53話 大量納品と新装備
4時間目が終わり5時間目が始まろうかというタイミングで咲夜は教室に戻ってきた。教室には体育終わりの独特な匂いがあったのだが担当教師が教室に入って来ると臭いと言って換気させたのでその匂いの空間に長時間いることにはならなかった。当然5時間目の授業も聞くことなくタブレットに表示された設計図の暗記に励んでいた。計器の内いくつかは咲夜が過去に暇だという理由で覚えていた物も含まれていたので幾つかは覚え直す必要はなかったのだがそれでも新しく覚える部品は多かった。更に試験用で実機と同じ車輪型でテストをするのでその分覚える機構もあった。そんな、退屈か退屈じゃないのかわからない授業を受けて今日一日の授業が終わった。
「終わった、終わった」
この学校は、ホームルームは朝しかないので授業が終わると運動系の部活に所属しているクラスメイト達が我先にと教室から出て行った。そんな、クラスメイト達を見ながらタブレットとボールペンしか入っていないカバンを持ち教室から出て行った。因みに多くの生徒はリュックサックを背負っておりその中には教科書が入っていたりと学生らしい荷物ではあるのだが咲夜は、覚えている上に知佳が教科書をタブレット内に入れてくれているので咲夜と知佳に関しては、この学校では圧倒的に量が少なかった。
「遅い」
「お前が、早すぎる」
「それは、無い」
「そうか帰るぞ」
「うん」
2人は今朝噂話になったことが無かったかの様にそろって帰って行った。当然この二人を見ていた噂を知っている人はやっぱり付き合ってるんじゃないかと燃料を追加していた。
ーーー
電車の中でも会話が交わされることは無く、それぞれ好きなように行動していた。
「そうだ、車どうなった」
「なんやかんやで昨日作り過ぎて残り1台」
「そう、なら一気に取りに来てもらう?」
「ナンバープレート付いていないから公道走れないぞ」
「因みに納品しないといけないのは何台」
「6台だな」
「なら、乗せて降ろしてで往復すれば」
「めんどくさ」
「それは仕方ない」
「今日中に、もっていくことができても3台が限界だな」
「そう、なら3台ね」
咲夜は、マジかーと言った感じであったのだがあの時の様な知佳にはあまりさせたくない上3台という台数は咲夜が出したので持って行くしかなかった。それにいつまでも場所を取られたくないという理由もあった。
「それで、瑠璃といつ会うの」
「会う?いつも会ってるが」
「ゲームじゃなくて、現実世界で」
「忘れてた」
「でしょうね。瑠璃忘れてないか心配してた」
「了解、話し合っておく」
「うん、時間決まったら教えて」
「なぜ」
「一緒に行くって言ってある」
「わかった」
いつの間にではあったのだがいつもの知佳の行動だったのでそこまで気にすることは無い内容ではあったのだが、やらなければならないことが多くあったので頭を抱えることになった。
ーーー
帰宅すると咲夜は楽な服装になり直ぐにヴィジオンにログインした。
ログインすると咲夜は直ぐに最後の1台の作製を始めた。同じように作製には3時間かかると表示されたので配達を始めた。しかし、いきなり地下の駐車場にトレーラーではなくむき出しで置かれると驚くと考えた咲夜はリリアンに一報を入れてから輸送を始めた。1台目、2台目の輸送は問題なく進み、3台目を取りに帰ろうと地下駐車場から出たタイミングでリリアンから電話がかかってきた。
「もしもし」
「もしもし、リリアンです」
「昨夜です。どうされましたか」
「いえ、連絡を頂いたので」
「そう言うことですか、すいませんいきなり大量納品になってしまい」
「それは、大丈夫なのですがどうかされましたか?」
「知佳とかその辺が先日の件で怒ってしまい早く契約を終わらせたい感じになってしまいまして」
「そう言うことだったんですね」
「はい、それにまたすぐには契約は結ばないと思うので」
「それは、どうしてでしょう」
咲夜は、会社設立のことを話すことにした。当然予定地関する情報や今行っている飛行機に関してなど離せない情報もあるので一部にはなったのだがその準備で忙しくなるかもしれないとだけ伝えた。
「そういうことですか、わかりました」
「エンジンオイルとかの交換は、どうしてますか?」
「交換は、詳しいプレイヤーがいたので交換は、現実世界と同じ交換距離で交換してます」
「もしかして、3000kmも走行してるんですか?」
「はい、既に2,3台はその距離になっている車両があります」
「そうなって来ると早め対応の準備はしておきますね」
「ありがとうございます」
「それでは、今日は残り1台を納品します」
「わかりました。お願いします」
「失礼します」
それで、電話が切れた。
ーーー
咲夜は、残り1台となりもう一回行こうとしたタイミングで知佳に呼び止められた。
「どうしたんだ」
「今から行くんでしょ」
「ああ、行くが」
「それなら、帰ってきたら2000番台に行きたいから付き合って」
「それ、今日じゃないといけないか」
「別に今日じゃなくてもいいけど早い方が良いと思って」
「そう言うことか、それはいいけど」
「なら、探索しよう」
「了解、車はどうする」
「小さい方が良いと思うからそのままで」
「了解、帰ってきたらトレーラー外すからその時に呼ぶわ」
「わかった」
知佳は、すぐに3階に戻って行った。知佳は知佳で飛行機で進めなければ咲夜に追いつかないと考えているので進めれるときに進めておきたかった。
咲夜は、そんな知佳を見た後警察車両を、トレーラーに詰め込む作業をしていた。そして、今作っている車両の完成時間を確認すると往復して戻ってきたら丁度出来上がる時間だったので素早く持って行くことにした。
ーーー
警察署の配達自体は問題なく終了し帰って来ると知佳と瑠璃が待っていた。瑠璃がいるとは思っていなかったのもあるが既に外で待っているとは思っていなかった咲夜は若干驚きはしたもののこの建物に一緒に住んでいるのだから当然とも言えた。
「お帰りなさい」
「ただいま」
「お帰り、車変えよう」
「わかった、ちょっと家の中に入れるからシャッター開けて」
「わかった」
知佳は、手元の電子端末を操作して開けてくれた。するとそこには残りの警察車両とアメ車があったのだがさっきまで作製機に入っていたはずの警察車両が既に外に出ていた。
「出してくれたのか」
「うん、何とか出した」
「ありがとう」
「どうも」
「すぐに出す」
咲夜は、警察車両の輸送用専用となりつつある車両からアメ車に乗り換えた。乗り込む際に自身の電子端末を当てると鍵が開いた。このシステムは、知佳が最近作り出したもので簡単に既存の車に取り付けることができるようになっており鍵自体を複数のプレイヤーに渡すこともできるもので咲夜たちの所有する車両にはすべて改造装着されていた。警察車両には、この装備は装着されていないそもそも現状テスト段階であるため警察車両に積むことができてない上、このもの自体があることを伝えていないのも関係していた。そんな、システムで鍵を開けて咲夜は先ほどと同様のシステムもエンジンを掛ける際には必要なので電子端末を中央コンソールに置きエンジンを始動させた。
「このシステム作って正解だったね」
「便利にはなったけどこそシステム高くね」
「仕方ない、作ったときに1つ作るのに20万Gもかかるなんて思わなかったし」
そう、警察に伝えない理由のもう一つは1つ20万Gもしこのアメ車には電子端末を感知する機器が実車と同様についているのでこの車だけでも100万G掛かっておりこれを警察車両に付けるとなると50万Gは掛かるためでもあった。因みにこの特許は知佳が取得した後咲夜に無償譲渡されていたので新規に車両を作製する際には、初めからつけることが可能になっていた。
「知佳さんは、いつの間にこんな物を作ったんですか?」
「移動手段で飛行機が出て来た時に思いついた」
「そうなんですね」
「それより、瑠璃も行くんだね」
「はい、私も行きますよ」
3人は車に乗り2000番台での20m級の作製機探しに出発した。




