82話 帰宅
そのままログアウトしていった知佳の身体を後部座席に押し込んだ後は、先ほどまでやっていた建物設計をやっても良かったのだが続きをやる気分でもなかった。と言っても何もしないのは、暇になる時間が二時間と長すぎるので何もしないのも選択肢に入らなかった。
「はー、何をしようかね」
何もすることないなか咲夜は、先ほどまで知佳がいた翼の上で持って来ていた瓶の水を飲んだ。ペットボトルの原料が不足しており素材屋でも鉄以上に1㎏あたりの価格は高くプレイヤー間での取引でも貴重なものとして扱われているのだがプラスチック自体を必要としているのはごく一部だったので問題は無かったのだがこの不足は、このゲームのにお金を出している会社も例外でなく大概の製品は瓶に入って販売されていた。そんな中でも、一部の商品に関してはプラスチック容器に入って販売されていた。当然内容物が他の容器と同じなのに値段は高いのだが。
「マジでやることがねえ、無いことも無いが」
今やっていることは、カーボン製のプロペラを量産するための下準備ではあるのだが実際にやっていることは一つの産業を立ち上げているのに近かったのだが今後の収益を考えると損はないので問題ないと咲夜と知佳は考えていたのがそれでも、現状での出資が大きいので他のプレイヤーからしてみればそれを現金化したほうが良いと考えるプレイヤーの方が多かった。
「機体の原型の方か新しい車のでもやるか」
咲夜は、翼の上から下りて先ほど建物設計をしていたトランクを開けてそこで作業を始めた。
ーーー
先ほど同じようにタイマーを設定していたので2時間たったことを確認した。咲夜は一旦していた作業を切り上げてある程度片付けた。
今回は、歩いて行くのではなく素材が乗っているトレーラーを設計のために切り離していたのでそのまま出発した。作製機までは、車を走らせようとエンジンを掛けたタイミングで知佳が動いた。
「起きて来たのか」
「うん」
知佳は周囲を確認して自分が車の中にいることを認識した。
「寝てても移動できるんだ」
「そうだな、車動かすぞ」
「待って」
そう言うと知佳は車を一旦降りて、助手席に乗り換えた。
「移動しにくい」
「まあ仕方ない」
この車には、運転席と助手席に大きめのセンターコンソールがありこれが2列目の前方まで続いているので知佳が一旦降りる必要があった。それでもこのコンソールは、非常に大きく咲夜が運転するときは大概ここに腕を乗せていた上に、簡易的になもので氷が必要にはなるのだが飲み物を冷やすことも出来るので重宝してはいた。
「それに、冷たい水が飲めるだろ」
「それはそう」
知佳がちゃんと座ったことを確認すると車を動かした。製作機まではそこまで離れていないので歩いても良いのだがトレーラーなので咲夜は車を選択した。すぐに製作機に着くナンバープレートをそのままつけても良かったのだがと一旦車両を取り出すことにした。
「そのまま、付けないの?」
「付け友良いが完成度見たくないか」
「それは、見たい」
知佳は、普段から何にも興味を見せないように見えるのだが新しいものに関しては人一倍興味を持つことを知っているので取り出すことにした。と言っても他から見たらただの骨組みであることには変わりないのだが出来に関しては確認したかったので出すことにした。
「なら、開けて来る、権限あるでしょ」
「あるぞ」
「なら、動かせるようにしといて」
「了解」
知佳は、車から下り製作の扉を開けるためにパネルに向かった。咲夜は、トレーラーと連結できるようにするために車を回して後部の方が製作機に向くようにした。建物内は、広かったのでバックすることなく所定の位置に停車して咲夜も車から下りた。咲夜が下りるとほぼ同タイミングで作製機の扉が開いた。
「意外と手間取ったな」
「ここの操作、本拠点と違う」
「そんなことないだろ」
「そんなことある」
「俺が行ってるのに」
「あーそうなると」
「だろ」
「うん」
咲夜の一言で知佳は、自分が間違っていることに気が付いた。実際に知佳の方が間違っており、知佳自体作製機を使ったのは、片手で数えれるぐらいしか使っていないので咲夜と同じ能力は持っていないので間違えるの当然ではあった。
「まあ、いいや。確認しよう」
「うん」
作製機の中は完成してから時間が立っていたこともありそこまで曇ってはいなかったので、扉を開けてしばらくするとその煙も無くなりトレーラーが入り口からもはっきり見えるようになった。サイズを指定しているので完成するサイズに関しては分かっていたのだがそれでも大きく感じるほど大きくはあった。
「大きくない」
「そうだな」
「それにそこまで荷台は高い位置に無いんだ」
「そう、高すぎると重心が上がるからな」
「そこまで考えてたんだ」
「一応な」
「まあ、このぐらいの方が良いんじゃない」
「そうだな」
荷台の高さに関しては咲夜に任されていた。荷台が高い位置には無いと言っても腰の高さぐらいなので110㎝ほどに位置にあった。咲夜としてはもう少し低い位置にしようかとも考えていいたのだがタンクを乗せた際に液体を外に出すときの効率や走破性も考えると限界の高さではあった。
「ま、良いんじゃない」
「そうだな、他に関しても問題ないだろう」
「必要な装備もついてるし」
「ナンバープレート付けるか」
「うん」
出る必要があるので二人はそろって出ていった。今回は、咲夜がパネルを操作してナンバープレートの発行を申請した。すると問題なく発行の手続きに進んだ、時間に関しては従来どうりの時間ではあったのだが、値段に関しては今までのトレーラーと料金が異なり2万ほどであった。
「値段どうだった」
「いつもとは違った」
「上がったの?」
「上がった」
「そう、大きさか」
「そうだな」
「すぐに終わるんでしょ」
「5分だな」
「なら、このまま待つ」
「うん」
咲夜と知佳はそのまま、5分ほど会話がないまま待った。二人は付き合いが長い上にそれぞれの個性についても理解しているので苦痛ではなかった。
ーーー
5分経つと完了したという通知が来ただけだった。そして今回は、製作機の中は曇っておらずこのことは普段通りであった。
「問題なくついてるね」
「そうだな、連結させるぞ」
「うん」
咲夜は、先ほど止めた車に戻りバックさせて連結できるようにした。咲夜は、降りて連結しようしたのだが、知佳が代わりに連結してくれていた。
「よく分かったな」
「何回も見てるし、勉強した」
「そうか、そまま任しても良いか」
「一応確認して」
「了解」
終わりまで待ったのだが操作に迷いがなく咲夜の連結の時間とそこまで変わることは無かった。それに咲夜が確認した時も問題なくそのまま出発できた。
「このまま、帰る?」
「扉閉めてからな」
「うん」
機体が入っている倉庫の大扉が開いたままなので閉めてから新しく作ったトレーラーを牽引して本拠点に帰った。




