49話 高額
ログアウトすると外は暗くなっており、ログインした時も暗かったのでほぼ一日ログインしていたことになるのだがこのログイン時間は上位ログイン勢からしたら短い方だった。プレイヤーによっては1日2日程度ログインしっぱなしのプレイヤーもいる。しかし、ゲーム会社側もこのことを予測して居たのか2日連続で続けてしまうと強制的にログアウトさせられるなどある程度の抑制機能が入っていた。
「あ、ログアウトしたんだ」
先にログアウトした知佳は風呂上りなのか髪が濡れていた。
「風呂上りなのか」
「そう、欲情でもした」
そう言って、体をくねらせたのだが咲夜としては、体での疲れはないのだがさっきまでやっていたこと頭を使うことだったので糖分を求めている咲夜にとっては、何言ってるだといった感じで見ていたらその視線に気が付いた知佳は、恥ずかしそうにした。
「なんか言ってよ」
「言いようがないんだが」
「そう、何か食べる?」
「食べる。何ができる」
「うーん、麻婆豆腐とかかな」
「じゃあそれで」
「なんか甘い物ない」
「ある」
知佳が出してくれたのはチョコ菓子だった。そのお菓子をつまみながら咲夜は風呂に入って来るとだけ言い汗を流しに浴室に向かった。この家に住みだして早一か月も経つのでなれたものだった。
ーーー
咲夜が風呂から上がり髪をタオルでさらに拭きながらリビングに入ると丁度よく料理もできたようで知佳が配膳をしていた。
「できた」
「ありがとう」
「いつも作ってくれているから」
「そうか」
知佳も料理は出来ないことも無いのだがめんどくさがりな上にデリバリーで温かいご飯が入手できるので作る必要が無かったのだが咲夜は料理を好んで行うことは無いが比較的好きなので知佳の家に来ても料理していた。そのためか、知佳も最近は小腹が空いたときなど段々と料理する機会が増えていた。
「食べよう」
「ああ」
食事が始まってもさほど話すことは無いので終始食事は無言で進んでいった。それでも話すことはあったので食事が終わり中継するタイミングになった時咲夜は設計するときに気になっていた点を聞くことにした。
「そう言えば気になってたことがあるんだが」
「なにが」
「あれ、結構でかいけど本拠地に入るのか」
「今のところ左右に1mの余裕があるから大丈夫かなと思ってる」
「それ、ぎりぎり過ぎない」
「外翼を畳むようににすることもできるけど」
「重量増えるだろ」
「それは仕方ないと思う」
「なら、片側で1mぐらい畳めるようしよう」
「わかった考えとく」
咲夜が進めている設計では、スロープに対して余裕がなかった。ヨットが5隻並んでも余裕で止めることができるように設計されているのだが二人が考えている機体に関しては知佳が翼を伸ばしているために入るかを気にしてはいた。しかしそれ以上に心配なのは水門が2つあるため中央に柱があるのだがそれは問題ないのかを気にしていた。
「水門のところの柱はどうなんだ」
「あの柱は水路側に向かって上がったよ」
「そこまで確認済みか」
「うん、水上機ならと思った時に確認した」
知佳は、案外行動が早かった。確かにそのことが分かっていなかったら作らないサイズではあった。
「それにしても知佳のやらないといけないといけないこと多くない?」
「多い」
車に関しては、ゲーム内にある既存の制御システムのみを使ってはいたのだが今回はゲーム内のシステムに組み合わせて昔の機体でもあるのでいずれはゲーム内の制御無しで飛行させようとも考えていた。そのために知佳はゲーム内でもパソコンと向き合っていた。
「そんなに心配?」
「心配ではある」
「でも、エンジンも新調して左右で回転方向まで変えてるんでしょ」
「流石に変えてる」
格納庫に持って行ったエンジンは同じ形に見えるのだが2基で回転方向が異なる様に追加で設計変更をしておりさらに圧縮機までつけているので初めに作った物とは完全に別ものになってはいた。
「なら問題ないじゃないの?」
「まあ、外翼に関しては設計図は引き終わったけど折り畳みするなら変更は必要になる」
「速めに設計図の変更部分を用意する」
「了解、次は中央翼設計するからそんなに時間は掛からんとは思う」
「わかったー」
「これ、製作できる場所探さんとな」
「2000番にはないみたい」
「そこまで調べてるのか」
「うん、20m級を探してるんだけど見つかんない」
「10000番台にはあるんじゃない」
「確かに」
各番端から端まで150kmもあるため2000番でしっかり調べれば見つかるかもしれないがプレイヤーが自由に使える作製機は場所が公開されているので知佳は調べて回ったようだったが2000番にはなかったようだった。それに対して10000番は全体的に工業区になっており多くが埋め立てで形成されている上に造船所が多くあることは確認できていたのでそこにあるのではないかと考えていた。
「でもな、運ぶのがめんどくさい」
「それはそう」
「一番めんどくさいのはトレーラーに乗せ換えるときだよ」
「それは、そうだけど流石にクレーンとかついてるんじゃないの」
「そうであって欲しいけど、無かったら終わるぞ」
「何キロになりそう」
「片翼で800Kg後半にはなりそう」
「それ、材料下ろすのも大変じゃない」
「それは、そう。重さ計算してなかったのかよ」
「してないことは無いんだけど作るのは咲夜なんだから」
「そうだが、知佳は何キロだと思ってたんだ」
「なら、パソコン部屋に行こ」
2人はパソコン部屋に入っていた。最近はこの部屋は咲夜がゲームする部屋になっており知佳は自身の部屋でログインしていた。そんな部屋で知佳は、パソコンを少しいじると液晶の机に表示された。そこには水上機の設計に加えて拠点内部まで設計されていた。
「ここまでやっていたのか」
「さすがにここでやらなくてもいいけど動画出すって言ってたからあった方が良いかなと思って」
知佳は、動画にすることを覚えていてくれたようだった。
「これ今後、いろいろ進めて行く中で便利だな」
「そう思ったから作ってる」
すると格納庫のモデルが出て来た。しかしそのモデルは完全にできているわけではなく外側は出来ていたのだが内側ができていなかった。
「これ作り途中だけど」
そう言ってさらに膝の上に置いていたキーボードを叩くと空港の全体地図が出て来た。ヴィジオンは基本的に現実世界と同じなので地図は公開はしていないのだが本島に関しては未知の島なので本島だけは航空写真とされる作られた画像が公開されていた。そんな画像から知佳は読み込んだのであろモデルだった。
「これ、あの画像から作ったのか」
「作ったのはAIだけどそう」
「調べてみるとこの空港買うこと出来るみたい」
「因みに幾らなんだ」
「完全に全体の金額が公表されてないけど2000億G程度じゃない」
「おいおい、結構高額だな」
「でも、そこから修復とか掛かるから5000億Gとか掛かると思うよ」
「うわー嫌なこと聞いた」
「そこは仕方ないけどそこに製作機と入って来ると更に掛かるよ」
「もう言わんでくれ」
知佳はからかうのが楽しくなったのか修復に必要な金額の詳細を言い始めた。そんな楽しそうな知佳を見たのは久しぶりだったのでしばらく言わせていたのだがあまりにもリアルな金額だったので咲夜は真剣に聞いている確かに必要な工事ばかりだった。そうして言い終えると咲夜はあること気になった。
「これ、建設機械入ってないよな」
「うん、入ってない」
「そうなると、これも作らないといけないのか」
「そうなるね。しかもNPCが買ってくれることが前提だけどね」
「うわー、めんどくさ」
「仕方ない」
その後も飛行機の話とは全く関係ない話が続いた。




