80話 倉庫と公開
咲夜は3時間ちょうどで仮眠を終えた。幾ら咲夜たち専用にシートのクッション性を上げてはいるのだがそれでも違和感を感じた。
「知佳は寝れるって言ったけど熟睡はできないな」
咲夜は、起き上がり車を降りた。油田に渡す車が出来るまでは後2時間ほどあるのだが、採石場でやることあまりなくやることと言ったら作製途中の飛行機の機体を眺めるかその機体の計器の設計をするしかなかったのだが前者に関してはただの時間つぶしにかならず後者に関しては、今後を考えるとして進めておいて損は無い物なので必然と答えは決まっていた。
「やることしたら、計器の設計ぐらいか」
「そうかな」
「またか」
この前と同様いきなり出て来た知佳ではあったのだが咲夜は、一度あることはもう一度あると思っているので今回はそこまで驚くことは無かった。
「またかって、助手席でログアウトしたんだから当然でしょ」
「正面から出て来るとかあるだろ」
「そう言う話もある」
「まあ、いいや。それで計器の設計以外で何があるんだ」
「ここに建てる他の倉庫の設計」
「それ、出来る能力あると思ってるのか」
「できるでしょ」
「できないと思うが」
「一時期、他のゲームのために勉強してるのは知ってる」
知佳の言う通り他のゲームで建築関連の勉強をしていたことをどうも知佳は知っていたようだった。
「何で知ってんだ」
「図書館」
「そこでばれたか」
「うん、知りたいことがあると図書館に居座る傾向があるから」
「なんだその傾向」
「気が付いてないの」
「気が付いていないからこの反応なんだが」
「確かに」
知佳の言う通り咲夜は、何か知りたいことがあると図書館に居座る傾向があった。咲夜たちの通う学校は、一応進学校となっているので学生の将来参考になる様に各分野の参考書が所蔵されていた。その中には当然、建築の本もあり咲夜はその参考書で暗記をしていた。
「それで、どんな規模の設計をさせたいんだい」
「倉庫」
「それは、分かるんだが大きさの問題がある」
「大きさは、小型の飛行機が入るくらいじゃない」
「それは、幅が大きすぎないか」
「なら、今の製作中の機体が横並びで二機入るぐらいあれば良いと思う」
「なるほど、そうなると必要な機械も多いと思うが」
「そうは、なるとは思ってはいる」
「まあ、自分たちで建てる必要もないしな」
「それはそう」
大きさも問題で、現状作成途中の機体の横幅も一機にしては大きい部類に入ると考えている昨夜からしてみれば2機も横並びとなるとその倉庫の骨組みは金属になりその分、必要となる機械も大型になるのは予測ができていた。それに現状、倉庫が3つもある中で追加で作る必要は感じなかったのでそこまで急ぐ必要はないと考えていた。
「まあ、いくつ倉庫があっても問題ないし」
「それは、そう。その分料金も掛かるけど」
「必要経費」
「そうだが、その資金はどこから捻出するんだ」
「車しかなくない」
「そうなると、当初の計画の通り車の工場になるのか」
「うん」
「運ぶのめんどくさくないか」
「いずれは、現実世界と同様海辺に建てることにはなる」
「大量生産するならそれはそうなるな」
咲夜と知佳は、大量生産に関しては、作製機ではなく現実世界と同様ロボットでやっていくのは同じ考えだった。また、大量生産を今後していくのであれば、採石場がある山の上の方ではなく海岸線に立てた方が輸出はしやすい上に資材の搬入もしやすいので当然ではあった。
「後、エンジンに関してはある程度開放しても良いとは考えてる」
「制限は掛けるんでしょ」
「それは、当然会社単位で買うことしかできないようにはするつもりではある」
「流石にね、そうなると契約で作製の権限を渡すんでしょ」
「そうなるとは、思う」
「それ、できるのかな」
「どうなんだろうな、そこは要件検証だな」
「そうね」
「それに、独占し続けるのも良くないしな」
「独占禁止法出来そう」
「既に、ありそうだけどな」
「それはそう」
独占禁止法に関して既に存在していたのだが、未だに開発する余地がある上に電気自動車も存在しているので独占はしていないという考えが、ヴィジオンのAIだった。また、咲夜からしてみればいつまでも車用のエンジンを自分達だけで生産し続けるのも不可能と考えていた上に他に発展が無いのも面白くないとなと考えていた。
「それ以上に問題なのが整備士が足りないことだな」
「そうだけど、いずれは増えるんじゃない」
「現状足りないのも、これから増やしても良いのかの悩みどころの一つなんだが」
「製作機では直るの」
「直んないらしい」
「そうなんだ」
直らないというのは、警察車両で判明していた。咲夜たちの所有する車両は、傷が着くことは無いが警察車両は、使用用途上で損傷するのは当然で納品した車両で走行が不可能な状態にまでになった車両が出来てしまったようで自分たちで修理しようとしたとき修理できないと判断を下されたようで新規に1台追加で購入したいという連絡をリリアンから受けていた。そこに関しては、咲夜も直せないに関して確証は得てはいないのだが、警察が修理できなかったということは他のプレイヤーも修理できないと考えるべきなので修理できないという考えになっていた。
「それなら、各パーツが交換しやすい仕様にしないと」
「それは、そうなんだがレーシングカーみたいにならないか」
「交換のしやすさだけで考えるとそうなる」
「それで販売するか」
「何かの規定に引っ掛かりそう」
「それは、ありそうだが交換のしやすさを考えるとな」
「所有者が交換しやすい必要はないんじゃない」
「なら、群青のままでのいいような気がする」
「そうかな」
「車が好きな奴が外し方を知らないはずがないしな」
「現実世界と近い世界だから言える話なのかな」
「それは、そうだな」
「結局は、整備士が出てくるの待ちか」
「そうなるな」
外装の交換だけを考えればレーシングカーと同じように金具で止めた方が交換はしやすいのだが、強度に不安が出てしまうのでそこを心配はしていた。それに現状、警察に下ろしている車両に関しては現実世界と同様にしているので外装だけは警察の方でも交換はしやすいようにしていた。逆に咲夜たちの車は頑丈さを優先しているので製作機の力を使って一つのパーツとして作っているので整備性に関しては最悪な使用になっていた。
「まあ、車に関しては今後考えていくこと多いけどエンジンの開放は決定事項だな」
「そうね。この会社に支援してる会社を考えると車は介入してきそう」
「ほぼ確定だな」
「それに、レースは見たい」
「それは、知佳の個人的な趣味だろ」
「うん」
知佳の数少ない趣味の一つがレース観戦なので薄々知佳がヴィジオンの中でレース活動をするんではないかと考えてはいたので予想の通りではあった。
「話は、戻るが結局倉庫を設計すればいいんだな」
「ほぼ工場だけどね」
「それは、そうなんだが何も入ってないんだから倉庫で良いんじゃないか」
「どっちで良い」
「そうだが、まあ横幅が2機分で長さがどれくらいあれば良いんだ」
「無限に連結できるようにして」
「了解」
「私は、続きしてくる」
「起こしに来たのか」
「うん、じゃあね」
「あー」
知佳は、咲夜を起こしに来ただけだったようだったのでが、咲夜に宿題を残してログアウトしていった。




