60話 お世話になります
学校も終わり昨日と同じように夕食を終えた咲夜はヴィジオンにログインしていた。今日は、警察車両の残りの1台とリリアンからどうするかを聞く予定があったので全体的に普段やっている家事を前倒しでやったので昨夜と同じようになった。
「知佳も一緒に来るんでしょ」
「当然」
「なら行くか」
「うん」
車両に関してはすでにトレーラーに詰め込んでいるので出発するだけだった。
ーーー
警察署までの移動は終始無言になるかと思っていた咲夜だったのだが知佳が話しかけて来た。
「ねえ」
「どうした」
「瑠璃に、家のデザインお願いしたんでしょ」
「した。それがどうしたんだ」
「起きたら、瑠璃にどんな感じが良いか詰められた」
「そうか、どんな感じになりそうだった?」
「石作りの建物になりそう」
「それ、建築基準法的に大丈夫なのか」
建築物に関しては全くと言っていいほど知識は何のだが、レンガや石だけで建物を作ることは出来ないということは知っているのでその点は気になっていた。
「ダメだったらコンクリートで作るんじゃないの」
「まあ、それしかないよな」
「どのくらいの大きさになるの」
「本拠地よりも若干大きいぐらいらしい」
「20m級の作製機は建物中に入れるの?」
「どうなんだろう、入れては欲しいけどそうなると今の建物は解体することになるな」
「そもそも買わないと解体も建築もできそうにはないけどね」
「そうだな」
知佳の発言は半分正解で半分不正解だった。確かに今建っている建物に関しては解体はしてはいけないが新しく別の建物を建てることに関しては問題は無かった。
そんなことを話していると警察署に到着した。約束した時間よりも30分ほど速かったのだが既にリリアンはログインしており咲夜が何時もの様に地下駐車場に入るとリリアンが直ぐに出て来た。
「咲夜さん、知佳さんこんばんは」
「こんばんは」
「速かったですね」
「ええ、車を下ろしたり最終確認をするので」
「そうですか」
咲夜は毎回納品するときには、トレーラーの中にある時もある程度の確認をしていた。咲夜は、何時の様に一通り確認した後車の扉を閉めた。
「リリアンさん、大丈夫です」
「では、確認しますね」
リリアンも先ほどまでの咲夜と同じように車両を確認し始めたのだが先ほどまでの咲夜とは異なり、オプションで付けたパーツまで確認していた。咲夜がこのことを確認しなかったのは、作製の時パーツを追加で入れているので問題が発生しないことを分かっていたからだった。
「大丈夫です」
「わかりました。ではこちらにサインを」
「わかりました」
リリアンは、咲夜が差し出した紙にサインした。この紙は契約の時に作った紙で納品が完了したことを示す書類だった。そこに、リリアンが自身の名前と警察の印を押すことで今回の契約が完了したことを示す書類だった。
「では、今振り込みますね」
「はい」
リリアンが警察から配布されている電子端末を操作した。すると、咲夜の電子端末が鳴り確認すると、残りの代金と追加のオプション、トレーラーの代金の3億4400万Gが支払われたことで咲夜の所持金が4億1578万Gと今まで行ったことがない金額になった。
「はい、支払い確認できました。お買い上げありがとうございます」
「いえ、こちらこそ納品ありがとうございます」
「引き続き契約をしたいのですが、返答を聞かせて貰ってもいいですか?」
「はい、良いのですが場所を変えませんか」
「私は良いですが、知佳も」
咲夜は、知佳にも確認を取ると知佳は頷いて車に戻って行った。
「良いですが、場所はどうしますか?」
「近くにいい場所があるのでそこでどうですか?」
「良いですよ。どうやって行きますか?」
「良ければ乗せて貰えませんか」
「大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。急いで退勤してきます」
「わかりました」
咲夜は、車に戻り出発する準備をしていた。と言ってすることは余りないのだが今回は、いつもの様に初めに作った車両では無くアメ車で来ていたので駐車場での移動が若干難しかったが敷地が大きいことで地下駐車場も大きいので反転するのもさほど問題なかった。
ーーー
リリアンは予想よりも早く出て来た。
「すいませんお待たせしました」
「大丈夫です。後ろに乗って下さい」
「はい。失礼します」
リリアンは、車の大きさに驚くことは無く、そのまま乗り込んできたのだが内装には驚いたようだった。それも当然で咲夜が初めに乗った時よりの豪華になっていた。それは、瑠璃がシートを本革に変えたり刺繍をしたりといろいろ手が込んでいた。
「これは、すごいですね」
「ええ、仲間が手を入れているので」
「そうなんですね。それにしてもセンスが良いですね」
確かに多くの刺繍が入ってはいるのだがどの刺繡も派手なものではなかったのでリリアンの言い方は合っていた。因みに瑠璃はこれ以上この車に手を入れるつもりはなく既に限界まで内装は加工した考えており次は外装を多少弄ろうかと考えているのだがそれには咲夜に相談しないといけないのでまだ手を付けていなかった。
「これほどの内装は、警察車両にはできませんね」
「そうでしょうね。したら追加で最低500万Gは掛かる」
「そうですね」
代わりに知佳が答えたのだがいつも以上にぶっきらぼうに答えており喧嘩を売っているようにも感じてれたのだが、リリアンはこれが知佳の平常運転なんだと考えていた。
「まあ、この内装を警察がしても無駄ですしね」
「でも、全席には良いシートを入れてましたよね」
「流石に長時間座ることになるのでその点は気を使いました」
そんなに距離も離れていないと言っていた通り車で3分ほどの距離にリリアンが指定した場所に着いた。そこは、小さいながらも落ち着いた感じの喫茶店でそこに長年あったかのような感じだった。咲夜は、店の駐車場があったのでそこに駐車した。
「ここは、私の知り合いが経営している喫茶店です。今日は貸し切りにしてもらいました」
リリアンは、自身の電子端末をドアに当てると鍵が開いた音がした。これは、知佳が開発したものと同じなのだがゲーム側の仕組みは完全にわからなかった。それでも同じようなシステムではあるのは変わりなかったのだが、ゲーム側の方は遠距離でも鍵の受け渡しが可能なのだが知佳のは直接、鍵の受け渡しを電子端末でしなければならなかった。このシステムに関してはどの建物でも使われてはいた。
ーーー
店の中に入った3人はリリアンの誘導で個室に案内された。店内は外観と同じように落ち付いた雰囲気で主に木材が使われており本拠点とは違い温かみのある内装になっていた。咲夜と知佳は、案内されるがまま席に着いた。リリアンは、個室から一旦出て行きどこかからペットボトルを3本取ってきた。
「すいません、勝手がわからないので」
「構いません」
リリアンは、二人に渡すと咲夜たちの反対側の席に着いた。
「では、行き成りですが本題に入っても良いですか」
「はい」
「で、どうされますか?」
「すいません、先に一つ聞いても良いですか?」
「内容に寄りますが」
「では、私が警察に残った場合は車両の販売はどうなりますか?」
咲夜は、今回の進退に関して関係はあるのだがそこの出深くは関わっていない上に今回の進退に関しては知佳が迫っていることなので咲夜は答えようがなく知佳の方を見た。すると、知佳は私が言うのと言った感じではあったのだが、自身が撒いた種なので諦めて話しだした。
「売らないことは無いとは思う」
「そうですか」
「でも、直接は売らないし今まで通りの金額になることも無い」
「それは、金額が上がるということですか」
「そう」
「わかりました。あ、後もう一つ聞いても良いですか」
「うん」
「私をそこまで求める理由は何ですか?」
知佳は、咲夜を見て今度はお前の番だと言わんばかりの視線を咲夜に飛ばした。
「リリアンさんが欲しい理由ですか」
「はい」
「メリットが大きいからです」
「どんな」
「今一番、車両を欲しているのは警察です」
「確かに、消防や病院は既存の車両があるようなのでそこまで困ってはいないようです」
確かに消防、病院は車両を保有しているのだがこれは、レンタルだった。その為、予算の中から毎月結構な金額が引かれていた。警察にも同様のシステムがあったのだが借りるとなると台数が多くなりそうなるとレンタルだけで赤字になるほど高額だった。それに対して消防、病院は台数はそれほど多くなくていいのでレンタルで回っていた。
「今の警察の事情に詳しく有能なのはリリアンさんだと考えたからです」
「その評価はありがたいですが、私以上に有能なプレイヤーはいますよ」
「そうでしょうね。でもリリアンさんは今の警察の懐事情もある程度把握している、そして交渉もできる」
「それは、咲夜さんもできるのでは」
「できますけど、めんどくさいので嫌いです」
「わたしも、そこまで特異なわけではないですけど」
「別に構いません」
「ですが」
「正直、私も知佳も研究の方が楽しいです。ですが販売に関してはめんどくさいと言った感想にしかなりません。でもリリアンさんからしてみれば面白い世界に入ることが出来ると思います」
「わかりました。初めか答えは決まっていたので」
リリアンは言った空気を吐いてまた吸って回答した。
「お世話になります」




