46話 わかりました。では
いきなり訪問してきた前島たちに咲夜は若干迷惑だった。いや、結構迷惑と思っていた。なぜならこの家に製作機があることは4人の秘密でありこの家の近くで住んでいるプレイヤーが居るのなら知っている可能性もあるのだがこの近くを通過するプレイヤーが居ても住んでいるプレイヤーは見たことが無かったので知られてはいないと考えていた。そして、実際にこのことを知っているプレイヤーは咲夜たち4人しかいなかった。咲夜は、先に車で作製室が見えないように塞いでから二人を2階の会議室の一室に案内した。
「それで今回は何の用事がありましたか?」
「はい。警察車両に関して注文のお願いがありまして」
「えーとその話に関してはリリアンさんと話すことになっていますが」
「ええ、そう聞いてはいたんですが出来るだけ早く購入したいので」
その回答に咲夜は、嫌悪感を抱いた。残りの納品の台数が減っているので早めに新たに購入の契約をしたいのは理解はできるのだが注文をあの時に受けていないことを考えて欲しいと思っていた。そして咲夜と同席していた知佳は、何故この場所を知っているかの方が気になっていた。
「今は、受け付けていないですし生産体系を考えないといけないので今は注文できないですよ」
「そこを何とかして欲しいのですが」
「その前にあなたは誰ですか?」
「私ですか?私は、6000番台の地域の警察署の署長をやっている真川です」
「サナガワさんですか」
「はい、それで注文をしたく伺いました」
「はー」
咲夜は、何が言いたいのかは理解はできたのだがこちらのことを全く考えていない発言に驚きを隠せなかった。
「注文は、今受け付けていないですが」
「警察の車なんですよ。あなたが作れるなら作ってくださいよ」
「いえ、生産が追い付いていないから注文を受け付けていないんですよ」
「そこは理解していますが、高額なんですからそこは何とかしてくださいよ」
「そんなことを言われても何もできないですよ」
「咲夜さん、そこを何とかしてくださいよ」
そこから、2対1の押し問答が始まった咲夜としては販売できないことは無いのだが現状ほぼ毎日長時間ログインしており幾ら咲夜が高校で学習する範囲は完全に記憶しているので問題は無いのだがそれでもいつまでも警察車両にかかりっきりになるわけにはいかなかった。押し問答が落ち着いてきたタイミングで知佳は疑問に思っていたことを聞くことにした。
「一つ良いですか?」
「はい」
「どうやってこの場所を調べたんですか?」
「それは、警察官であれば調べることができるのでそこからですね」
真川は、なに当たり前のことを言っているのかと言った感じであったのだがそのことを聞いた知佳は良いことを聞いたといった感じだった。
「なるほどそう言うことですか」
「はい、そう言うことです」
「なら、警察官は何をやっても良いということですね」
「そう言うことではないです」
「ですが、現状あなた方がやっていることはそう言うことです」
前島は何が問題なのか分かったようだったが真川は何が問題なのかと言った感じだった。
「それより、車の契約をしましょう。私たちの管轄は比較広いので最低でも100台は欲しいですね、金額は、1台700万Gでお願いしますね」
真川は、一方的に条件を言ってきて、それを受けるのは当然かの様な物言いだった。その横で最も解決しないといけない問題が発生したことに気が付いた前島は何か言いたそうな感じではあったのだが、知佳は当然のことなのだが何が現実でもっとも問題なのかわかった咲夜も無視していた。そんな中でもさらに条件を言い続ける真川だった。
ーーー
咲夜も真川の注文内容が傲慢で何を言いたいのかわからなくなっていたタイミングでドアがノックされた。
「どうぞ」
「失礼します。咲夜さんお客さんです」
「瑠璃さんここに案内して」
「わかりました。知佳さん」
そう言うと瑠璃はドアを閉めてそのお客を迎えに行った。そして、知佳は誰が来たのかわかっている様だったので、咲夜は知佳が呼んだのだと咲夜は分かった。お客が誰なのかもある程度の予想が出来ていた。そして、距離もないので直ぐにその人物はやって来た。今回は、ノックされることなく瑠璃がドアを開けた。
「お連れしました」
「ありがとう」
瑠璃がドアを抑えてその案内された人物は、予想どうりの人物だった。そして、その人物を認識した前島は、何かが終わったかのような反応をした。
「お久しぶりです。咲夜さん」
「お久しぶりです」
「それで、今回はすいません」
「何を、言っているんだ。わざわざこんな場所まで来てやっているんだから」
空気を全く読めていない真川は、リリアンに上から目線で発現した。活動範囲は異なるが署長と副署長なら階級は明らかに真川の方が上なのだろうがこの街が始まって大きな事件を目撃したことが咲夜からしてみれば何が階級を決めているのかわからなかった。実際この階級問題に関しては警察官になったプレイヤーでも疑問に感じており一応金庫など警察の資金をいじるために署長・副署長の二人は階級が上げられてはいるが他は一律だった。
「真川署長何が問題なのかわかっていないんですか?」
「何が問題なんだ。こちらは、支払う側であちらは提供する側だそしてこちらは警察なんだぞ」
「そうような認識なら私は構いませんが、取引は相手の了承も無ければできないですよ」
「そんなことは分かっている。でもだ、高額なんだから大丈夫だ」
真川の発言にすでにあきれ切っていた咲夜と知佳に加えてリリアンもあきれていた。それは当然で何が言いたいのかはわかりはするのだがその理論が全く理解できなかった。
「真川署長、私たち1000番台の警察署に関してはこの話には関係ないですよね」
「ええ、そのような弱腰な警察署は高額な代金を支払えばいいのでは」
「それで構いませんよ」
「そうですか、それで咲夜さん契約をしましょう」
咲夜の回答はこの話が始まる前から決まっており知佳も同じ考えなのだろうと考えていた。
「お断りします」
「あしりがとう、・・・・え、今なんて言いました」
「お断りします」
「なぜ」
断られるとは思ってもいなかったのであろう真川は、椅子から勢いよく立ち上がった。その動きに驚いたのか前島は肩を上げたが残りはその行動まで予想していおり驚きもしなかった。
「なぜですか?」
「ええ、100台も買うんですよ」
「それでもです」
「なぜですか?結構な金額ですが」
「簡単な話です。私たちはすでに納品している警察車両だけでも限界な量です」
「だが、我々が支払う代金で個人の製作機を買えばいいじゃないか」
「言っている意味は分かりますがそれ以上に問題があるので」
「何が不満なんだ」
「金額ですよ」
「700万Gだろ十分じゃないか」
「700万と言ったんですか?」
一度契約を結んだことがあるその際は車体の価格が1500万Gだったのでその半分以下の金額で取引しようとしていることに驚いていた。リリアンも1500万Gは高額と考えていたのだがプレイヤーが購入することができる車両の中ではまともであったので購入したのだが、その後原価を考えたりした際高額ではあるが正規な金額とも考えていた。その際リリアンは原価が900万G程度と考えていたためにこんな反応だった。
「それは、いくら何でも安すぎると思いますが」
「車なんて現実世界なら600万もあれば新車に乗れるぞ」
「そうですがあれは大量生産ですよその分コストも下がっているはずです。一方でこちらは受注生産金額のそれ相応に上がって行くのは当然じゃないですか」
「それでもだ。警察に協力するのは当然じゃないか」
「当然ではないと思います」
「いや、治安を守っているんだからこの程度は問題ないじゃないか」
「原価は、どうしようもないですよね」
「それは、そうだが」
段々と自身の分が悪いことを察したのか真川は、始めの様な勢いがなくなっていた。
「それで契約はしてくれるんですか」
「だからしませんよ」
「わかりました。では」
それだけを言うと真川は、部屋を後にした。流石に建物内を探索はされてくないのでリリアンを案内した時からこの部屋にいた瑠璃が屋外まで案内していった。




