63話 暴走と作製開始
帰って来ると二人は早々にログインした。知佳は、現実世界でもやることはあるはずなのだがそれでもやりたいことがあるとだけ言って車で出かけて行った。咲夜は、覚えたプロペラを書き写す作業を始めた。作業と言っても全長1.8mあるプロペラでも細かく割っているためほとんど変化していないように感じるのだがそれでも変化しているのは数枚前を見れば確認できた。
作業が10分の1まで進み休憩を取ろうかと言うタイミングで知佳から電話が掛かってきた。
「どうしたんだ」
「迎えに来て」
「迎えって車で出かけたんだろ」
「そうだけど」
「それでなんで迎えが必要なんだ」
「買い過ぎた」
「何を買ったんだ」
「金属」
「何用の」
「小型機」
「どれくらい買ったんだ」
「アルミだけで3.7t」
「マジか、合計は」
「4tぐらい」
その重量を聞いて驚きはしなかったのだがそれでもいつも計画的にやる知佳がこういった衝動買いの様に金属を爆買いしてくるとは思っていなかった。
「幾らだったんだ」
「1500万G」
「結構な金額だな」
「でも工場向けの素材屋で買ったから安かった」
「さいですか」
「その場で渡されると思って無くて」
「迎えに行きたいが、トレーラー今ないぞ」
「1台も?」
「屋根付きはあるが」
「それは、乗らない」
「だろ」
トレーラー複数持っていたのだが、メインで使っていた物は警察に売り渡したし、屋根の旧型は格納庫にあり新しいのは、ありはするのだが4tもの重量が乗ることは考えていなかったのでそこまでの負荷にはたれなかった。
「新しく作れないの」
「作れるが、1時間は掛かるぞ」
「すぐに作って」
「分かった」
咲夜の休憩は知佳のこの一言でなくなった。そもそも、屋根の無いトレーラーは今まで所有したことは無いのだが作製の過程で高い壁や屋根を無くしたバージョンは設計していたので問題は無かった。その為、製作機に入れるだけだった。素材に関しては、幸いあったので直ぐに製作機を動かした。
ーーー
あれから咲夜の想定通りの1時間で完成したのだが、知佳に場所を聞くと10000番に居るようでその時点で時間がさらに掛かることが分かった。そして、知佳の場所に着いた頃には膨らんだ知佳がいた。
「遅い」
「無茶言うなよ」
「それでも、作っておくでしょ」
「作りはするがこんなに早く必要になるなんて思っていなかった」
「そう、素材はあそこで受け取れる」
「一緒に来い」
「行く」
知佳は、咲夜が乗ってきたアメ車に乗り込み受け取り場所まで行った。そこに行くとNPCが待っており時間が掛かることを知佳が伝えてくれていたようで着くとすぐにフォークリフトで詰め込みが始まった。因みにたとえNPCとはいえ個々で個性や性格などあらゆる機能が付いているので遅れれば当然機嫌が悪くなるようになっていた。
知佳が、買った金属は想像以上に多くアルミだけでもトレーラーが壊れるんじゃないかと思ったのだが他の金属がさほど多くなかったので何とかなった。
「どこに持ってくんだ」
「本拠地」
「なら、後で」
「うん」
受け取りも済、機嫌が直った知佳は自分の車に乗り込んだ。この前と同じように帰ったのだが今回は咲夜の方が重量物を引っ張っていたので知佳の方が咲夜の方にスピードを合わせた。
ーーー
本拠地にいつもと同じように建物の中には車もすべて入れたのだが購入したそざいをどうするかが問題だった。
「これ、このままにしておくのか」
「流石にこのままにはしておかない」
「超々ジュラルミンに変えるのか」
「変えても良いけどここでやる」
「それか先に採石場で機体にしても良いと思う」
「それやっても良いがそれだと素材が足りないものが出て来るぞ」
「何が足りない」
「チタンとか一部足りないものがある上、タイヤがない」
「タイヤ?」
「持っていないからな」
「どこかで買える?」
「一回、いつもの素材屋では見た」
「なら行くついでに買おう」
「行き成りだな」
「善は急げ」
「分かった。ただ、ジュラルミンにする分は出せよ」
「分かった」
戻って来て早々採石場に行くことになった。知佳は、咲夜の車に乗り変えて移動することになった。
「因みに聞くが幾ら持ってんだ」
「1億9823万G」
「意外に持ってたな」
「パーツが売れまくった」
「そうか、この世界でもパソコンを作ろうとするプレイヤーが居るんだな」
「それもあるけどNPCが大半を占めてると思う」
「確かにそうだよな」
知佳の言う通り咲夜たちの売っている商品の大半はNPCが購入していた当然中にはプレイヤーの方が購入したほうが多い商品もあるのだが。
「もしかしたらだが、知佳にも出してもらうかもしれん」
「先に1億送っとく」
「良いのか」
「あっても使わない」
「そうか」
確かに知佳は、現金化するつもりもなくただただ趣味でやっているだけだったので咲夜に渡すことに関しては何も抵抗は無かった。それ以上渡すことで今の計画が楽になるのであれば渡す考えだった。
ーーー
採石場に到着してすぐに二人は製作機に素材を放り込んでいった。初めは、トレーラーごと超々ジュラルミンに加工しても良かったのだが、トレーラーごとジュラルミンにされても困るので時間を掛けて下ろした。
「下ろす道具作っておけばよかった」
「クレーンが付いてると思った」
確かに今まで咲夜たちが借りた建物はクレーン本体がないこともありはしたがレールはついていたのでそこに関しては考えていなかった。
「滑車に関してはいつでも作ることが出来るから今度、小型クレーン作っとく」
「分かった」
クレーンの作製は、咲夜が後日直ぐに作ったのだが重量が重くなりすぎてクレーンを移動させるのも重労働なしろものが完成したのだがこれもその後解決はした。
そして、超々ジュラルミンの作製に入った。この超々ジュラルの作製に関する特許も咲夜が保有しているので作製に関しては問題なかった。作製開始に関しても咲夜が行った。これは、咲夜が持っているということもあるのだがジュラルミンに関しては咲夜は使用料を払うことで誰でも作ることが可能なようにして
おり知佳も作製は可能なのだが使用料対策で咲夜が開始させた。作製可能にしているのだが未だに気が付いているプレイヤーがいないようで咲夜には入って来ていなかった。
「どれくらいの時間が掛かる」
「30分」
「意外に早い」
「確かに溶かしているとしても早いな」
「うん」
そして、超々ジュラルミンの作製は問題なく完了した。そして、そのまま機体の作製に入ったのだが機体が出来た時に動かすための牽引バーを準備していなかったのでそれを先に作成してから機体の作製に取り掛かった。作製機に咲夜が今まで書いた胴体、翼の設計図を投入していったのだが読み取りだけで1時間も掛かってしまい、現実世界ではいい加減寝た方が良い時間になっていた。
「これ今日中には終わらんな」
「そう」
「明日学校がないから良いが」
咲夜たちの学校はテスト2週間前から週4回登校となり金曜は登校しなくも大丈夫になる、その代わり若干夏休みが短くなるのだがそれは誤差だった。そして、この二人に関してはテスト週間であろうがなかろうがゲーム三昧なので逆に学校に行かなくて助かっていた。
「幾ら掛かるの」
ようやく読み取りが完了し知佳が聞いてきた。そして、その時に金額も分かるので知佳が聞いてきた。
「それは、時間か?金額か?」
「両方」
「時間が8時間」
「意外と早いね」
「実機に対しては速いがそれでも8時間は長い」
「それで金額は」
「3億1000万G」
その金額は咲夜の現状の手持ちの大半が無くなる金額だった。当然そこには、知佳が送ってくれた1億Gも入っているので知佳が送ってくれなかったな作製すら不可能だった。
「何も入っていない状態でこんなに行くのね」
「ああ、実機もどうだったのかは知らないがそれでも今作るプレイヤーはいないな」
「そう」
「ほぼ、博打だな」
それでも作製するしかないので咲夜は作製開始を押したことでドンガラの状態の機体の作製が始まった。




