66話 ナイスタイミング
本拠点に戻って来るとリリアンが待っていた。
「どうしました」
「いえ、車を取りに」
咲夜は、リリアンと約束した覚えはないのだがそう悩んでいると知佳は呆れたような反応を示した。知佳は、リリアンとのいざこざが無かったこのように知佳がリリアンを3階に案内していた。
「初めてちゃんと見ましたが、大きいですね」
「そうね」
「ここ幾らなんですか?」
「8000万Gぐらいだったはず」
「そんなに、賃貸ですか?」
「咲夜が買った」
「まあ、そうですよね」
リリアンは、咲夜にいくら払ったかを知っているのでこの規模の建物を買うことが出来ることは分かっていたのでそこまで驚きはしなかったのだが、それでも建物内には、2台止まっておりその上咲夜が先ほどまで乗っていた車の計3台を所有しているのだから製作に掛かった金額が分からなかった。
「車を取りに来たって」
「咲夜さんに連絡していたんですが」
そう言って、自身の電子端末を知佳に見せた。そこには確かに咲夜に「車の受け取りに金曜日の日中に行っても良いですか」と書かれておりそこには咲夜の了承がも書かれていた。咲夜にしては珍しいミスでため息を付いた。咲夜は、車をちゃんと止めていなかったので1階ので駐車させていた。
「ホントだ」
「ですよね、良かった」
「どれだけ待ったの?」
「2時間ぐらいです」
「連絡すればよかったのでは」
「忙しいのかと思って」
「まあ、忙しくはあったがな」
「咲夜さん「ねえ」」
リリアンが続きを話そうとしたのだが、横から知佳が割り込んできた。咲夜は、知佳の声を聴いて、あヤバィと直感した。知佳が、怒ったような声を出すときは、何か約束を破ったときか忘れた時だったそして今回は後者の方だった。
「えっと、知佳さん」
「わたしとの間で起きたならいいけどリリアンさんとは違うよね」
「そうだね」
そして、知佳の小言が始まった。こうなると、知佳の怒りを収めるのは骨が折れることなのだが今回は止めてくれる人がいた。
「知佳さん今回は、良いですから」
「でも」
「忙しい中に連絡した私が悪いですから」
「それでも外で2時間も待ったんだから」
「それだと、わたしに追加で今、無駄な時間を掛けているのは知佳さんですよ」
リリアンの一言は正確だった。確かに今の今までは咲夜がリリアンに無駄な時間を掛けさせていたが、今は知佳が掛けていた。そして、そのことを理解できないわけではないので咲夜を起こるのを止めた。
「今回は、こう言ってるからやめる」
「ありがと」
「わたしじゃない」
「リリアンさんありがとね、それで車だっけ」
「はい」
「ごめんなさい、まだ準備できてないんだけど」
「そうなんですか」
「前乗ってた車渡しても良いんだけど」
「あれ、車の初号機でしょ」
「そうだな」
「そんなの貸してもらえません」
「だよね」
咲夜が今まで警察車両を運んでいた車両はこの車両で既に相当な走行距離になっており市場価格で考えたら値下がりしそうな距離を走行していた。それでもこの車両に関しては、この世界で初めてプレイヤーが作製した車両なのでその分価値がある物だった。そのことを理解したリリアンは受取りたくないが正直な感想だった。
「今から新しい車準備しても良いが時間が掛かるしな」
「そうね、3時間ぐらい」
「エンジンにこだわらなかったら3時間だな」
「他のエンジンでも良いんじゃない」
「そうれでも良いんだがミッションが合わないから結局、エンジン、ミッションからだな」
「そう、警察のエンジンの予備は?」
「あるからそれを使えば3時間だな」
「それでいいんじゃない」
「あのー、そこまでじゃないので急がなくても良いですよ」
「そうだとは思うんだがな」
これといった答えが見つからず、2人が悩んでいるとリリアンがあたふたしだしたのだが知佳が何か思いついたようだった。
「なら、私ので良いんじゃない」
「知佳さんの車ですか?」
「そう、貴重な車じゃないし」
「咲夜さんもそれでいいなら良いんですが」
「俺は、良いけど知佳は良いのか」
「どうせすぐに準備してリリアンに渡すんでしょ」
「まあ、そうはするが」
「なら、問題ない」
「今から渡すか」
「そうね、善は急げね」
「リリアンさん付いて来てください」
3人はエレベーターに乗って1階の車を止めている場所に降りた。
ーーー
1階のスペースには、3台横並びで駐車されていた。中央には、咲夜のアメ車、左側に初号機、反対側に知佳の車が止まっていたのだが、どの車も一応、SUVに分類されており車高が高い上に黒塗りでライトにスモークが掛かっていたいたので威圧感があった。その中でもアメ車の横幅が大きく存在感もあるため威圧が強くなっていた。
「これは、なって言ったらいいのか」
「威圧あるですか?」
「ええ、そうですね、圧倒されます」
「なんと言ったらいいのか、分からないですが。ただ慣れてくださいとしか言いようがありません」
「そうですね」
「車を前に出すのでちょっと待っていてください」
「わかりました」
咲夜は、若干駆け足で車を動かしエレベーターの前まで動かした。鍵に関してこの建物内では今は掛けておく必要がないので掛かってはいなかった。車を持ってきた咲夜は、リリアン鍵について教える必要があった。
「車のカギを渡しますね」
「それは、上でもよかったのでは」
「ちょっと特殊なカギが付いてまして、こんな感じの」
そう言って、咲夜が目の前で電子端末をいじって鍵を閉めた。その際現実世界と同じようにハザードが焚かれ鍵が掛かる音がするとリリアンが驚いた反応をした。それも当然でこのことを知っているのは、咲夜たち4人しかおらずリリアンは初めて見たのだか当然だった。
「そりゃ、驚きますよね」
「ええ、こんものがあるんですね」
「少し前から実験的にうちの車には全部ついてますね」
「そうなんですか、因みに今後警察に販売とかは」
「あるとは思いますよ、そのための実験なので」
「そうですか、これは結構いい金額になりますか」
「ええ、それなりにしますね」
「そうですか」
「でも、今後はこれが警察車両の標準装備になると思いますよこれが要因で」
すると今度は、近くにいた知佳が、先ほど咲夜が閉めた鍵を開けた。それを見たリリアンはさらに驚いてしまった。
「ええ、これは確かに高くても標準になりますね」
「まあ、このことはまだ秘密で・・・・と言っても通勤で使うので無理ですよね」
「そうですね。鍵を掛けなければ、ばれないとは思いますけど」
「そこまで気にしなくていいと思います。特許でもすでに公開はされてるので、作れはしないですが」
「そうなんですね、なら鍵を掛けても問題ないですね」
「どっち道、車でばれる」
知佳の言う通りでこの形の車は2台しか存在しておらずその内の1台は最近まで警察署を出入りしていたので誰が所有しているのか知っているので、その車がどこから来ているのかすぐにわかってしまうようになっていた。
「顔を変える?」
「変えても無駄でしょ、気が付く人は気が付く」
「それも、当然か。リリアンさん、電子端末出してください」
「はい」
リリアンは、すぐに電子端末を出すと咲夜は、リリアンに知佳の車両の鍵だけを渡した。
「そうですか」
「これですか?」
リリアンは咲夜に画面を見せて来た。そこには、知佳が鍵開け専用に短時間で作ったアプリが自動的にダウンロードされており、そのアプリを開くと知佳の車両のイラストとナンバーが登録されていた。このアプリは、知佳が専用に開発したのでそこまで作るのに時間が掛かっておれずバグの対策などもしていないので問題が発生すると逐次、知佳が対応して問題を解決していた。そのことを伝えると納得したようだった。
「これも理由なんですね」
「ええ、どうしてもバグが多いとめんどくさいので」
「確かにそうですね」
「それに、充電が無くなると終わりますからね」
「それは、大きな問題ですね」
「はい」
当然、電子端末で開け閉めをしているので充電が無くなると開けれなくなるという問題が発生するのでそれも問題の一つではあった。
「これで、開けれると思うんですがどうですか?」
「試してみますね」
「はい」
リリアンが先ほどまでの咲夜の動きを見よう見まねでやると問題なく鍵が開いた。すぐに占めるのも確認した。
「問題ないですね」
「はい」
「そうだ、社宅の鍵も渡したいので一旦家に行きますか」
「はい」
「家具とかは持っていますか?」
「いえ、家自体にもほとんど帰っていなかったので何もないですね」
「そうですか、インテリアに関しては自分は弱いんですが」
「詳しい人が居るんですね」
「ええ、ここはその人がやってるんで」
「知佳、今日ログインしてくると思う?」
「してくるとは思うけどいつかは分からない」
「そうだよー」
「こんにちはー」
「ナイス、タイミング」
咲夜が、瑠璃はいつ起きて来るかなと思ったら丁度良く瑠璃が起きて来た。




