86話 ヤダ
あの後コンビニでの買い物は問題なく終わり、学校にある知佳の部屋に帰ってきた。残りの休憩時間は、5分ほどしか無かったのだが咲夜の次の授業は、教員の出張により自主学習になっていた。
「残り時間無いけど次は大丈夫なのか」
「大丈夫」
「因みに次の授業は」
「体育」
「出席必要だろ」
「出ても出てなくても見学だから問題ない」
「それ、勝手に見学になってるだけでは」
「そうとも言う」
「そうなんだよ」
「そうかな」
「まあ、いいやそれでプロペラの件はどうなった」
「そうだった」
知佳は、電子端末を見せて来たそこには、知佳の手書きで流れが書いてあった。
「珍しいな」
「何が」
「手書きなこと」
「そこ」
「そこ」
「そこは、どうでもいい、内容見て」
「見てる、これ1枚だけ」
「うん」
「なら、返す」
「相変わらず便利な能力」
「そうか」
「うらやましい」
咲夜は、すぐに知佳に電子端末を返した。知佳は、咲夜のこの一瞬で覚える能力をうらやましがっていた。知佳にも似たような能力はあるのだが。
「それで、納品前に試験は必要なんだな」
「うん、それと証明書も」
「証明書の発行はどうやるんだろうな」
「作製機に入れたら良いんじゃない」
「そんな、項目あった覚えがないんだが」
「各商品に紐付けされてるんじゃない」
「そうなると帰って確認だな」
「そう」
「それで、箱に入れて納品されても納品先で試験があるんだな」
「試験よりも検査ぽいけど」
「なら検査で、その後実機でも確認があるんだな」
「そうみたい、ヴィジオンの中でもそうなのかは分からなかった」
「そりゃ、始めて何だから」
「どうする」
「先に注意事項に関してと責任事項に関しての契約を結ぶ必要があるな」
「そこまで、必要?」
「必要じゃないか」
「でも、証明書出るんでしょ」
「確実じゃないだろ」
「そうだけど」
咲夜としては、責任の所在に関してははっきりしておきたかった。もし、証明書を製作機が発行してくれるのであれば問題が発生する可能性は低いのだろうがそれでもゼロとは言えなかった。そのもしが起きた時に極力咲夜たちに責任が来ないようにしたかった。
「しないよりは、マシなだけでただの保険だ」
「保険にしては、過剰な気がするけど」
「過剰ぐらいが良いだろ」
「そう、なら良いや」
「このことプロペラに関しては、終わりか」
「カーボンは」
「それは、まだ試作してないから何とも言えない」
「なら、出来てから」
「そうなるな」
「分かった、それにしてもどんな機体に使うんだろ」
「確かに、小型機に使えるようにしてるから、可能性としてはレース系の機体じゃないか」
「レースか、聞いたことない」
「俺もないけどレース系しかなくないか」
「確かに」
「まあ、カーボンに関しては出来るだけ早くする」
「分かった」
咲夜は、頭の中で何をしないといけないかの項目を決めているとチャイムが鳴り、午後の授業の開始を知らせた。
「始まったな」
「そうね」
「そうね、じゃないんだが」
「諦めて」
「諦めて、じゃないんだが」
「そんなに私の着替えを見たいのそれとも下着を見たい」
そう言うと、知佳は胸の前で胸を隠すように腕をクロスさせて「いやーん」と言ったのだが咲夜が無反応だったので膝に置いていたクッションを投げて来た。
「なんか言え」
「見たくないと言った良かったのか」
「そうじゃない」
「それに、お前の服を洗濯して畳んでるのは俺で、その中には下着も含まれてるんだが」
「あ」
「忘れんなよ」
「でも、付けてるか、付けてないかで差はあるでしょう」
「ない」
「なら、着換える」
「分かった」
そう言うと、知佳は勢いよくベスト、シャツを脱いで上半身が下着姿になって知佳はあることに気が付いた。
「妹」
「ひかりがどうしたんだ」
「ひかりちゃんがいるから」
「そうだなあいつは、よく家中を下着姿で歩いてたな」
「あ」
知佳は、先ほどと同じように胸元を隠すように腕をクロスさせてしゃがんだ。
「おせーよ」
「だって」
「なんで、普段はこういうこと気が付くのに」
咲夜は、近くにあったひざ掛けを知佳に被せた。知佳は、一瞬びくとしたのだがそれがひざ掛けだと気が付いて肩を降ろした。
「外にいるから着替えたらいってく」
咲夜が言い終わろうとしたとき背中から抱きしめられた。抱きしめて来ているのは、知佳しかいない。
「どうしたんだ」
普段以上にやさしな声で話しかけた。咲夜は、お腹の前で置かれている手を上から触った。
「欲情しないの」
「しないが」
「1月も一緒に生活してるのに」
「家ならあったかも」
「え」
咲夜の回答に驚いたようだった。咲夜は、知佳の絡んでいた指を外して片方の手を自身の心臓のある場所に当てた。
「どうだ」
「速い」
咲夜の心臓はバクバクいっておりそのことが知佳に伝わったようだった。
「別に欲情はしないが、緊張はするぞ」
「しないと思った」
「俺を何だと思ってんだ」
「ロボット?」
「なぜ、そこで疑問形になるんだ」
「なら、人」
「当然、人ではあるんだが、それに高校生男児だ流石に欲情はしないがこの状態は緊張する」
「そうなんだ」
知佳は、ホットしたような反応をした。知佳がホットしたことに気が付いた咲夜は、知佳にも女の子らし面はあるんだのと思った。
ーーー
その後、学校でこのままなのは良くないと考え知佳に離れて欲しいと要望を出したのだが「ヤダ」と断られ5分ほどが経過した。流石にやばいと思い出した咲夜は再度要望を出すことにした。
「知佳さんや」
「やだ」
「ヤダじゃなくて、離れてくれ。流石に上だけとはいえ下着のままは」
「やだ」
「着替えてくれ、帰ったら要望聞くから」
「ホントに」
「ホントに」
「分かった」
知佳は、渋々咲夜から離れてくれた。知佳が離れてくれたので咲夜はドアを向いたまま外で待つと言ったのだがすぐに着るからそのままでいいと知佳が言うのでそのまま持つことになった。




