85話 「お前、すごいな」
話し合いは意外と夜遅くまでやったっことで次の日知佳は、なかなか起きてこず学校に遅刻しないギリギリの電車になってしまった。
「知佳、きのう何時まで起きてんだ」
「4時とか」
「それは、もう朝方なんだが」
「仕方ない、面白くなったんだもでもこれ」
そう言って知佳は、咲夜に小型のタブレット画面を見せて来た。そこには、昨日話し合った車に関して行うことがまとめてあった。
「これ作ってたのか」
「うん、これでわかりやすくなった。咲夜には必要ないかもだけど」
「いや、流石に会話の全ては覚えてない」
「でもある程度は、覚えてるでしょ」
「それは、そうなんだが」
「それに先にプロペラの注文を解決しないと」
「それ、めんどくさいんだが、キャンセルできないのか?」
「できてたらしてるし」
「でもなー、出来たとしても信用が下がる可能性があるからやりたくは何だよな」
「それは、そう」
「結局、作らないといけない量が増えてないことを願うことしかできなんだよ」
「注文はいくつ」
「あの時から若干増えて250機分だな」
あの時は、プロペラの注文を確認したときなのだがその時でも多いと感じていたのだがそこから50機分も増えているのだが咲夜からしてみればもう誤差の領域だった。
「返信は」
「来てたぞ」
「なんて」
「220機はアルミ合金、残りの30機がカーボンだった」
「アルミは直ぐ作る?」
「この話は前もしたんだが、作りたいんだが実験できてないからな、実際はどうしてんだろうな」
「それは、納品前に飛ばしてるかってこと?」
「そう、飛行機の製造メーカーが実機を飛ばしてるのは知ってるんだがな」
「確かに、調べる」
そう言って知佳は、英語と日本語で検索して探していた。咲夜は、そんな知佳を支えながら後、一駅だなと思い外を見た。
結局知佳でも直ぐには、どうなのかわからず先に最寄り駅に着いた。駅についても知佳は検索、調べ続けようとしたのだがさすがに危険もある上、調べながらになると歩く速度が落ちただでもギリギリな時間なのに完全に遅刻することになるので咲夜が良しとしなかった。知佳は、調べ続けようとしたのだが。
ーーー
当然の様に咲夜は授業中は、勉強することなくある水上機に関しての資料を読み込んでいた。この機体に関しては、実機は残って居るのだが細かい資料に関しては公開されていないことは既に知っていたので知佳に聞いては無かった。また、基本構造に関しては水上機とそこまで変わらないと考えていたのもあるのだが。記憶をしているうちに午前中の授業は終わり昼飯はどうしようかと考えていると普段は話しかけてこないクラスの女子が話しかけて来た。
「松本君、呼んでるよ」
「え」
話しかけてくれたクラスメイトが入り口の方を指さしてくれたのでそちらを見ると知佳が立っていた。咲夜と目が合った知佳はこっちに来いと言わんばかりに手招きをしていたのでクラスメイトに軽く礼を言って知佳の元に行った。
「どうしたんだ」
「お昼」
「食べようってことか」
「うん」
「ちょっと、待ってろ」
咲夜は、普段から現金派なので財布を取りに戻った。咲夜が現金派なのに対して知佳は、電子マネーやクレジット派で知佳からしてみれば咲夜の現金は荷物が多くなる要因と考えていた。咲夜もカードを持っていないわけでは無いのだが現金で購入できる店が幾ら減ったとは言え未だに現金でしか支払いができない店舗もあるので持っているのだが。
「またせた」
「いい」
「何を食べるんだ」
「パン」
「今から購買に行っても残ってないと思うんだが」
「コンビニ」
「校外に出ることになるんだが」
「そうだけど」
「違反なんだが」
「知らない」
「俺は、知ってるんだが」
咲夜は、朝会の時に暇だからという理由で校則を端から端まで読んだことがあるのでこの時間での校外に出ることを禁止されていることを覚えているので言ったのだが知佳はそんなこと関係ないと言った感じだった。
「マジで行くのか」
「うん」
「恐れ知らずか」
「怒られたときはその時」
「確実にメインで怒られるのは俺なんだが」
「ドンマイ」
そんな、感じで何も聞かない知佳と一緒に昇降口に向かった。
ーーー
学校自体は問題なく出ることができた。もちろん正門からではなく普段は、車で通勤してきている教員用の入り口だったのだが。
「こんなに簡単に出れるのか」
「普段からこんな感じ」
「普段からって初めてじゃないのか」
「そうだけど」
知佳は、何か問題でも。と言った感じではあるのだが咲夜からしてみれば問題しかなかった。そして咲夜の言う通り知佳は結構な高確率でコンビニ出かけていたこのことに関しては学校側も知ってはいたのだがそこは私立なだけあって高額な寄付をしている知佳を注意することができなかった。
「それで、何か用事か」
「何もない」
「なら何で、外に出した」
「購買に何も売ってないから」
「それは、時間が遅かったからでは」
「あの、混雑の中行けと、死ぬよ」
「確かにあの混雑の中は無理だな、でも死ぬな」
「死ぬ、絶対に死ぬ」
幾ら効率化の都市になっているとはいえ、こういった学校では未だに昔なら光景だった。なので、その人混みの中に知佳が紛れ込むともみくちゃにされて結局買えないという光景が簡単に想像できた。
「まあ、いいや」
「良いの」
「怒られることは了承してない」
「行けると思った」
「それに、一緒に出てるから知佳も同罪」
「なら、怒られない」
「その自信はどこから」
「コンビニで山田と会ったから」
「山田って、あの山田か」
「そう」
2人の言う山田は、顔が厳つく、身長もがたいも良い教師で普段からジャージ姿で校内を歩いているので恐れられているのだがこんな見た目で体育教師ではなく数学教師だった。そんな、見た目なので生徒からも恐れられていることから生徒指導の主任を任せられていた。そんな山田とコンビニで会ったと言える知佳に対して咲夜は驚きでしかなかった。因みに本人は、生徒指導をやりたくないのだが。
「怒られなかったのか」
「怒られてない」
「お前、すごいな」
「すごくない」
「そうか、まあいいや」
「良いの」
「覚悟決めただけ」
「決めなくていいのに」
そんなことを言う知佳に何言ってるんだという目線だけを飛ばしているうちに学校から道路を挟んで反対側にあるコンビニ到着した。




