでそのまま製作を始めた。
ーーー
製作を始めた咲夜は、確認を終えいつでも出発できる状態になっていたので、そのまま出発した。
普段は、長距離移動となると寝ている知佳なのだが今回は珍しく起きていたので、意見を求めることにした。
「ケースに問題なかったか?」
「車輪はゴム付きの方が良い」
「了解」
ケースの車輪は空気入りのを使用しているのだが、長期にわたって使用することを考えると空気を入れる車輪よりもゴムを貼ったタイプの方が管理はしやすいので咲夜もその点に関しては、改良を考えていたので当然な意見ではあった。
「他は、ないか?」
「うん、重ねることができない以外は」
「重ねることができるのは、フォークリフトタイプだけだな」
「そう、重さは」
「1つが限界だろうな」
「アルミか鉄に変えたら」
「それは、することになるだろうな」
現状ケースの大部分は木製で角など重量が掛かりそうな部分には、追加でアルミの支えが入っているのだが3段、4段と積むのは、現状無理なので大量に注文が入っているので木材を金属に置き替えることは検討しないといけない点ではあった。
「金属か」
「うん、大量に販売するんだから考えた方が良い」
「そうだな」
「コスト?」
「そこまで、高額にはならんとは思うだがな」
「連絡したら」
「そうだな、そもそも販売していない状態で注文が入るとは思って無かったんだが」
「それは、想定外」
今までは、販売すると購入できるように登録すると購入されていたのだが、今回は購入設定すらしていない状態で注文が入ったのでそこが二人にとっては問題だった。
「そこは、検証しないといけない」
「そうだな」
「ただ、大口だから逃したくない」
「そこが、問題なんだが」
注文数が多いのもあるのだが、一枚一枚のが非常に高価な物なのでこれだけの数の注文を簡単にキャンセルはしたくはなかった。
「やるしかない」
「そうだな」
「ケースに関しては、注文数が多いお客さんには、金属での値段を提示しとく」
「利益込みで?」
「若干な」
「ふーん」
何か、意見があるような感じで返事をした、知佳はそのまま寝る体制なった。




