57話 物件確認
咲夜が途中に物件関連で話をしたので知佳が話そうとしていた内容と若干のかぶりはあったようだがそれでも物件に関してはまだ話すことがあったようだった。
「まだ、他に話す内容があるのか?」
「ありはする」
「購入する物件のことか」
咲夜の質問は合っていたようで頷いた。
「本拠点は購入するだろ」
「する、咲夜は契約してるんだから買わないと」
「それは、そう」
咲夜は瑠璃と本拠点を借りるとき契約していた。ただ、この契約は口頭での契約で紙での契約ではないので拘束力は低いのだが、咲夜からしてみれば自動車の内装など自身が興味がないところを補完してくれるので助かっていた。そんな人物を購入しないだけで手放したくはなかった。その上他のプレイヤーに作製機があることを知られたくはないので保有しておきたかった。
「じゃあ、向かいの建物か?」
「そう、現状買う必要があるのか」
「必要ではないな」
「そう、必要ではない」
「だが、向かい側に他のプレイヤーが居住すると不意に開発中のものが見られる可能性はあるな」
「そこは、大きな問題」
「だよな、でもそこまで気にすると水路に面している物件はすべて買う必要が出て来る」
「完璧に近づけるなら」
「利点は、なんだ」
「水路をある程度の管理下における」
「確かにそれはでかい」
確かに、水路は水上機用の滑走路に繋がる様に枝状に広がる水路の一つなのだが比較的、滑走路に近くある程度の水上機が入ることが出来る水路は限られており本拠点は、そこに面しており袋小路ではないのだが片方は橋の関係で小型機程度の大きさしかが通ることが出来ないので袋小路と言っても問題は無かった。
「あと、部屋が増える」
「そうだな、知佳が住むこともできるしな」
「引っ越さないよ」
「例えだ」
「それに、買ったら住人は私じゃないし」
「そうですか、他に何かあるか?」
「ない」
「なら、デメリットは」
「お金が掛かる」
「そうだな、3400万Gは安くない」
「確認してきたの?」
「ああ、さすがにな」
先日、この建物が出て来た時にうる覚えで3400Gと答えたのだが、咲夜が一度見た物を忘れることは無いのだが確信を持つことができなかったので確認しに行くと3400Gで咲夜の記憶のままだった。
「本拠点は、結局幾らだったの?」
「8054万」
「結構、中途半端な金額ね」
「そんなもんだろ」
「そうね、実際の物件もそうだし」
「そこは、詳しくは分からんが2件買うとなると1億1454万Gか」
「意外に行くのよね」
「そうだな、新規開発の車のことを考えるともう少し余裕があっても良いがな」
「そうね、でも素材の金額だけだからそこまで気にしなくていいんじゃない」
「そう言うわけにはいかなくないか」
「いざとなったエンジンを売ればいい」
「その手もあるが需要はないだろ」
「車用のエンジンの有名どころは持ってるんだから人気が低いエンジンとかなら販売しても良いんじゃない」
「そうだな、検討する中には入れて置いても良さそうだな」
「うん」
「結局、どうするんだ」
このような決定を下すときは知佳の方が良い結果をもたらすことになることを知っている咲夜は、知佳に答えを求めることにした。それに、格納庫に関しては知佳が支払をしているので知佳も関係ないわけではなかった。
ーーー
あれから知佳は、5分ほど下を向いて考えてた。知佳が考え事をするときは、大概下を向いているか上を向いているかのどちらかで今回は、前者の下を見る方だった。答えが決まるまで咲夜は、横でおとなしく遠くを見ていた。すると答えが決まったのかガバット顔を上げた。
「両方」
「どうするだ」
「買う」
「購入だな」
「うん」
「理由は」
「買った方が今後のことを考えるとメリットが大きい」
「それだけか」
「それに、資産として持って置いて、いずれ改装とかして売ってもいい」
「そうだな、今回は購入しよ」
知佳の回答は、初めから決まっていたかのようにも感じるのだが、今後のことを考えるなど深くまで考えると保有しておく方が損となる場合もあるので考えどころでもあるのでこういったことはじっくりと検討する必要があった。
「それで、格納庫はどうする」
「持っておく」
「わかった」
「会社の本拠地は、ここにする」
「旧採石場にか」
「そう、そっちの方が家賃を経費にできる」
「でも、持ち家のなんちゃらあるんじゃ」
「それで、対岸の家を活用する」
「どういうことだ」
「ここは、作製するための拠点、あの家は注文を受ける場所」
「販売店にするっていうことか」
「違う、警察とか大型の契約をする場所」
「じゃあ、一般客はどうするんだ」
「電子端末でやり取りする」
「そんなアプリあったか」
「ない」
「そうだよな」
「ないけど、コミュニティサイトはあるからそこから注文してもらう」
「いろいろめんどくさそうだな」
「いずれは、販売店を買うか借りる」
「そうか」
知佳が言うコミュニティサイトは、ゲーム側が初期で設定している物で全体プレイヤーが自由に発言が出来るのでさまざまな情報が飛び交っていた。当然その情報の中には、咲夜の車のことも流れてはいたのだが咲夜のことばれておらず逆にどこで購入できるのか話の中心となっていた。
「結局金が掛かるな」
「初期投資は重要」
「それでもだ」
「それに、仲間も増える」
「それは、リリアンさんのことか」
「そう」
「どうして言い切れる」
「来るしかない」
「どういうことだ」
「今の警察は、公的資金に頼って何とか維持してる」
「そりゃ警察だから」
「それもそうだけど、他の公共機関の中でもダントツに掛かってるはず」
知佳の予想は合っていた。警察は確かに罰金なども取っておりその資金は、国の資金になっているが結局は警察に戻されている形となっていた。しかし、それでも足りないので罰金金額にさらに追加して再度支給されていたその金額が、官庁関連の資金では最も掛かっていた。因みに消防や病院も官庁施設としてヴィジオンが運営している施設なのだが、警察の3分の1ほどで運営できているのでそれだけ警察が現状では金食い虫だった。
「それでも、うちに来る理由にはならないぞ」
「リリアンは、今の警察にはそれほど未練がない」
「そうか」
「今あるのは責任感だけ」
「ほう」
「それに、署長に疑問も持ってるみたいだし」
「そうか」
「わかってないでしょ」
「苦手なんだから仕方ないだろ」
咲夜は、昔から他人の感情を読み取るのは苦手としているので知佳が何を言いたいのかは若干は理解してはいるのだがそれでも完ぺきに知佳が言いたいことを理解しているわけではなかった。
「なれて」
「努力はする」
「そう」
「それで、結局リリアンさんはうちに来るしかないということか」
「そう」
「でも、うちも結構泥船だと思おうんだが」
「それでも、成長できる伸びしろは大きい」
「そうだな」
「それに、人はお金にがめつい」
「そうだな」
知佳の発言で人の見たくない面を見たことが多々ある咲夜は遠くの方を見ることにした。
「それで結構、はじめと何も変えないということか」
「そうなる、ここ以外は」
「そうだな」
結果として予想外な出費が毎月発生することになったが、所有物件が出来るのでひとまず満足しておくことにした。




