84話 資金確保計画
咲夜はその後も何か今後使えそうな道具は無いかと確認したのだがほとんど必要な工具に関してはそろっていたのだが塗装ブースにだけインクが一つも無かった。
「知佳、インクはどうしたんだ」
「買ってない」
「それは、見たら分かるんだが」
「買うタイミングが無かった」
「それで、コンプレッサーはあるんだな」
「そう」
「使うことになった買えばいいか」
「使うの?」
「いや、使うことはそうそうないとは思うがいつか使うかと思ってな」
「なら、先に買えばいい」
「それでもいいが、使用期限があるんじゃないか」
「そうなの」
「たぶんな」
「そう」
咲夜は、再度確認した時にこの部屋に窓が無いこと気が付いた。パソコン部屋にもカーテンが掛かっているものの大きな窓ガラスがパソコンの裏にあることもウォークインクローゼットにも天井の方に小さいながらもガラスがあるにも関わらずこの部屋には窓がある面にも壁があった。
「なあ、この面に窓ないのか」
咲夜は、窓があるべき面を指しながら知佳に聞くと知佳は、その面の端にある液晶を操作しだした。知佳がしばらく操作するとこちらを見て来た。
「動く」
「動くのか」
「うん」
「どこにいたらいい」
「こっち来て」
「了解」
知佳の方に移動すると知佳は、先ほどまで触っていたパネルから自身のスマホに持ち換えて画面を操作すると咲夜が指していた面全体が手前に移動してきた。
「こんなことまでしてたのか」
「明かりはあった方が良い」
「それはそうなんだが、金掛かってるな」
「楽しくなった」
「調子に乗って電動にしたんだな」
「調子には乗ってない、楽しくなっただけ」
「そうか、流石に残りの面は動かないだよな」
「動かない、でも天板は、付けはずしはできる」
「それなら、模様替えはしやすいな」
「するの」
「今のとことその予定はないがな」
「そう」
咲夜としても、すぐに手狭に感じることは無いだろうと考えていた。それに、移動できる棚自体も長いので配置できる場所はほぼ決まっているので当分は動かすつもりもなければ何か大きな物を置くことになったときに現状のレイアウトの方が中央部にスペースがあるので当分は動かすつもりは無かった。
「お腹空いた」
「飯にするか」
「うん」
「何が良い」
「ハンバーグ」
「作り置きのがあるからそれを温めるか」
「うん」
2人は、この部屋の本来の扉から出て行った。
ーーー
咲夜は、知佳の注文通りに作り置きではあったのだがそれを準備して二人で食べた。普段であればこの後は、ヴィジオンにログインして何かしらの作業をするのだがさすがに二時間ほど前に長時間ログインしていたこともあり流石に直ぐにログインすることはしなかった。そして、今はリビングで二人そろってコーヒーを飲んでいた。
「資金は大丈夫なの」
珍しく知佳が話題を出してきた。
「資金は、ヴィジオンのことか」
「それしかない」
「正直、怪しいな」
「いくらあるの」
「8208万Gだな」
「十分ある」
「そうなんだが、一時期4億あったんだぞ。それに航空機の開発とかを考えると足りんぞ」
「確かに」
「資金確保が重要ではある」
現状咲夜たちは、月に最低でも格納庫と採石場の家賃の支払いだけでも450万Gは確定しておりそこに4件の光熱費が入って来るので月に最低でも500万Gは出て行くことになる状況だったそうなって来ると今の咲夜の資産では5か月が限界でそこに開発費も入って来るので現状に支出では完全に赤字な状況だった。
「どうやって稼ぐの」
「方法は、いくつかあるけどどれがいいかが悩みどころ」
「一番簡単なのは」
「警察車両を作って販売すること」
「それ、需要有るの」
「少し前まではあったけど現状はどうかは分からん」
「確かに、需要は高そうではある」
「2つ目が、プレイヤー向けの車を新しく開発する」
「開発する必要ある」
「あるな」
「買えないから」
「そう」
現状咲夜たちが扱っている車で最も安いのが咲夜が初期に開発した車で原価が900万Gの物だった。ただ、この車に関してはエンジンがV12だったりとコストを抑えれるポイントがいくつか残っているので落そうと思えば700万まで原価を落とすことはできるのだが、それで大半のプレイヤーの所持金を足しても買うことができない金額だった。そのことは、知佳も知ってはいるのだがそれでも新規に作るには時間が掛かりすぎるのには変わりなかった。
「そうなると、軽自動車みたいなのになるの」
「そうなるな」
「でも、帰るプレイヤーは一部なんじゃないそれに電気自動車もある」
「そうなんだよな」
電気自動車は、現状開発したプレイヤーが1台あたり1万をもらうことで自由に作製できるようになっており1人乗りか2人乗りかで金額は変化するのだが一人乗りなら40万もあれば購入できるようになっているので多くのプレイヤーが現状所有していた。
「3つ目はあるの」
「ありはするけどこれが一番、手間ではある」
「何」
「トレーラーを作る」
「それは、今作ってるのではなく」
「正確には、トラックとトレーラーヘッドだな」
「それ、2つ目以上に面倒」
「そうなんだが、プレイヤーにもNPCにも両方に売れる商品ではある」
「そうだけど、売れるかな」
「売れると思うんだが」
「理由は」
「インフラとして重要な装備一つだから」
「確かにそうだけど」
幾ら、ドローンによる配達が進化している社会でも鉄道や空路で輸送が不可能だったりそこまで需要が無い場合は、未だにトラックによる配達がメイトとなっており、咲夜たちの住んでいる町でもドローンによる配達が進んではいるのだが未だにトラックなどによる配達も未だに行われていた。
「逆に知佳はどんなものが良いと思う」
「初めの警察への販売は賛成」
「なら、警察はやろう」
「それで、わたしなら警察車両を改造した配達バンを作る」
「配達バンか、そうなると上に拡張する必要があるからほぼ新設計にならないか」
「そうじゃない、後方の座席を取り外して荷物を積むように改造する」
「なんとなく分かりはするんだが」
「まって」
知佳は、液晶に先ほど言った車を見せた。確かにそこには、6人乗りで販売されている車両ではあるのだが内装は、運転席と助手席の二席しかなく後部は一部が金網になって仕切られて後ろはフラットになっていた。
「こんな感じの」
「こんなのがあるのか」
「一応ある見たいでも、今はほとんど絶滅した」
「それ、効率が悪いから無くなったのでは」
「そうかもしれないけど、現状座席が二席で済んで残りは金属で良いからコストは抑えれる」
「確かにそうだな、警察車両の金額から考えると原価で800万ぐらいだな」
「高くない?」
「エンジンとかでどうしてもこれ以上安くはならないし下手したら顔を変更する必要が出ると思うぞ」
「警察とは同じにできない」
咲夜も知佳も幾ら現実世界では、市販車をベースにしているので同じ顔も走っているのだが、現状たりともヴィジオンの中では警察車両の顔だけは独立させておきたかった。
「なら、初期型の顔を少し変更するのは」
「例えば、ライトの形状とかか」
「そう」
「一番簡単のはそれか」
「うん、後は色を限定するとかか」
「逆にそれ以外の色は課金してもらうとかか」
「めんどくさくない」
「大量生産はできないな」
「それなら初めから色は固定しといた方が良い」
「そうするか」
「内装も3つぐらい用意して選んで貰う」
「量産が優先な仕様だな」
「やるならとことんやる」
「なら、牽引も付けれるようにするか」
「する」
その後も話し合った結果、ほとんど知佳の提案通りに進んでいき暗記に関しては咲夜の仕事の領域なのだが外装はほとんど変更する点がないのでそこまで覚える必要は無いのだが、内装に関しては作り直す必要があるのでそこは実車を作ってから考えることになった。




